凶悪のレビュー・感想・評価
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誰しも凶悪な一面を持つ
藤井が最後まで、母親を老人ホームに入れるのをためらっていたのは、
自分の追う事件が、子に見捨てられた老人が殺される事件だったからだ。
しかし、いつの間にか家庭は崩壊に向かっていて、洋子と母親は暴力関係にあると知る。
ここから、一般家庭にも凶悪が生まれうるという訴えが始まる。
最後のシーン、藤井は木村と面会をするが、
『最も自分を殺したがっているのは、お前だ』と、木村に指さされる。
ガラスに映り込んだ自分を見て、藤井は自分の凶悪な一面を発見する。
そして、面会室の向う側から、藤井を見たカットがあるが、
その風景は、今まで藤井側から見ていた風景と一緒で、
犯罪者の世界と、私たちが正常と思っている世界が、交換可能であり、
私たちの世界にも凶悪が潜んでいることを感じさせる。
一方、凶悪犯である須藤純次は、人間らしく描かれている。
慕ってくれた五十嵐を苦しみながら殺す演技、その後やり切れない思いで線香をたく演技は圧巻だ。
先生が思い通り逮捕され、宗教に熱心になると、
今までと対照的に、無機質な人となり、逆に気持ち悪く感じる。
狂気をありのまま表現する人の方が正常ではないか、
そんな疑問が投げつけられた様に感じた。
全体を通して、物語の構成が素晴らしい。最後まで見飽きることのない良作だ。
恐ろしいけど見てほしい。
ストーリーは重くて決していい気分になる映画ではないのですが、多くの人に見てほしい。
まずは実際の話というところが、震撼する。
藤井の家庭の描写が不要という意見もあったが、昼間に残忍な殺人犯の告白をさんざん聞かされてあの状態の家庭に帰るというところが、ますます陰気な気分に輪をかけるし、逆にあれほど残忍なことをしている2人の家庭は円満だというところが、何とも皮肉。
不気味な音楽や陰鬱な映像もいい。
リリー・フランキーとピエール瀧が強烈に異常な2人を演じ、
主人公の山田孝之はキャラ的には一見普通の会社員なので、下手するとこの2人に全部持って入れてしまうところだが、これがまた素晴らしい。
11段階に分けたという絶妙な心理状態の変化など、計算しつくされてた上での演技だと思うが、どの映画でも本当にこういう人なんじゃないか?と思わせる演技力はさすが!
凶悪犯2人だけでなく、山田さんの演技ももっと評価されていいと思うし、山田さんにオファーした白石監督はさすが。
若い監督の今後が楽しみです。
僕にもやらせて。
おじいさん役が・・
いろんな意味でスゴイ!
役者もみんな良いし、どんどん事件の真相にはまって行く見せ方や凶悪っぷりが半端がなくこっちも魅せられてしまう。悪人と普通の人の境界線。須藤(ピエールさん)の真っ直ぐ過ぎる性格が憎みきれないとこもあり、人間身を感じさせる。妻(池脇さん)を見て見ぬ振りをしている(山田さん)の態度。ノンフィクションなだけあってとてもリアル。木村(リリーさん)が逮捕されてメデタシの単純なストーリーではなくしたのがまたスゴイ!
オラフと同一人物?!
主人公が正義のヒーローじゃないのがスゴい!!
スゴくない?実話ベースでこんな主人公像の記者出せるって。
別にこれ主人公が普通にドラマ的な正義のヒーローでも成立するんだよね。最後にピエールに騙されたこと知っても、熱くて臭くて中身のない説教すればいいだけで。
そっちの方が悪と凡人の明快な境界が出来て視聴者は安心する。
鑑賞後の不安感はひとえに山田くんの卑怯っぷり、小心なクズさがあってでてくるんだよね。
ピエールやリリーは確かに凶悪だけど、その凶悪さは境界の向こうの理解できない人格じゃなく、僕たちの卑怯さや弱さやクズさのの延長線上にある人格だよと。
構成が上手い
役者が素晴らしい。ピエールさんリリーさん、山田君。いいね。
脚本の構成が良かったな。山田君がのめりこんでいくためには彼と同じ視点が必要になる。
だから、中盤は彼は出ずに回送ではなく事件の流れをドラマでみせていく。
それによってラストに歪みがうまれている。
この歪みがすべて。
しかし、酒を飲ませ続けるシーンは見てられない。映画でもあんなの見たくはない。嘘でもね。見たくないものもあるな。
俺を1番殺したいのは、、、
悪いやつがいるもんだなあ
ブッこんじゃうか!?
ノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」を原作とする本作。
実録犯罪モノとしては映画「冷たい熱帯魚」に通じるものがあります。
本作、兎にも角にもキャラが濃い。
須藤役のピエール瀧。
粗暴さと同時に愛嬌があり、須藤の不思議な、アウトロー的な魅力がよく出ていました。
暴力シーンは凶悪そのもの。
無頼寿司の梅さんの恍けた姿とは対極の姿。
非常に怖かった。
そして、「先生」役のリリーフランキー。
この胡散臭さを出せるのは、この人しかいないのでは?
と思わせる程に胡散臭かった。
場面場面でヒョッコリ姿を現す陰湿な凶悪さは直接的な暴力を担う須藤とは別な怖さを持っていました。
ただ単なる暴力を行使する話ではなく所々に会話の妙というか、思わずクスッとするような面白さもありました。
特に、焼却炉での須藤と「先生」の遣り取り。
凄惨な場面なのに思わず笑ってしまいました。
あとは死体遺棄時の死体への演技(?)指導。
そして、須藤の口癖「ブッこんじゃうか」。
映画「冷たい熱帯魚」の中の『透明にする』並みに使いたくなるワードでした。
話の作りも時系列を崩す作りになっており、徐々にピースが当てはまる感じが良かったです。
冒頭のシーンは須藤の暴力的な凶悪さを説明する役割も担いつつ同時に状況の不透明さがあり話に惹きこまれました。
また、後半の須藤の言動の違和感も面白かったです。
全く爽快感は無いものの暗い面白さのある本作。
映画「冷たい熱帯魚」が好きな方。
オススメです。
後味わるー
どちらかというと
人間の醜さを見事に表現した映画
同じ世界と思えない
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