全員死刑

劇場公開日:

解説

本物の不良少年たちを起用して描いた「孤高の遠吠」で注目された小林勇貴監督の商業映画デビュー作で、2004年に福岡県大牟田市で発生し、被告である家族4人全員に死刑判決が下った強盗殺人死体遺棄事件を映画化。死刑囚として獄中にいる次男の手記をベースにした「我が一家全員死刑」を原作に、未だその真相が解明されていない凶悪事件が描かれる。借金を抱え、困窮した生活を送っていた4人の家族。近所の資産家一家が脱税で蓄財していることを知った彼らは、資産家一家の金を強奪する計画を企てる。無謀な計画から1人が殺害されたことをきっかけに家族はさらに暴走。最終的に4人を殺害するまでエスカレートしていく。主人公の次男タカノリ役を「帝一の國」「トリガール!」の間宮祥太朗が演じるほか、長男役を毎熊克哉、両親役を六平直政、入絵加奈子、タカノリの恋人役を清水葉月がそれぞれ演じる。

2017年製作/98分/R15+/日本
配給:日活、東京テアトル
劇場公開日:2017年11月18日

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(C)2017「全員死刑」製作委員会

映画レビュー

4.5間宮、毎熊の熱演

2024年9月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

怖い

興奮

間宮祥太朗目当てで観た訳ですが、衝撃に次ぐ衝撃!実際に起きた事件がもとになっている映画ですが、不謹慎とかそんなのもうどうでも良くなる程の勢いとエネルギー!

まず、お目当ての間宮祥太朗ですが、こんな役やってたんですね…。今ではすっかりイケメン枠の俳優さんて感じですが、このヤクザの演技が素晴らしい!ヤクザというかチンピラ?凄みとかではなく、頭の悪さを勢いでカバーしている感じ。この小物感が絶妙!後半いよいよぶっ壊れていく家族、その中心であるタカノリが狂気を帯びていく様はまさに迫真。そしてやっぱり狂いきれない小物感(笑)もう最高に面白い!

異常なまでにテンポの良い作品。全くダレることなく突っ走ります。間宮の熱演も勿論ですが、長男役の毎熊克哉、凄かった。この2人の演技がとにかく素晴らしく、一生観ていたいし夢中で観てたらいつの間にか終わってた感じ(笑)秀逸な脚本と俳優の演技の大勝利です。

殺人事件がモチーフとなっているわけですが、あからさまなグロ描写はほぼ無し。その代わりショッキングな演出がチラホラ。ジャンプスケア、ホラーチックな演出は意外でした。犯人の心理描写は控えめで、「こんなバカどもに同情なんてすんなよ!」というメッセージすら感じられました。

ただ一つ、合わなかったのが下品な下ネタシーン。そんなに多いわけではないですが、ちょいちょい出てくる卑猥な演出がちょっと気になっちゃいました。まぁ、登場人物達のキャラクターを考えればそういう世界観はむしろ当然で、自然な流れなのかも。個人的にちょっと合わなかっただけです。

大勝利なんて言いましたが、世間的な評価は今ひとつ。確かに、若干漂うB級感と短絡的過ぎるブチギレ家族は合わない人が多いかもしれませんね。しかしこの熱量はただごとではない。間宮、毎熊の名演が生み出す勢いと緊張感、そして「こいつら何やってんだ?」と呆れてしまう程の愚行の数々は、笑いと恐怖を含んだ見事なエンターテイメントでした。

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吹雪まんじゅう

2.5短絡的思考

2023年9月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

寝られる

本作は実録犯罪ものとしてもエンタメとしても中途半端な出来と言わざるを得ない。

映像的にはVシネマレベル。殺害シーンにはまったく緊迫感も恐怖感も感じられず、すべてが絵空事のように見える。これだと昔テレビで見た「大久保清の犯罪」のほうが百倍怖かった。

この作品の致命的な欠点は本件事件の持つ異常さ、異様さが映像を見ていて何も感じられないというところ。
あるいはこの愚かな事件を笑い飛ばすよう皮肉たっぷりに作ったつもりなのだろうか。そうだとしてもエンタメとしてまったく振り切れてない。若い監督ならその辺もう少し冒険して欲しかった。

本作は実際の事件をただなぞっただけで、事件の態様は加害者一家の異常性を除けば実に短絡的で、その犯行自体語弊があるかもしれないが面白みに欠けるものである。そんな事件をただなぞっただけなら面白くなるはずもない。ましてやイケメンの役者や有名俳優を使っているから余計にリアリティも感じられず、実際の加害者たちの顔写真から受けるインパクトに遠く及ばない。

実録もの、エンタメどちらもできないなら、もっと掘り下げてこの一家がここまでになった経緯を丹念に描く人間ドラマにすればよかったのかも。実行犯の次男を筆頭になぜこんな人間となってしまったのか。
逮捕されてからの家族の姿を描くのもありだろう。彼らは逮捕時は互いに罪を擦り付け合ったと聞く。家族のためと犯行を重ねた次男をあっさり母親は売ったという。
この家族にはもともと絆なんてものもなかった。たとえ救いようのないバカであってもそれだけはあるかと思いきや、それさえなかったという。

あまりにも特殊な例なので普通の人生を送っている人間には何らこの家族の生きざまは参考にはならない。何かの教訓が得られるわけでもない。ならばこの馬鹿な事件を笑い飛ばせとばかりにエンタメに振り切ってほしかったがそれもなかった。

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レント

2.0若いってイイことばかりじゃないよね

2022年5月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

新進気鋭、小林勇貴監督の作品ということでハードルを上げてしまったのか、それとも小林監督の気合いが空回りしてしまったのか。何やらとっ散らかった、どうにも解せない凡作に感じてしまった。ただ単に、おじさんが若い感性に追いつけなくなってしまっただけなのだろうか。

殺人という大きな罪をあえてライトに描いているのかもしれないが、そのせいか人間像に厚みがない。家族への思いも、恋人への思いも伝わってこなかった。むしろ、小人を現代映画にキャスティングしちゃうぜー!タブーに切り込む俺って凄くね?カッコよくね?みたいな072感が漂い、何とも小っ恥ずかしい。

大人になることは、決して恥ずかしいことではない!と気づいた後の小林監督に期待しよう。何せまだ、(当時)26歳なのだから。今回の一番の収穫は、間宮祥太朗を観たいがために来場したであろう若年層が口にした、終演後の「トラウマだよー」という台詞である。みんな大人になればイイ。

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LADA