「3世代同居」って、
煩わしくって、「個々の自立やら独立性やら放棄しているんじゃないか」と避けてしまいたくなる僕。
・・カッコつけてそんなこと言ってますが、歳をとってきた自分の世話でマジ精一杯の昨今。“他人”の世話にまで向ける余力がないことの、逃げ口上の言い訳でもあります。
長くずっと離れて暮らすと、自分の子でさえもこんなに遠くの存在になってしまって、もはや疎遠の極みですね。
実際、勤め人の我々にとっては、子供と会ったりするよりも職場の同僚との時間のほうが質実ともに大きな位置を占めているのだし、家を出ていった子供たちよりもニュースでお目にかかるプーチン大統領やトランプ大統領のほうが、僕にとってはもう身近で顔見知りな方々。
ましてや「孫」ともなれば、もうそれは別の世界の生物! ロケットに乗って、酸素ボンベも背負って会いにいかなければならないくらい。異星人とメッセージを交わすくらいの、訓練と覚悟が要るんです。
本作品は、よく出来たコメディ。
1週間の留守番=ベビーシッターを頼まれたジジとババが、慣れない孫との対面で緊張しまくって、あの手この手と挑戦はするのですが、ジジなんて途中で吐いてしまうほどのナーバス・パニックの1週間。
祖父役がビリー・クリスタル。祖母役があのベッド・ミドラー。
芸達者な祖父母が無理をして孫たちの前で張り切る様が、もうこれは他人事ではなくて、観ているこちらももう大笑いなのだ。
「写真の枚数はどちらが多いか」って、あちらのご両親との“張り合い”とかね。
小ネタが満載で声を出して笑いながらも、ふと我が子や孫を余裕で扱えない自分の器の小ささ、引き出しの少なさにはちょっと共感もし、しょんぼり感も覚えてしまいましたがね。
「明かりを消して、アリス」。
家をあけ気味だった父親が、
面と向かって言えなかった娘への愛を、このお父さんは毎回の放送の〆にマイクに託していたっけね・・。
肉親であっても、中途同居や中途面会が どれほど難しいことなのか、それを思わせてくれる泣き笑いの映画なのでした。
そしてこれは逆の立場から見てもそうなのです、
子の側からも、孫の側からも、祖父母や自分の親と暮らすってことが、これがちょっと難儀な事なんだよと教えてくれた映画。
孫来るも良し、孫帰るも良し。
祖父来るも良し、祖父帰るもまた良しです。
「アウェーであることの惨めさ」。
思い当たること満載。
セカンドチャンスの孫育てに頑張っておられるフォロアーの皆さん、お察しします。頑張って下さい。
(DVD吹き替え版で鑑賞)