劇場公開日 2018年6月1日

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デッドプール2 : 映画評論・批評

2018年5月29日更新

2018年6月1日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

より過激に、大胆に。尽きせぬ発想力に笑いと興奮が止まらない第二弾

アメコミ映画でこれほど爆笑し、爽快な気分を味わった上、感歎の声を上げたのは初めてかも。まずもってウルヴァリン映画「LOGAN ローガン」(17)がむやみにハードルを上げたことへのボヤキから始まり、そこから全編にわたり、映画ネタをふんだんにまぶした縦横無尽の暴走しゃべくりがとにかく止まらない! それも常に観客の一歩も二歩も先をゆき、従来のタブーの壁をとことん壊して突き進む、もはや前作が小物に思えるほどのぶっ飛び方なのだ。

もちろん、戦闘シーンは輪をかけてすごい。「ジョン・ウィック」や「アトミック・ブロンド」でアクション新時代を切り開いたデヴィッド・リーチ監督ならではの、完全に針が振り切れた超絶ボルテージの肉弾戦が繰り広げられ、今回も血がドバッと出て、グシャってなって、身体の一部がスパッと飛んでいくバイオレンス盛りだくさん。刺激たっぷり、アドレナリン出まくりの2時間と言えるだろう。

一方、今回のストーリーは試練の連続でもある。序盤に失う最愛の恋人。絶望に浸る毎日。一度は自暴自棄になるも、やがて全身金属男コロッサスの誘いで「見習いX-MEN」として活動を始め、やり場のない怒りを抱えた子供ミュータントを救い、強敵ケーブル(ジョシュ・ブローリン)を倒すべく新チームを結成する。その名は「Xフォース」!!

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メンバーには何の取り柄もないオジさんや、運の強さを特殊能力と主張するアフロな女戦士もいる。そしてさらなる敵キャラや仲間も登場。ちなみに主人公ウェイド(ライアン・レイノルズ)は今作をあくまで「ファミリームービー」と言い張ってきかない。「よく言うぜ」と誰もがツッコミ入れたくなるところだが、しかし実のところ「なぜファミリーなのか」を逆説的に証明していくクレバーな構成もまた本作の肝なのだ。

ここまでくるともう、次はどんな方法で常識を覆し、我々の頭をかき乱してくれるのか、その一挙手一投足が楽しみで仕方なくなっている。これは今までのヒーロー映画には全くなかった系譜のもの。ジェットコースターのような展開もすごいが、レイノルズの全てを犠牲にして捧げ尽くすスピリットも光り輝いて見える。挙げ句の果てにはエンドクレジットで炸裂する反則技に笑って泣いた。全くどれほど隅々までサービス精神の詰まった映画なんだろう。かくも格別の余韻に浸りつつ、この珍ヒーローのことがますます大好きになっている自分に痛いほど気づかされる快作である。

牛津厚信

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