ネオン・デーモン

劇場公開日:2017年1月13日

ネオン・デーモン

解説・あらすじ

「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督がエル・ファニングを主演に迎え、究極の美を追求するファッション業界に渦巻く欲望と狂気を、きらびやかに彩られた独特の映像美とスタイリッシュな音楽に乗せて描いたサスペンススリラー。トップモデルを夢見て故郷の田舎町からロサンゼルスに上京してきた16歳のジェシー。人を惹きつける天性の魅力を持つ彼女は、すぐに一流デザイナーや有名カメラマンの目に留まり、順調なキャリアを歩みはじめる。ライバルたちは嫉妬心から彼女を引きずりおろそうとするが、ジェシーもまた自身の中に眠っていた異常なまでの野心に目覚めていく。モーテルで働く男ハンク役にキアヌ・リーブス。

2016年製作/118分/R15+/フランス・アメリカ・デンマーク合作
原題または英題:The Neon Demon
配給:ギャガ
劇場公開日:2017年1月13日

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(C)2016, Space Rocket, Gaumont, Wild Bunch

映画レビュー

1.0 美を追ってこそオンナ、悪魔であってこそオンナ

2017年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

年を取れば衰える。おなかは出る。目は細くなる。肌は艶を失う。

だがこんなおっさんも、若いころは美に執着する。

それでいいじゃないか。外見を磨くことで、中身が磨かれることもある。美を追い求めることで、チャンスを得ることも多分にある。

もちろん、それぞれ価値観はあるが、それぞれの価値観において、「美」に執着しない女に魅力は感じないし、「美」を求めない男には関わりたくない。




「ネオン・デーモン」

ニコラス・ウィンディング・レフン。

「ドライヴ」で注目された彼だが、個人的には「ブロンソン」や「オンリー・ゴッド」に俄然肩入れする監督で、現在、監督で映画を観るなら、という視点では名前が挙がる。(ほかはビルヌーブ、シアンフランスといったところか)

レフンの映画は主人公にそれぞれ「美学」がある。

主人公には圧倒的な魅力があり、むしろレフンの作品は音楽や映像ではなく、登場人物の力に依存する。

本作の主人公、エル・ファニングは確かに美しい。だが最初のシーン以降、はっとするような映像はないし、会話のシーンになると、退屈なストーリーが露わになる。

確かに、映像、音楽ともに映画館で「体験」すべきものだが、それ以外のものは、はっきり言って演出力に問題がある。登場人物の配置もキャラ付けも定番すぎ。

やっていることも、日本のチープな、そうだな、園子温のようなもので、タイトルの「NMR」も園子温的なナルシシズムを感じる。

チープで、ナルシシズムたっぷり、という点では「ネオン・デーモン」というタイトルは確かにピッタリではある。だが、70年代、「ネオン」、「デーモン」、「サイケ」、「シンセ」はもろイタリアン・ホラーのテイストで、当時のプログレではさんざん扱われたものだ。

ラストの荒廃した風景に一人の女。

軽薄な美への追及を、否定する物ではなく、むしろ、それに果敢に立ち向かう、刹那な生き方をする女性の描き方に、ナルシシズムを感じるとともに、賛同したくなる気持ちは個人的に大いにある。

だが、あまりにも面白くない。

追記

最近の映画音楽で出ずっぱりなSIA。食傷気味ではあるが、そんな「女の闘い」にはやはり、SIAはよく似合う。

追記2

「ダーク・プレイス」でドッキドキだったクリスティーナ・ヘンドリックスの名前があって喜んだが、チョイ役。。。

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しんざん

3.5 表層だけでも面白いNWRのやりたい放題。

2017年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

外見的な美しさに囚われた女性たちの悲劇、と捉えることもできるが、「人間なんて中身より見た目」という価値観に対して批判している様子もないところがこの映画の面白さであり、ニコラス・ウィンディング・レフンの特異さだろう。

エル・ファニング演じるピュアナチュラルビューティーも、エルになりたいギスギスした女たちも余計な理屈は一切考えない。美しくなり、チヤホヤされてたい。シンプルな行動原理がもはや潔く感じられ、疑義を呈するマトモな男の方がバカに見えるあべこべさも可笑しい。ベラ・ヒースコート、アビー・リー・カーショウと本来なら文句のつけようがない美女たちもレフンにによって巧みに輝きを奪われている。

映像はケレンがあり過ぎてダサく見える瞬間も少なくないが、この表層的な物語においては薄っぺらいビジュアルも必然に思えてくる。ヘンな監督が作ったヘンな映画を、存分に楽しませてもらった。

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村山章

4.5 残酷な美の世界、映像と音楽が融合した表現を体感すべし

2017年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

興奮

知的

ネオン管やフラッシュライトで照らし出される幻惑的な映像世界と、シンセサイザー音楽のハイセンスな融合。これはまさに体験であり、映画館で体感すべき作品だ。

作り物、まがい物の美があふれるファッションモデルの世界で、エル・ファニング扮するジェシーの天然の美しさ、本物の揺るぎない価値が他を圧倒する。人間とは不平等な存在なのだ。下着ブランドのモデルを選ぶオーディションでの、観ている側まで胃が痛くなりそうな緊張感。選ばれるジェシーと、存在しないかのように扱われる他のモデルたち。その残酷さといったら! それにしても、エル・ファニングの変身ぶりは見事だ。

倒錯趣味も多彩で、デヴィッド・リンチ作品を思わせる猟奇的な描写もあり。ニコラス・ウィンディング・レフン監督、ますますメジャーになっていくだろうが、これからも鋭く尖った映画を作り続けてほしい。

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高森郁哉

4.5 "美"の怖さ

2026年3月11日
iPhoneアプリから投稿

ビジュアルも才能の1つー。こんな言葉を韓国のアイドルグループのオーディションで聞いたが、自分はK-POPファンとして時代の流れと共にビジュアルの変性を見てきたつもりだ。デビュー前に整形をさせてから表舞台に立たせていた世代が終わり、"ビジュアルも実力"という生まれ持った才能で決まってしまう厳しい時代に変わってきた現代。整形という手段はいわば"実力をカネで買った"という事であり、練習生なら一発でクビである。圧倒的な歌唱力、自分で曲を作るアーティスト性、キレのあるダンス。これら全てが完璧以上で初めてデビューというステージに立てる。本作の主人公はまさにそれであり、純粋無垢な"美"によって周囲の関係者を魅せていくのである。トップモデルは差し置いてファッションショーの大トリを務めたり、ひたすら特別扱いされたのは、作り込まれた顔と体型のモデルよりも自然な美しさを持つ主人公が"選ばれた"からである。本作では最初のうちは主人公の性格も控えめであり、自分の持つ才能には気が付いていない様だったが、次第にスポットライトを浴びるうちに狂気じみた自信を身につけ、それが蝕んで行く様な物語である。何だか、逆バージョンの「サブスタンス」みたいだが、本作はあちらよりも非常に分かりにくい、観る人を選ぶ作品である。極端にセリフが少なく、"赤"と"青"という対象的な色彩で表現をしたりする演出がそれを物語っている。元々物語の上でセリフとは説明を補完する目的である。それが少ない事で画面をよく見て解釈しなくてはならず、正直鑑賞後に疲れが込み上げてくる作品だ。

序盤の撮影シーンで登場した、赤と青の色彩についてだが、撮影の構図から見て相反しているもの……それは"生"と"死"である。本作の言いたい事は恐らくそれなのだろう。美しく華やかな世界に潜む生と死だ。もちろん死というのはモデル業界で言うところの"人気の低迷"や"トップモデルからの脱落"という事にある。それらは表裏一体であり、誰にでもそれは訪れるのである。それはもちろん本作の主人公が良い例だ。ただのモデル業界の裏側を描くだけでなく、衝撃的な展開を迎える後半も言葉を失うレベルだが、彼女がそうなって行く運命は要所に散りばめられている。主人公と知り合った青年との関係性もそれを助長しており、最初は対等に話していて恋仲になりそうな雰囲気までいったにも関わらず、彼女が売れてからは天と地程の温度差で描かれている。途中から彼を見る主人公の目は冷酷なまでになっており、主人公がもはや手の届かない所にいる。もう後戻りが出来なくなった事を描いた瞬間でもあるのだ。

物語の複雑さも関係しているが、最後の展開を含めてかなりの胸糞悪さである。それと同時に手元に置いておきたいセンセーショナルな作品だと思っている。刺さる人には刺さる、劇薬注意な作品だ。

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クラ