カツベン!

劇場公開日:

カツベン!

解説

「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行監督が、サイレント映画時代を舞台に一流活動弁士になることを夢見る青年を主人公にしたコメディドラマ。当時の人気職業であった活動弁士を夢見る俊太郎が流れ着いた小さな町の閑古鳥の鳴く映画館・靑木館。隣町にあるライバル映画館に人材も取られ、客足もまばらな靑木館にいるのは、人使いの荒い館主夫婦、傲慢で自信過剰な弁士、酔っぱらってばかりの弁士、気難しい職人気質な映写技師とクセの強い人材ばかり。雑用ばかりを任される毎日を送る俊太郎の前に、幼なじみの初恋相手、大金を狙う泥棒、泥棒とニセ活動弁士を追う警察などが現れ、俊太郎はさまざまな騒動に巻き込まれていく。主人公・俊太郎役は、「スマホを落としただけなのに」「人間失格 太宰治と3人の女たち」など話題作に立て続けに出演し、本作が映画初主演となる成田凌。ヒロイン役を黒島結菜が演じるほか、永瀬正敏、高良健吾、井上真央、音尾琢真、竹野内豊ら周防組初参加のメンバー、竹中直人、渡辺えり、小日向文世ら周防組常連陣が顔をそろえる。

2019年製作/127分/G/日本
配給:東映
劇場公開日:2019年12月13日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第43回 日本アカデミー賞(2020年)

ノミネート

最優秀監督賞 周防正行
最優秀脚本賞 片島章三
新人俳優賞 黒島結菜
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(C)2019「カツベン!」製作委員会

映画レビュー

5.0周防監督、あふれんばかりの映画愛

2019年12月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

幸せ

無声映画に活動弁士が語りを入れるというスタイルが、日本独自の文化だというのは、恥ずかしながら初めて知った。単にストーリーを説明するだけでなく、作品を一層面白くしたり、場合によっては映像をまるで違う文脈に変えてしまったりと、活動弁士の魅力と創造的な要素が作中でもしっかり描かれる。

成田凌をはじめ、永瀬正敏、高良健吾ら弁士役のキャストは、相当な期間を発声や独特の話し方の訓練にあてて準備したという。おかげで、彼らの演技はもちろん、「声」そのものの響きや調子も耳で楽しめる作品になった。

周防正行監督が本作に注いだ情熱、映画愛も尋常でない。劇中に白黒映画が10本ほど登場するが、すべて今作のためにシーンを撮影。そこに出演するのも過去の周防作品で主演した草刈民代や上白石萌音というぜいたくぶり。こだわりぬいた映像に、表現力豊かな俳優の声もあわせ、ぜひ環境の整った映画館で鑑賞してほしい娯楽大作だ。

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高森 郁哉

2.0面白い題材と、締まりのないストーリー

2024年5月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

まず、冒頭の20分近くある子ども時代がいらない。

たんすのやりとり、おっかけっこの際の細かなやりとりなど、随所で繰り返しが多いのもだんだん疲れてくる。

せっかく題材が面白いのに、ストーリーに締まりがなくてもったいなかった。

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共感した! 2件)
カメレオン

3.5若き活動弁士の青春奮闘記

2022年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

本作の見どころは、主役の成田凌の言葉を魔法のように巧みに紡ぎ出す、個性的で魅力ある滑舌の活動写真(無声映画)弁士[カツベン]振りである。ここだけでも一見の価値のある作品である。これ程、弁士が映画に活力を与えるとは想像できなかった。

チャップリンの無声映画は観たことがあったが、弁士付きの無声映画は観たことがなかったので、無声映画における弁士の役割の大きさに驚かされた。声優、ストーリー展開をするナレータくらいだと思っていたが、本作では、無声映画の作風、良否を決めてしまうキーマンだった。観客との距離が近いので、舞台劇のように観客からの容赦ない生の評価を受けることになる。

本作の舞台は、大正時代。主人公・染谷俊太郎(成田凌)。彼は、子供の頃から活動写真の弁士に憧れ、ものまねをしていた。大人になった彼は、意に反して偽弁士として、泥棒一味に加わって生活していた。なんとか一味を抜け出した彼は、ある街の映画館に雇われる。そこには、個性的な人間達が集っていた。人気のある凄腕弁士・茂木(高良健吾)がいたので、最初は雑用係だったが、ある時、弁士をやるチャンスが訪れる・・・。

序盤、終盤は緩慢なストーリー展開だが、中盤は、面白くて見応えがある。弁士同士の競い合い、確執に、恋愛模様も加わり、ハラハラドキドキする展開もあり、それらを上手にまとめて、コミカルな味付けにしている。小気味良く物語が進んでいく。

様々な弁士が登場し、腕前を披露してくれるが、流暢な喋り方は職業柄、当然と言えるが、言葉の豊富さに圧倒される。堂々とした自信に満ちた佇まいは、完全に劇場を仕切っている。無声映画を操っている感がある。特に主人公の弁士振りには魅入ってしまう。

本作で、弁士の喋りに、声を出して一喜一憂している観客の姿は映画鑑賞の原点である。現代の映画鑑賞はマナー重視であるが、もっと観客が素直に反応した方が、より映画を楽しめるのではと感じた。

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みかずき