ファースト・マン

劇場公開日:

ファースト・マン

解説・あらすじ

「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督&主演ライアン・ゴズリングのコンビが再びタッグを組み、人類で初めて月面に足跡を残した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いたドラマ。ジェームズ・R・ハンセンが記したアームストロングの伝記「ファーストマン」を原作に、ゴズリングが扮するアームストロングの視点を通して、人類初の月面着陸という難業に取り組む乗組員やNASA職員たちの奮闘、そして人命を犠牲にしてまで行う月面着陸計画の意義に葛藤しながらも、不退転の決意でプロジェクトに挑むアームストロング自身の姿が描かれる。アームストロングの妻ジャネット役に、「蜘蛛の巣を払う女」やテレビシリーズ「ザ・クラウン」で活躍するクレア・フォイ。そのほかの共演にジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー。脚本は「スポットライト 世紀のスクープ」「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」のジョシュ・シンガー。第91回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞。

2018年製作/141分/G/アメリカ
原題または英題:First Man
配給:東宝東和
劇場公開日:2019年2月8日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第91回 アカデミー賞(2019年)

受賞

視覚効果賞  

ノミネート

美術賞  
音響編集賞  
録音賞  

第75回 ベネチア国際映画祭(2018年)

出品

コンペティション部門 出品作品 デイミアン・チャゼル
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映画レビュー

4.0仕事人間の心のすきま。

2019年3月29日
PCから投稿

悲しい

興奮

知的

宇宙計画にまつわる実録映画である限り『ライトスタッフ』を避けて通ることはできないと思っているが、本作は『ライトスタッフ』からパイロット/宇宙飛行士の危険と隣り合わせの日々と、彼らを取り巻く家族のパートを抽出して、等身大の夫婦ドラマを削り出したような印象を受ける。

言いかえると『ライトスタッフ』から爽快な部分を根こそぎ取っ払うようなアプローチであり、決して万人向けのヒーロー譚にはなっていない。むしろ随所に顔を出すリアルな「夫婦あるある」の数々を前に、もっと違うものを観たかったのにという意見の人がいるのも理解できる。

しかし月着陸という壮大なプロジェクトに、立派なだけじゃない人間のドラマがあったのだという切り口が、思いがけずしっくりきた。ライアン・ゴズリングはこういう感情の表し方が不器用な人間を演じるのが本当に巧い。不器用な仕事人間映画として秀逸なんじゃないだろうか。グレーだがほんの少し光が射すようなラストシーンも大好きだ。

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村山章

4.0これは紛れもないデイミアン・チャゼルの最新作

2019年2月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

幸せ

ロケットの狭いカプセル内に分厚い宇宙服を纏って身を置いたパイロットの体が、打ち上げの爆音と共ぶるぶると震え始める。カプセル内の機器も同時にぶれ始める。ロケットが放物線を描いて水平飛行に移ると、今度は死のような静寂に支配される。その閉塞感と孤独感は、地上のステーションから送られてくるかすれた交信音ではカバーすることなどできない。宇宙旅行惣明期のリアルを、かつてこれ程までに克明に映像に置き換えた映画があっただろうか?ある時代、状況を徹底的に追求するのが得意な、これは紛れもないデイミアン・チャゼルの最新作である。アームストロングの無謀とも言える挑戦を、彼の個人的な葛藤の終着点にしたドラマ構成には好みも出るだろうが、筆者はOK。恐怖に震えた後に感動の結末。チャゼルのさらなるこだわりを次回作で観たい。

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清藤秀人

4.5音楽物だけじゃない。デイミアン・チャゼルの懐の深さに感嘆

2019年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

興奮

映画の道に入る前はミュージシャンを志したデイミアン・チャゼル監督だけに、ドラムを学ぶ学生と鬼教師がぶつかり合う「セッション」、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」の過去2作で音楽がらみの演出に長けているのは、ある意味納得。だがそれだけではないことを、アームストロングの半生と月面着陸を描く実録ドラマで見事に証明してみせた。

人類初の偉業を成し遂げた特別な人間という別格の英雄としてまつりあげるのではなく、娘の病死と仲間たちの事故死に心を痛め、身近に漂う死の恐怖を克服して試練に立ち向かう一人の男を、ライアン・ゴズリングと共に的確に描写していく。

忠実に再現されたアナログ時代の宇宙船内と、NASA提供のアーカイヴフッテージを活用した船外の宇宙空間の映像のおかげで、観客も乗組員になったかのようなリアルな体験を楽しめる。鑑賞後、自分も遠大なミッションを達成したかのような心地よい疲労感を覚えるはずだ。

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高森 郁哉

4.0家族への想いの数々の伏線にも関わらず、ブレスレットのラストシーンがリアリティを欠く方向に誘導されてしまった印象も…

2025年3月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

少し前に「ライトスタッフ」を観て、
その後日談的この作品を鑑賞したところ、
冒頭にイメージこそは随分と違っていたが、
チャック・イェーガーが登場して来たこと
には、「ライト…」のマーキュリー計画から、この作品のジェミニ~アポロ計画への継続
との意味でこの映画の中には入り易かった。

映像で魅せられたのは、
特にジェミニでの打ち上げシーンだった。
ひたすら宇宙船内に限った
振動だけで伝える演出で、
逆に緊迫感溢れる描写に感じた。

確かに、巨額の宇宙開発費には
考えさせられるものがある。
ケネディの演説から月着陸までの期間は
たったの7年。
デモの中で、黒人の
“白人が月へ…医者代が払えない”
との演説には、
月面着陸への歩みと並行して
ベトナム戦争等の地上の紛争を交互に描いた
ドキュメンタリー映画「宇宙0年」
を思い出させたが、
確かに技術・進歩と、平和・福祉との
バランスは
人類の永遠のテーマなのかも知れない。

ラストのブレスレットを月面で投げ入れる
シーンは創作ではないかと想像するものの、
亡くなった娘も含めた家族への想いは
この作品のテーマなのだと思うので、
エンターテイメント作品としては
許される範囲なのだろうと思う一方、
アームストロングに少しも似ていない
ライアン・ゴズリングの起用や、
せっかくのその想いの数々の伏線も、
エンターテイメント化作業のために
薄められた結果なのか、
このブレスレットのラストシーンに
取って付け感が出てしまい、
感動的ではあったものの、
結果として、リアリティを欠く方向に誘導
されてしまったような印象も受けた。

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