寝ても覚めてものレビュー・感想・評価
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演出と脚本の妙
2度鑑賞。
冒頭の麦と出会うシーンは原作のイメージ通りだけど、双子の絵画を見た後に爆竹… 少し…
比喩でしょうか? 棒読みを徹底して抑制を聞かせているので、そこも見応えある演出になっていた。
それ以外は、監督がドキュメンタリーも撮られれている被災地に車で行く下りは、異常に地元のおじさんたちがリアリティあるので、役者陣との対比が凄かった。
被災地は今回の映画では…とも思いました。少しマッチしていない気がしました。マッチというか、やりきれていない分、こちら側もどう受け止めていいのか?が。
それ以外は、見事な演出と編集とで見応えを感じました。
ありがとうございました
他人といっしょになる不安
昨日みた「君の鳥は歌える」と共に、本当に面白い日本映画の連べ打ち。というか、日本映画らしくないところに到達してる新世代の日本映画ふたつ、だった。
こちらも東出&唐田が素晴らしい。東出の使い用をよくわかってのキャスティングと、唐田は特に色がついてないのでこの役にはドンピシャの何を考えてるかどう転ぶかわかんない「謎」っぷり。
恋愛の道徳的幻想を描くデート映画のロジックから大きく外れて、そもそも恋愛、というか知らない人とくっつくということの「不安」というか「不安定さ」というか「脆さ」に支配されてるダークファンタジーだった。
心ゆさぶられる
唐田えりかさん!
演じる清楚でおとなしめ、芯が通っている役柄に魅了されました。
麦と付き合いだしたのも、亮平と付き合いだしたのも、東北ボランティア始めたのも、あれもこれも、実行するきっかけが作られてしまい、心のままにやりたいことをやっただけなんだろうなー。
防波堤により引き返す、というのもいい演出。
伊藤沙莉の最後のLINEも良かった。
River
主題歌となっているtofubeatsの「River」が好きで、鑑賞。
蛇行し、時に荒れる川のように起伏の激しいストーリーは(久しぶりに映画を観て「疲れる…!」と思うほど)、穏やかなピアノの美しいイントロが流れて、静かに収束していった。ん〜期待通りの素敵なエンディング、と満足。
「2人の愛は流れる川のようだ 途切れることないけど 掴めない」
と歌詞の中にあるように、これからも愛と生活は掴み所のないまま、途切れなく続く。2人はずっと幸せに暮らしました、なんていうハッピーエンドはきっとどこにもない。不信と不安を残したまま、ただしきっと愛を失うこともなく、時にそばにいて、時に離れて、続くのだろう。
エンディング以外にも場面が変わるタイミングで使われていたピアノのメロディも素敵。あと東出くんの煙草を吸う横顔も大変素敵…。
人は人を許すことができる
若者同士の青春と恋愛模様を描いた作品で、それなりに面白く鑑賞できた。
東出昌大は女相撲と大正デモクラシーを描いた映画「菊とギロチン」で、若くして獄死した民権運動の活動家を熱烈に演じていて、その演技は高く評価できた。この映画でも堂に入った関西弁で、世界観よりも人間関係に重きを置く関西人をうまく演じている。同僚役の瀬戸康史も自然な演技で、主役を際立たせる役割を上手にこなしていた。
女優陣の演技は評価の分かれるところだが、少なくとも主役の朝子を演じた唐田えりかの演技には違和感があった。関西弁は大和言葉の細やかさを残しているから、もう少し多様で微妙な表現が出来た筈だと思う。それとも、穿った見方をすれば、SNSのパターン化された言葉遣いに染まってしまった現代の関西弁を誇張して表現しているのかもしれない。寄り目気味の和風の顔は大和撫子のイメージでなかなかよかったのだが。
昔から女心は山の天気のように変わりやすいと言われている。それは割合の問題で、情緒的な考え方をする人が男に比べて多いということだ。価値観がぶれず、考え方が論理的であれば、そうそう言うことが変わったりしない。
しかしそもそも、朝子は心変わりしたと言えるのだろうか。何度も何度も亮平の誘いを断った筈だ。偶然発生した吊り橋効果の状況が、必死で拒んでいた彼女の心を溶かし、背中を押しただけとも言えるのではないか。
亮平は世界観よりも人間関係を重視するタイプである。分析もすれば自省もする。一途で頑固な朝子にどれほどの葛藤があったのか、想像できない男ではない。ともあれ、こういう愛の形があってもいい。人は誰でも人を許すことができるのだ。それは多分、いいことだと思う。
日本映画史上最も最低なカンヌ出品作品
世間では、黒沢清だ、成瀬だ、絶賛するコメントが多いですが、そもそも、シネフィルがお互いに誉めあって、一般の観客とは違うのだ、という感覚で盛り上がるのは、とても違和感。
取り巻きが、あーでもないこーでもないと絶賛評を投じ、それを信じて期待を膨らめ観に行くと肩透かしをくらう。
日本映画を世界に売り込むためには、このくらいの取り巻き絶賛論がないとなかなかパイプができないのかも知れないが、だったら客を抜かして業界だけで楽しくやってくれと。
解説がつかないと楽しめない映画なんてどうでも良いと思ってしまう。
蓮實氏の論評を読んでいかにも同調して理解し、「俺は映画を理解できてる」と言わんばかりの一部での盛り上がりは気持ち悪い。
はっきり言って一般的には全く受け入れられないマニアのための映画だと思う。
濱口監督の特徴である遠景ロングショット、長回し、会話劇、採光設計、震災…、映画の随所に「らしさ」がみられるのだが、商業を意識した結果の「省き」と思われる雑な部分もちらほら。ただ、これは紛れも無い濱口の映画になっているのがファン心には複雑なのである。
フランスではホラーとして扱われ、黒沢清を真似たかのような不穏さの演出には辟易。あんな演出黒沢清1人で十分。ま、お師匠だから仕方ないのだが。
とにかく映画もそれを取り巻く環境も気持ち悪っ。
今までの映画が素晴らしく、日本を代表する監督になる器があっただけに、今回の自分を殺してまで映画にしたのであろう失速感は残念極まりない。
濱口監督はインディペンデントで素人使って自分の納得できるスタイルで納得行くまで作品に取り組んでやってるのが合ってると思う。商業映画にはむかない。
本当の恋愛ってキラキラしたものでなく、泥臭く、頭では理解していても...
本当の恋愛ってキラキラしたものでなく、泥臭く、頭では理解していてもやっちゃいけないことをやっちゃう。
リアルで淡々としたところからのジェットコースター。私たちの人生も普段は惰性と繰り返しだけど急にドラマが起こる。主人公が棒読みとか何考えてるかわからないって人もいるけど身近にもああいう人いるよね。普通の格好だけどやることは大胆みたいな。非常にリアルで自然な演技、演出で面白かった。
ラストはシロクロつけられない人間くさい恋愛映画でした。
汚いけど、きれい。
好きだった男と瓜二つの男。揺れ惑うのは女。静かに、強く。許されない行動と、二度と取り戻せない感情。
麦は十分ヤバいヤツだったが、朝子もついていけないくらいのヤバい子だった。そんな朝子を、だらしないと感じる人もいれば、涙を流し共感する人もいるだろう。全ての映画が万人に向けたものでないのだから、この映画はこの映画で、観ている誰かを傷つけることもあるだろうし、心の支えになることもあるだろう。
観終えた僕は、ちょっと泣いた。それは東出の演技のせいだろう。
朝子の言動に共感できなくて、小説を読んだ。ずいぶんと映画と違っていた。小説の中の朝子もどこかタガがはずれているのだが、傍目には気の優しそうな素直な子に見えるのだろうなと想像できた。同性に嫌われるタイプだろうと思った。好感のかけらも持てなかった。だけどこの先この小説は、ずっと心に引っかかったままだろうとも思った。
震災の日を境に変わってしまったこと
面白かったなぁ
自分のこれまでの人生を振り返りながら観て、見終わった後には、いろいろと考えさせられた作品だった
大阪で暮らす大学生の朝子(唐田えりか)は、同じ大学の麦(東出昌大)と付き合っているが、ある日、その麦が出て行ったっきり帰ってこなくなってしまう
それから2年が経ち、東京で働く朝子は、麦とウリ二つの亮平(東出昌大(二役))と出会う
そして、まもなく、東日本大震災が起き…
この映画を観ていて、すごく考えてしまったのは、東日本大震災を境にして、私の中で、どう価値観が変わっただろうかということだった
大震災の日、私も亮平や朝子と同じように帰宅困難者だった
そして、テレビやネットで、たくさんの物や人が、波にさらわれ、失われていくのをリアルタイムで目撃し、永遠に続くものなどないことに気づいてしまった
永遠に続くものなどないと気づいてしまったあの日以来、私は「今」を大切に生きるようになったと思う
で、朝子だ
朝子は震災を境にして、二人の男性、麦と亮平と出会う
見た目は同じでも、中身は正反対の二人
その二人に対する心の移り変わりに、朝子の価値観の変化が出ているように思った
もちろん、そこには、20代という、最も精神的に成長する時の価値観の差というものもあるけれど、7年前と今との間には震災があって、そこから、明らかに違う人間になってしまったのだ
一番大きな変化は、これから、もしものことがあった時に、誰と一緒にいたいかということだと思う
私たちは、夢だけでは食べていけないし、「もしもの時はこの人と一緒にいたい」という安心感が、より大切になったのだ
そのことを朝子に気づかせた仙台だったんだと思う
この映画で良いなと思ったのは、朝子自身が、その心の変化に気づき、キチンと向き合おうとしたこと
周りの友人たちは、みんな7年前とは違うのに、自分だけは何も変わっていない
そのことも、朝子を目覚めさせた原因だっただろう
私たちは、何も変わらない日常を過ごしているようで、少しずつ変化しているのだ
だからこそ、過去でもなく、未来でもなく「今」を大切にすべきなのだと思う
恋愛映画なのか?
ラジオで監督さんのインタビューを聞いて、ちょっと興味出たので観てきました。
若手俳優陣が頑張ってる。
もちろん、アイドル登場のピカピカの恋愛モノではなく、まあ、扱っている題材は確かに恋愛なのだけど、人間ドラマとしての部分に共感。
主人公の朝子(唐田えりか)は普段は口数が少なく、大人しく見えるが、一定ラインを超えるとどこまでも真っ直ぐ。やってることは無茶苦茶なのだけど、「信念の人」として、驚異的な行動力を見せる。クラークケントからスーパーマンになるくらいに、極端に振れるところが、驚きとともに、清々しく感じるくらいだ。
普通の映画なら、主人公が真っ直ぐで一生懸命なので応援したい、という共感が得られそうだが、本作については、ただ、ただ、静かに無茶苦茶なことをやらかすので、いまいち全面賛成というわけにはならず、自分の中でその葛藤を楽しむのが面白かった。
「寝ても覚めても」とは、良いタイトルですね。
え?何?この消化不良な終わり方
この映画って優柔不断な女が元彼にそっくりな今彼と付き合っていたけど、元々未練があった元彼が突然現れたので元彼のほうに付いていったけど、結局今彼のほうが良くて今彼のところに戻っただけの話じゃね?
最後の最後にすごい大どんでん返しがあるのかなと思って期待していたけど、そのまま終わってしまい、口(くち)ポカーン状態でした。
この映画は結局何を描きたかったのか、全く理解できませんでした。
優柔不断な女の不気味さを描きたかったってこと?
いずれにしてもこの結末は無いわな、って感じです。
わざとらしい関西弁にカタコトの女優
序盤から聞き慣れない関西弁にすでにアウトだった。
違和感すごい。関西弁ってこんなだっけ??みたいな。
言葉に慣れようとしてるうちにストーリーに、置いてかれた感はある。完全についていけなかった。
ストーリーについても、共感できるところがなく、
朝子のとんでも行動に失笑するしかなかった。
何度、ビンタされろ。と思ったことか。
麦のとこから帰ってきた朝子が許しを請うシーンにいたってはなんでこの子はずっとカタコトみたいな、単語だけの喋り方なんだろうとすらおもったし、全体的に褒めたいところがない。
あえて、褒めるところをあげるとすれば
唐田の顔がかわいいとこ、、かな、、、、、?
でもそれも後半は狂気でしかなく、理解の範疇にない
彼女に嫌悪すら感じた。(失笑まじりだけど)
これがこの映画のねらいなのだとしたら、★5だし、
キャスト、演出、原作、全てにおいて完璧だとおもう。
このふたりのこれからは泥沼でしかないだろうな。
ああ、これが観客のたどりつくべきゴールなのか
唐田えりかさん
私、東出さんも出演していた『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』が大好きなんです。
それで、主題歌のバックナンバーさんの『ハッピーエンド』も好きになるわけです。
それでそれで、そのPVに出演していた唐田えりかさんも応援したくなっちゃうんですよね。
そんなわけで、この映画は絶対に観ようと決めていて、思ったよりは公開規模が大きかったので無事に鑑賞する事ができました。
それでですね、そのPVでの唐田さんの印象は笑顔がかわいいなと。と、同時に他の表情が何か深みがないような・・・。
そして、この映画での序盤での彼女の印象もその時と同じ様なものでした。
なのですが、映画が進むに連れて、彼女のその表情が、何を考えてるかわからない、かと言って計算高く何かを隠してる感じもしない、どこか上の空の朝子になりきってる様に感じられ、徐々に引き込まれ、話にのめり込む事が出来ました。
唐田さん、はまり役だと思いました。
さて、終盤の朝子の一連の行動、女性でも共感されてない方も多いみたいですが、おっさんの私は正しかったんじゃないかと思いました。
(正しい、間違えてるって話じゃないかもしれませんが)
もし、あのままレストランに残ったら、今まで通りの幸せに包まれていたでしょう。
でも、亮平の向こう側にずっと麦を感じたままになってしまった気がします。
彼女の性格から、それは器用に消化できなかったのではないでしょうか。
そして、麦と一時を過ごした事によって、逆に麦の向こう側に亮平の優しさを感じられたのではないかと。
今までも優しさには気づいていたでしょう。
でも、あると分かっていても自分で改めて感じられた事で、ちゃんと歩き出せたのだと思います。
麦を越えた向こう側に、亮平の愛情を確かめられた朝子の最後の決断。それはもう、許してもらえるかどうかは重要じゃなく、遅くなっても進みべき正しい道が見えたのではないかと。
一方、亮平の方は普通に考えれば許せないでしょう。
でも、もしかすると、いつか行ってしまうかもと抱えていた不安を、それでも戻って来たという事実が上回る日が来るかもしれません。
最後、同じ物を見て違う感想を述べた二人。
でも、同じ物がしっかり見えていると思ったのは、私だけですかね?
麦の呪い
序盤は朝子目線で話が進むようだが、この子の心情が終盤にかけてどんどん見えなくなってくる。東京に舞台が移ってからは亮平目線で見ていた。だから、最後の方は朝子が許せなかった。
麦(バク)にかけられた呪いがこの物語の推進力。
個人的に、中学の頃に同級生の女の子に呪われることがあった。その子と似た性質の人を好きになることは今でもある。なので、朝子の行動に共感する。けど、家を決めて引っ越す段取りでドタキャンは本当に許せない。面倒臭い手続きをどれだけ乗り越えたか冷静に考えろ、と。おめぇは仕事してないし。っとは、あんましつこく強く言うつもり無い…というのは亮平もそうだった。
写真展や東北への車内など、印象的に麦と亮平を比較する場面が良い。
時間経過と環境変化の描写として、大学時代の友人たちが、シンガポール人と結婚して整形してたり、大病を患い体の自由を失っていたりという展開が良かった。これによって、朝子の心境と環境の変化にリンクしていたし、より際立たせていた。
東北から帰って部屋で倒れ込んだ亮平に、朝子が靴下を脱がせて足裏をマッサージし出すという愛情表現が良かった。リアリティがあるし、この人に何かしてあげたいとか感謝とかの感情から来る行動に思えた。
東北の震災を踏まえているのも効果的で良かった。こういう展開は近年の作品で多すぎるが。
日本酒とコーヒーの対比もツボ。
夢を追いかける女と諦めた素人評論家の男の対比もツボ。
…こう見ると、対立構造を挙げるの面白い作品。
個人的な経験的な見方もして楽しんだし、一般的にも、細かい表現や物語の展開に深みを感じた。基本構造は世界共通だけど、ディテールが日本ならではの題材なのも良い。
寝ても覚めても、彼のことを想う。だけでなく、寝ても覚めても…いろんな現実があるよねって思うと、良いタイトルだ。
全225件中、181~200件目を表示