ルームのレビュー・感想・評価
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子に教えられ
うーん。まぁ、すごいですね。
プラスチックのように柔軟な子どもにいろいろ教えられるような話。
毅然としようとするんだけど
自信の心の傷を癒せない母親、
娘が誘拐され、レイプにより産まれた孫を受け入れられない祖父。
年齢を重ねる程、心の傷を埋めることは難しいのでしょうか。
一方、祖母と新なパートナーは孫と心を通じさせることができたのは、
彼女達が幸せな生活をできているから心に余裕があるからだと考えると
祖父が気の毒になる。
さらに子どもは自然と、
過去のルームにさよならが言える。
それにはっとさせられる母親の、
ラストのシーンがよかった。
演技力
ストーリーとしては、衝撃的だけどシンプルなだけに、役者の演技力がモノを言う作品。
親子二人とも惹き込まれる演技で、
脱出するまでは自分も肩に力が入って観てしまう。
パワーの象徴の髪をママに送るシーン
子供が親を助けるって、こうゆうことなんだな
って思う。
ブリー
どんな部屋でも生きていく
第88回アカデミー賞で主要4部門にノミネート。
7年間監禁されていた女性と、その間に生まれた息子を描いた、全米ベストセラーの映画化作。
『監禁事件の被害者とその家族』という、言ってしまえば特殊な設定。
当事者でもなければそこに渦巻く葛藤を想像するのは難しいと思うが、
それでも治療のプロセスや登場人物たちの感情の流れは極めて自然に感じた。
それに、タイムリーという書き方も不謹慎だが、くしくも日本で2年間に渡る
監禁事件が解決して大きな話題となったばかりなのも、この物語を身近に感じた理由。
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まずは役者陣について。
アカデミー賞主演女優賞を受賞したブリー・ラーソン。まず見た目からしてだが、
日に当たっていないような生白い皮膚や吹き出物が長年の監禁生活を物語っているようでリアル。
さらに、倦怠感と緊張感が入り混じったような普段の表情や、
苛立ちを抑えている時のピリピリした表情も真に迫っていて見事。
そしてその息子のジャック役、ジェイコブ・トレンブレイ。
ほとんど“親子”という役をラーソンと二人一役で演じたと言えるくらいの名タッグ!
たどたどしいがナチュラルなセリフ回しや、癇癪を起こしたり
母親以外の人を怖がったりする様子など、その説得力ある演技に舌を巻いた。
脇を固めるキャラクター達もグッドだ。
壊れかけている娘と辛抱強く向き合う母親役のジョアン・アレンは素晴らしいし、
継父の、他者に慣れないジャックを怖がらせないようにする機転と優しさも沁みる
(あれは血縁で無いからこその距離感かもだが、それでも超ナイスガイじゃん、彼)。
一方で、W・H・メイシー演じる実父の、愛する娘が生んだ子の顔をまともに見られない心境も分かる。
あ、あと、黒人婦警さんの親身な態度と判断力は警視総監賞もの!(←それアメリカにもあるの?)
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命からがら逃げ出すことはできたが、ジョイは事件前と全く同じ生活には戻れない。
両親は疎遠になってしまっているし、世間の好奇の目にも晒される。
楽しかった青春時代も、思い描いていた夢も、年月と共に根こそぎ奪い取られてしまっている。
母親としての重圧ものしかかる。
監禁事件の被害者であるジョイにとって、“部屋”は異常で、穢らわしく、壊れた世界でしかない。
だけどそんな壊れた世界でも、それしか知らずに育ったジャックにとってはごくごく正常な世界。
狭い“部屋”しか知らないジャックは、母親以外の人間と話せないばかりか、階段の登り降りすら
まともにできない。挙げ句は“部屋”に戻りたいとゾッとするような駄々までこねる始末。
とどめはあの残酷なインタビュアーの質問だ。
「息子のことを思うなら、なぜ息子だけでも助けようと思わなかったのか?」
地獄のような生活の中で、ジャックはジョイにとって唯一の生きる希望だったんだろう。
ジョイが息子を愛する気持ちに決して嘘はないだろう。
だがあの質問はジョイを絶望のどん底に突き落とした。
ジャックを手元に残したのはすべて彼女が精神(こころ)を保ちたいが為のエゴで、
そのエゴの為に大事な息子を社会に適応できない子どもにしたということでもあるのだから。
(それは確かに正論かもしれないが、そんな残酷な事を良識ぶって言える神経を疑う)
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内容だけを追えば、この映画は暗く重いものに思える。
だけど、初めて広い世界に触れた子どもの無邪気な視点を中心とした語り口、
そしてとてつもなく優しい音楽が、この物語に暖かい光をもたらしてくれていた。
広い世界に戸惑いつつも、ジャックは少しずつ環境に慣れていく。
ガイドは勿論必要だけど、幼い子どもは弱そうに見えて案外強い。
それに、心を磨り減らしてしまったママを、それでも大好きでいてくれる。
映画のラスト、“部屋”の思い出ひとつひとつに別れを告げたジャック。
あの子はこれから先、普通の子どもらしい生活を送っていけるのだろうか。
そして、再訪した“部屋”に向かって小さくさよならを呟くジョイ。
あの時ようやく彼女は部屋から抜け出すことができたのだろうか。
分からないが、あの二人は少しずつ前へ進んでいる。
拙く微かに、だが確かに、この物語の先には希望が存在している。
どんなに悲惨な目にあっても、どんなに立ち直るのが困難に思えても、
支えてくれる人々と共に歩めば――それはじれったいほどゆっくりとかもしれないが――
必ず物事は良くなる。いや、良くなると信じて前へ進むしかないんだろう。
映画を最後まで観た後に残ったのは、そんな前向きで清々しい後味だった。
<2016.04.09鑑賞>
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余談:
本作のマスコミと野次馬を見て、先の事件でのメディアの喧騒ぶりが脳裏をよぎった。
あれ、何も知らない人間が被害者の傷口に塩を塗り込んでるようにしか見えなかったもの。
被害者の名前は公になっちゃってるし、事情を知らない人間が勝手な想像で
あれこれ書き(掻き)立てると、被害者家族が元の生活に戻るのを困難にするだけに思える。
色々知りたい気持ちは抑えて、しばらく事件を忘れておいてあげるのが一番なんだろう。
世界
とても深いテーマを扱った作品だった。
冒頭、部屋の中で日常を過ごす母子が描かれる。あまり裕福な家庭ではなさそうだが、それでも子供は笑い、母を慕い、怒り泣き、不貞腐れ、甘える。
どこにでもある家庭の一幕。
だが、特殊な状況がその日常を非日常に塗り替える…。
彼の世界はそれまで「部屋の中」だけではあった。閉ざされた空間、地平線も海もない。彼の世界の空は四角く切り取られていた。
彼が初めて外に出て、空を目の当たりにした時の表情は忘れられない…未知との遭遇そのものであった。
文字通り別世界に触れた彼の戸惑いは尋常ではなかった。
彼の都合などお構いなしに時間は進む。
今まで母とだけでは対峙してれば良かったが、そうもいかない。
彼は少しづつ少しづつ、別世界を自分の世界へと認識していく。
「世界はこんなにも美しい」
それは対比から生まれる言葉なのかもしれない。彼にとっての美しさは、他の尺度認識あるようにも思える。
彼にはどう映るのだろうか?
いずれにせよ、子供は成長する。
いつまでも部屋の中だけには居られない。
TVのキャスターが問いかける
「それが彼にとって最善だったと思いますか?」
そうやって、世間は良識を押し付ける。
なんと、残酷で無神経な問いかけであろうか?
常識という牢獄を感じたような気になった。
一般論という未曾有の渦を擁する怪物を。
使い方を誤るとホントに怖い。
今の日本はそれに席巻せれてるようにも思う。
兎にも角にも、主役の彼が素晴らしい。
彼の目に映るもの全てがリアルであった。
そして、それを導いた監督も。
深い…とてつもなく深い闇と光を内包した作品だった。
閉鎖的空間で見せる演技力
ルームと言うだけあってこの作品は閉鎖的空間での撮影が多い。よって、役者の演技が作品を大きく左右するほど重要になってくる。そういう意味でこの作品は期待値以上に魅せてくれた。
まずは、子役のジェイコブ君の天才的な演技。複雑な環境に置かれた子供を見事に演じきり、観客に違和感を感じさせない。凄いとしか言いようがない。実際、私もふとした演技にちょこちょこ泣かされた(おばあちゃんのことをさらっと好きというシーンなど)。
次にアカデミーで主演女優賞をとったブリーラーソンの演技もこれまた素晴らしい。レイプされてできた子供を周りから好奇の目で見られる苦悩を見事に演じていた。この2人が揃うと本当の親子にしか見えない。普通ではない環境にありながら普通の親子の愛がそこには確かにあって、その瞬間を垣間見る度に不思議と涙してしまう。
それまで、世界の全てだと思っていた部屋をでて本当の世界に初めて触れるシーンは今までになかった感動を覚えたし、この映画からは得るものが非常にたくさんあった。まだ若い2人の今後に期待が高まる。
スッキリ観終われる
第88回アカデミー賞
主演女優賞受賞
とにかく演技が素晴らしい!
17歳からの7年間を部屋(納屋)に監禁された女性。
その中で生まれた息子を守り、それでもいつか外の世界(world(space))に戻ろうと願う強い想い。
外が何なのか分からずグズる息子へ希望を託し、息子に死んだふりをさせroomの外へ出す…
それぞれが過ごした7年間。
少しずつズレている心模様を繊細に描いた終盤は一挙手一投足に目が離せない。
息子に3回救われ、
エンディングロールが流れる頃にはとても清々しい気持ちで映画館を後に出来た。
オススメの一本なのは間違いない。
悪魔の子供は悪魔じゃない
監禁部屋で生まれ育ったジャックは、ジョイを3度救う。
1度目は部屋から。
2度目は自殺未遂から。
3度目の救いは、まだ部屋に囚われていた心の解放。
例え父親が悪魔でも、子供は悪魔じゃない。そして生物学的繋がりは、関係ないのだ。
何度も何度も子供は親を救ってくれる。
へやしか知らなかったジャックは、世界を知ってもへやに未練を持っている。
あのへやが全てだったから。
でも世界を知った今、へやはあまりにも狭く、縮んでしまったのかと思うほど。
この先の未来は、明るくはないかもしれないけれど、世界は広い。
どうか、過去からも境遇からも解放されてほしい。
実の祖父がジャックを見れないというのも、切なかった。子供に罪は無いのに。
レオが優しくて良かった。ジャックがトラックからジャンプしたときも、ホンモノの犬がいて、それで助かったんだよね。
子供は天使だなと思わされる映画だった。
先に光が見えますように。
ある意味新しい
小さな世界と大きな宇宙
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