北の桜守
劇場公開日 2018年3月10日
解説
女優・吉永小百合の120作目となる映画出演作で、吉永主演の「北の零年」「北のカナリアたち」に続く「北の三部作」の最終章に位置付けられるヒューマンドラマ。吉永と堺雅人が親子役で共演し、「おくりびと」の名匠・滝田洋二郎監督が、戦中から戦後にかけて極寒の北海道で懸命に生き抜いた母と子の約30年にわたる軌跡を、ケラリーノ・サンドロヴィッチが演出を担当した舞台パートを交えながら描いた。1945年、樺太で家族と暮らしていた日本人女性・江蓮てつは、ソ連軍の侵攻によって土地を追われてしまう。夫が出征し、息子を連れて北海道の網走にたどり着いた彼女は、過酷な環境や貧しさと戦いながら息子を必死に育て上げる。71年、てつの息子・修二郎はビジネスで成功を収め、15年ぶりに網走を訪れる。たったひとりで夫を待ち続け、慎ましい生活を送っていた年老いた母の姿を見た修二郎は、母を引き取り札幌で一緒に暮らすことを決めるが……。
2018年製作/126分/G/日本
配給:東映
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2018年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
吉永小百合主演の映画にしては珍しく、通常の実写で描くパートに、ごくごく簡素なセットの舞台での演劇でストーリーを伝えるパートが繰り返し挿入される。この舞台パートは、樺太での出来事など悲惨なエピソードをリアリズムで描くのを避け、ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出で抽象的に表現している。
はじめのうちは実写と舞台の切り替わりに違和感を持ったが、それに馴染むと、この重層的に描かれる世界が「人工的に創造された虚構の物語」なのだというシンプルな事実を再認識させる装置として機能するように感じられてきた。
すると意外にも、たとえば吉永と阿部寛が演じる夫婦の見かけの年齢差も気にならなくなってくる。もちろん、滝田洋二郎監督の演出は的確で、吉永の女優魂とでも言うべき極寒地での渾身の演技にも圧倒される。しかしそれと同じくらい、この仕掛けが持つ意外な効果に感銘を受けたのだった。
2022年3月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
やはりいい役者が揃うと、いい映画になりますね。
ロシアの日本侵攻が舞台の映画ですが、ちょうどウクライナ侵攻最中に観たことはタイムリーでした。なぜ人類は過ちを繰り返すのでしょうか?
2022年1月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
不思議な映画でした
なんなんだこれは?と序盤は斜めに構えて観ていました
さらに抽象的な舞台劇が始まると、一層これは何なんだろう?と混乱しました
1971年のシーンの狸小路もそうです
とても具象的にセットは作り込まれVFXも駆使されて細部に至るまで神経を払ったものだとわかります
それなのに、何だかとても作りものぽい
ふわふわしているのです
特にミネソタ24の店内はそうです
きっとわざとそう撮っているのだと思いました
ところがソ連の戦闘機による機銃掃射のシーンや被雷して沈みゆく船のシーンでは現実感を徹底的に追求しています
ストーリーが後半にすすみ、いよいよ物語の構造が明らかになってくるに従って、それらの疑問がするすると胸の中で腑に落ちていくのです
まるでパズルがはまっていくように
うまく説明はできないけれども納得していく自分がいるのです
最後のフィナーレの舞台劇、そしてそれを客席で観て拍手を贈る息子夫婦の姿
そのとき大きな感動が訪れていました
人生は舞台劇なのです
具象的なものじゃないのです
誰だって人生を振り返った時、映画のように具象的に隅々まで克明に記憶なんて残されてなんかいないのだと思います
抽象的な舞台劇のような表現方法こそ、人の記憶の実態に合致しているものであったのです
親の一生ともなれば、この息子夫婦のように舞台劇を観劇するようなものでしょう
素晴らしい感動のフィナーレでした
自分の人生にも同じような感動のフィナーレが訪れることを願いたいものです
満月の下の北の桜の満開の幻想的なシーン
実はそれこそ一番具象的な映像であったのです
吉永小百合は老女なのに可愛い
恐るべき俳優です
決して演技が上手いわけではないと正直思います
けれども問答無用で観客を感動でねじ伏せてしまう希有な力があるのです
その底知れぬ力がそのシーンで炸裂していたのです
昔、釧路で北の桜を見かけたことがあります
本州の桜のように白くはなく、そのシーンでの桜のように濃いピンク色に見えるのです
稚内にも行ったことがあります
札幌から旭川まで特急で2時間、乗り換えてさらに4時間もかかりました
旭川をでて森のなかをどこまでも北へ一直線に列車が進んでいきます
1時間ほど居眠りしても風景は少しも変わらないほど深い森です
真夏なのに、どんどん気温が下がりTシャツ1枚では羽織るものが欲しくなるほどになります
それなのに、ようやく稚内に着くと当地の男子高校生たちが今日は暑いべさ~とタンクトップ姿でアイスクリームを舐めていたのには仰天しました
駅からさほど遠くもないノシャップ岬までいくと遥か水平線の向こうに樺太の山並みがうっすらとみえます
氷雪の門という慰霊碑がそのノシャップ岬に建っています
樺太で終戦前後何があったのか碑文で少し知ることができます
「樺太1945年夏 氷雪の門」という映画があります
樺太で何があったかもっと知りたい方はそちらをご覧になられると良いと思います
本作はそれをご覧になられることでより一層感動が深まると思います
見どころは、堺雅人が安田顕に怒鳴りつけて土下座させるシーンだけです、半沢です。
まず、時代考証が無茶苦茶です。
シナリオもセリフも支離滅裂です。
吉永小百合をはじめとしてみんな大根役者のようです、演出のせいでしょうか、上手く使えば良い演技なのに、惜しい惜しすぎる。
戦争中のシーンで余りにも嫌な展開が有りましたが、触れるのも嫌なのでノーコメントです。
なんだろう監督のセンスだろうか、最低の感性ですね、吉永小百合に免じて3点、土下座して受け取れ。
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