凶悪のレビュー・感想・評価
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リリー•フランキー良い!
リリー•フランキーとピエール瀧がすごい。犯罪者サイドがとても良かった。怖いけれど、もう少し見ていたい、そんな雰囲気。
比べて、記者サイドが弱く写ってしまうのは、可哀想な気もした。
テンポも良いし、面白い映画だったけれど、これが事実を元にしたフィクションだという事を忘れてはならないと、今は感じている…。
凄い怖い。タイトル通り凶悪。
はじめは凝視できなかった惨たらしいシーンに話が進むうちに慣れている事に気が付く。恐い。恐怖しかない。実際におこった出来事なんだと思いながら観た。ピエール瀧もリリーフランキーも嫌いになる。山田孝之の安定感も良い。
瀧の服が面白い
殺人鬼の実録映画だと思ってわくわくして見たら、取材者の一歩引いた目線で描いていたのが残念だった。当事者が犯罪現場の真っただ中で感じる興奮や恐怖心を描いて欲しかった。
ピエール瀧がすごい存在感と演技力のある俳優になっていてびっくりした。服がすごいセンスで面白かった。
凶悪の二面性。
凶悪というタイトルの二面性を最後に思い知らされる。
普通の人間が事に耐えられず凶悪化する可能性を、反面教師の如く
最後まで見せつけてくるところが恐ろしい。
新潮45といえば「5時に夢中」で木曜コメンテーターの中瀬ゆかりが
編集長を務めていた頃の事件になる(さすがマリー・アントワネット)
となるとあの編集長は中瀬!?痩せてるじゃん(爆)なんて思いつつ、
死刑囚の告発による実際の事件を取り上げたある意味ノンフィクション
であるこの作品の内容はかなり重い。
ヤクザと不動産ブローカーと記者の「なすりつけ三つ巴戦」に他ならず、
自分達のしていることが分からないヤツほど怖いものはないと感じる。
本業が役者の山田に対し、リリーとピエール(なんかフランス人みたい)
が仲良し感覚で持ち込んだ演技が却って真に迫り、彼を混沌とさせる。
自分の演技があまりにヘタで死んだ方がマシ、とまで山田に言わせた
今作における苦しみが、そのまんま役柄に乗り移ったようにも見える。
休憩時間に「動物の森」でキャッキャッと遊ぶオジサン二人の演技といい、
保険金殺人の被害者である電気屋(ジジ・ぶぅ)のあの危機的演技といい、
凶悪が真面目を喰いまくってしまう存在感がかなり新鮮。
ヤクザの暴力と、それを支配する「先生」こと不動産ブローカーの
凶悪ぶりに唖然としてしまう本作だが、
最も怖さを感じさせるのは、普通の暮らしの中に蔓延っている凶悪。
ことに老人介護におけるそれは淡々としながら凄まじく描かれており、
主人公記者の家庭でも崩壊寸前にまで悪化する。
見て見ぬふりをするのも、面白がって追いかけるのも、金のためなら
魂を捨てるのも、考えてみればみな凶悪になりつつある存在である。
その掬い方が絶妙で恐ろしく、平静に訴えてくるところがなお怖い。
(それぞれの役者の本性を炙り出したような本作。観応えありますよ)
凶悪
前半の圧倒的な暴力的描写にドキドキ
そして廃墟のような汚れた家の、恐ろしい物語の始まりを覗く
山田くん、彼の演技、力み過ぎかな? りりぃさんほど力ぬけてないよ
でもでも彼の目力は、演技を超えて、心に刺さりました。
あと、脇を固める役者さん達、すばらしい
白石和子さん 吉村鬼婆実子さん おじい様たち・・・
瀧さんは、刑務所入りした後、もう少しおなか減量して、リアル感出してほしかった残念。 監督様ありがとう。
これは予想以上に凶悪で面白い!
私は、通常主人公が悪人や、犯罪者という設定のドラマは嫌いなのだ。
だがしかし、この作品は文句無く面白かった!
この作品では山田孝之演じる主人公のジャーナリスト自身は決して悪人ではないのだが、事件と関わる中で、彼自身が家庭と仕事との板挟みになり、公私共に追い詰められていく。その過程で、彼の気持ちに変化が生れる。
その変化こそが、この悪人達に付け込まれるような、可能性をはらんだ、誰にでも起こり得るかも知れない危険な香りがする。
そんな同質感を持たせながらドラマが進行して行く面白さに魅かれた。
山田孝之は未だ若い俳優だけれども、彼は多才なキャラをこれまで演じて来た非常に巧い俳優だと思う。この映画のラストも、ぞっとする位、このジャーナリストの心の闇、心情が出ていて良かった。
そして何と言っても、この映画では最高に超不気味で良い芝居が冴えていたのが、先生と呼ばれる、悪徳ブローカーを演じたリリー・フランキーだ。
つい先ごろ公開された「父になる」では、彼は人の良い、人情派の電気屋の親父さんを演じていたが、この映画では、偶然にも、人の良い電気屋の親父に保険金をかけて、自殺に追い込ませると言う逆転の役処には驚かされた。
この小心者の先生と言う人物が、次々とピエール瀧演じる須藤と言うヤクザ者を利用して、殺人をさせていく辺りの、背筋の寒くなるような展開から一瞬も目が離せなかった。
そしてジャーナリズムの持つ正義の意味についても考えさせられたし、個人の正義感や、良心を持続させる境界とは何か?何が人を犯罪へと駆り立てるのか?などなど、人間の心の闇について色々想いを巡らせられる作品だ。
本当に人間の心の中に芽生える憎しみは、初めはちょっとした些細な出来事から、生れるのかも知れない。そしてその小さな憎しみの気持ちが殺意へと変化するのは、そんなに大きな劇的な変化を必要とせずに自然とやって来るのかもしれない。正に誰でも、凶悪になる可能性が有る恐さを感じさせる所にこの作品の面白さが有る。
夏前に公開された「二流小説家」では、いかにも精神を病んだ犯人の犯行の動機の、その異常さに驚嘆したが、この作品では、人の善悪を隔てるボーダーラインの危うさに有り、実は、通常高いと思って信じているそのハードルも案外楽々と凡人でも越えてしまう瞬間がある。そんな恐さが、ミステリー要素の全く無い本作が、心の闇と言う人間の心のミステリアスな真実に踏み込んだ面白さが最高だった。この映画の終映後は、それぞれのキャラクターを通して、人間の善悪、人の心の不思議な力を思わずはいられない!
山田孝之の演技力
山田孝之×ピエール瀧のやり取りが素晴らしかったです。
特に山田孝之はドラマや映画で幅広い役をこなしますが彼が今1番勢いのある俳優さんだと改めて実感するとが出来ました。
日を増す毎にヒゲを伸ばし、髪の毛をボサボサにしたり、また時にはヒゲを剃ったり。外見だけではなくその演技力は素晴らしいものがありました。
この映画は実話を元にしているとのことで本当にあった事件なのかと思うとゾッとします。特に劇中でもありました(詳しくはネタバレになるので伏せます)が山田さんが警察の人に叫ぶシーン。
今の日本には様々な未解決事件があります。その警察の無能さに対して叫ぶ声が凄く響きました。
個人的には同じく警察の無能さを世間に示した「桶川ストーカー殺人事件」も映画化してもらい、同じ記者役を山田孝之にやって頂きたい。
なぜなら、そのような事件を風化させてはいけない。
そこらへんの俳優さんがやると実際におられる被害者の遺族や関係者に余計な哀しみを背負わせることになってしまう。
しかし、山田孝之ならそれすらも許せる演技力がある。そう思っています。
昔、白夜行や世界の中心で愛をさけぶ等多くのドラマで主演していた頃から今や映画がメインとなってしまった山田孝之さんですが、彼の演技力こそ本当に役者が伝えなければいけないモノが隠されているのだと思います。
最後に、長くなりましたがこの映画もそれくらい長いです。恐らく2時間15分くらい。良い意味でですが。
この作品は是非劇場で見てもらいたい。
以上です。
後味は悪い
狂気と直に触れあい事件の渦中の人となる作品とは違い、
どこか淡々としていて、
解体した死体を焼く様は美しくさえ見えるのは、
記者藤井のフィルターを通した世界であるからだろう。
安全な場所から傍観する者に、同じ現実を生きる池脇千鶴が
「楽しかったんでしょう?」と問うと、二重のバリアが破られて、
世界のただ中に放りこまれるような気分にさせられ、はっとする。
藤井の妻の立ち位置と視点こそ、この映画の最も面白いところだと思う。
そこにはいかないけれど、薄皮が剥がれると、どんな闇が飛び出すのかわからない。
保険金殺人の一家は紙一重のところにいる。
また、最初と最後の山田孝之とピエール滝の対比がすごい。
ぼんやもっさりしていた山田が徐々にぎらぎらとした眼差しになり、
滝は怒りや憎しみから解放され、涅槃の境地にいる。
生き埋めになる老人の姿を思えば、後味はすこぶる悪いが、
凶悪はもう一度観たくなる。
あと、藤井の上司役の村岡さんが好きです。
出会ってはいけなかった悪魔が二人
須藤と先生、出会ってはいけなかった悪魔が二人。
ワイドショー的に知っていた事件ですが、殺してなお平気な顔でズルズル続く尊厳の冒とくを突きつけられると本当に恐かったです。
闇に魅入られたかのように取材にのめり込む記者・藤井によって見えてくる凶行。無表情を装いながら揺れる藤井の感情、山田孝之が見事でした。
家族のエピソードはちょっと緊張をそがれる感じもしました。悪魔達は恐いが魅力的で、彼等との対決だけで充分見応えがありました。
ピエール瀧とリリー・フランキーが違うタイプの悪魔を熱演、恐ろしかったです。
どっちも恐いけど、私はピエール滝演じる須藤の、元々地獄の住人みたいな腹のすえっぷりが恐かったです。
物証はほとんどなく、告発者は悪魔の片割れ。こんな事件の裁判員になっちゃったらどうしよう、どうしよう…。
うっかり寝る前に頭に浮かんで、眠れなくなってしまったよ。
罪悪感抱いて生きた方がマシ
この映画の元になった事件はニュースで聞いた覚えがあった。
“先生”とか“死の錬金術師”とかいうワードにも聞き覚えがあった。
そのときは「世の中怖い人間がいるもんだねえ」くらいにしか
思わなかったものだが……
ピエール瀧演じる死刑囚・須藤の、冒頭10分で呆気に
とられるほどの凶悪ぶり。これを観てもう「嫌なものを
観てしまった」という感覚に襲われた。
日常のすぐ裏側に、こんな陰惨な世界が広がっているなんて
信じたくないが、ちょっと暗がりを覗けばこんな世界が
やっぱり存在しているんだろうか?
この映画がどこまで事実に基づいているかは分からないけど、
そんな不安と薄気味悪さを覚える。
リリー・フランキー演じる木村“先生”はもっと恐ろしい。
パッと見は温厚そうなごく普通のオジサンだが、
オモチャで遊ぶ子どものように無邪気に笑いながら人をなぶる。
それはそれは楽しそうになぶる。そうして殺した後は妙に冷静で、
まるでゴミ処理か何かのようにてきぱきと死体を片付ける。
今から殺す人間の横で死体処理の相談をしたり、燃やしてみたい
と興奮したり、終いにはこんな言葉まで吐く始末。
「老人を殺すだけで金が溢れてくる。まるで油田だよぉ」
……いや……なんというかもう……色々とどうかしております(笑)。
焼却炉のくだりの後でクリスマスパーティなんてとてつもなく
狂ってるし、子どものランドセルに現金を忍ばせるなど、
金銭感覚もトコトン下卑(ゲス)い。
彼は終始そんな感じなので、“先生”と呼ばれるほど
殺しのやり口はスマートに見えない。
なのに、捕まらない。共犯者や被害者自身の罪悪感を躊躇なく
利用するので、そもそも事件が事件として露見しない。
彼からは罪悪感という感情が微塵も感じられない。そのくせ、
他人の罪悪感につけ込む術は熟知しているというこの厭らしさ。
罪悪感。
本作におけるキーワードはこれだと感じる。
“先生”に脅されるままに家族を見殺しにした人々の怯えた顔。
痴呆の進む母親を施設に入れられないでいる主人公。
その主人公の母親に手をあげた事を告白する妻。
波風を立てずに問題を解決できないかとずるずる結論を
先伸ばしにする内に、いよいよ袋小路に追い詰められた人々。
考えたくない問題から逃げ続けても、最後には抱えきれないほどの
重さになって自分にのし掛かってくるだけなのだろうか。
時には罪悪感を抱える覚悟を決めて終わらせた方がマシな事が
世の中にはあるのかも。ううむ、なんだかしんどい。
ラスト、薄笑いを浮かべてコツコツとアクリル板を叩く“先生”。
ひとり取り残された記者の虚ろな表情。
ああして見ると、アクリル板を挟んだあちらとこちらで、
どちらが犯罪者か分からなくなってくる。
良心や罪悪感といったブレーキが、
蓄積された怒りや憎しみで壊れてしまったら、
僕らとあの人殺し達との間に、大した差はないのかもしれない。
主人公はジャーナリズムという盾に隠れて“先生”を殺そうとした。
そしてそれを観ている僕も、“先生”が殺される事を望んでいた。
さらに言えばだ。この惨すぎる事件の経緯を、
好奇心いっぱいに見つめていた事も僕には否定できない。
「あなたはこれを楽しんでいたのよ」
記者を嘲笑うかのようにその妻が言い放った台詞にぎくり。
いやいや、だからと言って、人間の本性は所詮凶悪さの塊だと
認めるつもりはさらさら無くて、あんな人間になるくらいなら
罪悪感を抱いて生きてた方がマシだと思う、多分。
そんなご高尚な事をいつまで言えるかだが、なるべく頑張らんと。
決める事は早く決める! 危ない事には手を出さない!
なるだけ平和に生きられるようにしたいもんです。
ごくふつうの人間の奥底にある嫌な部分を覗き見るような映画。
ずっしり重いけれど、見応え十分。
〈2013.9.鑑賞〉
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追記1:
文脈に合わなかったので、
須藤の最後の姿について追記として書く。
須藤が本当に神を信仰するようになったのか、それともあれが
量刑を軽くするためのパフォーマンスだったのかは分からない。
だが、被害者に対する彼の懺悔の念が薄弱である事は分かる。
本当に後悔している人間は、赦されたいという気持ちを
感じる事にすら罪悪感を覚えるものだと思うから。
赦される余地があると考えている時点で、
彼の懺悔に大した価値はないと個人的には思う。
被害者の遺族は死ぬまで怒りと罪悪感で苦しみ続けるのに、
殺人者は勝手に自分を赦し、心の安寧を手に入れるという、
この胸糞悪い矛盾。いやはや。
追記2:
酒で殺害された老人を演じたのはジジ・ぶぅという役者さん。
生き埋めにされた老人を演じたのは五頭岳夫という役者さん。
どちらも肉体的にも精神的にもしんどい役だったと思うが、
このお二人のお陰で現実味のある恐ろしさが出ました。
お二人に労いの言葉を掛けてあげたい。
ちょっと長い
丁寧なストーリー展開です。
殺害シーンは、内容からくどいシーンになっても不思議ではないのですが、そこはちゃんとくどくないように編集されています。
推理小説の知的展開を望まれる方には、お勧め出来ません。
知性は感じられません。
驚くほど単純な発想で殺人を実行して行きます。
ですが、実際の殺人事件も本当はこの作品のような展開ではないでしょうか。
努力せずに金になる、気に食わないから・・などなど、新聞を読むと何時も感じている殺人の理由を映像化したように思えます。
あなたの周辺の人間が、殺人者に変質するのは、こんなに簡単な事なんですよ・・・と訴えているのかもしれません。
ですが、少々長く感じられ、後15分ほどカット出来る編集にしてくれればより作品が締まったような気がします。
主人公が、力が入りすぎているようで、抜き=絶望の演技が欲しいところです。
脱力感が、深い絶望を表すのではないでしょうか?
なんの感動もないけど
いい映画だと思いました。
この映画は事件を追うにつれて山田孝之やピエール瀧、リリーフランキーの心情の変化を見る映画じゃないかなと思います。
そしてその心情の変化を圧倒的な演技力で表現してくれるためおもしろい。
山田孝之とピエール瀧の面会の場面では、前半は笑っていた山田孝之も後半は殺意があるような目つきでピエール瀧を睨むところや法廷での場面、それとともに山田孝之の家庭内をリアルに描き山田孝之が墜ちてく様を感じとることができると思います。
そしてリリーフランキーとの面会も印象的。
いろいろと見所があるけれど、すべてにおいてこの映画はなんかリアルで怖かったです。
悪人は死なず
極悪人の主人公のピエール瀧とリリーフランキーは死なず。雑誌記者の山田孝之の懸命な調査がどちらの極悪人をも生かしてしまった、後味が何とも悪い話。見事なほどに後味が悪く高得点です。
話の中で中々リリーフランキーが出てこず、イラついたがそれも狙いなんでしょう。後半のテンポ良いストーリー展開が引き立ち、のみこまれました。
各役者の眼差しが印象的。
登場人物の心理描写に惹きつけられるものがありました。特に法廷でのリリーフランキーの全てのものを睨みつけるような眼差しや、山田孝之の後半になるにつれて重っ苦しくなる眼差しなど、役者の眼力で言葉を超えた心情を訴えることに、成功していたと思います。全ての役者さんの眼差しが印象に強く残りました。
作品のテンポは前半はやたら間が悪く、退屈な感じを受けましたが、後半に向けて畳み掛けるような作りで、前半のテンポの悪さが逆に、いいバランスのテンションを保ってくれたので、個人的には良かったです。
ただ、これといって、鮮烈に印象に残るシーンがなく、前のめりになって鑑賞することが出来なかったです。
唯一、リリーフランキーの小躍りは心に残りそうです。
余談ですが、ピエール瀧が出てくる度に、『瀧さん!がんばれ!がんばって凶悪になってください!!』と、心の中で思わず応援してしまったので、それがノイズに、なってしまったのかもしれません。。。
人間の恐ろしさをまともに浴びせてくる
コメディからシリアスドラマ、善人から悪役まで器用にこなす山田孝之はともかくとして、ピエール瀧とリリー・フランキーがここまでやってくれるとは。
この作品は、この3人の成りきり演技と、時系列を巧みに組み立てた編集の上手さに尽きる。
取材が仕事とはいえ、そんなに深追いして大丈夫なのか気が気でなくなる記者の藤井。
自分に着いてくる者には優しいが、疑い深く、人を信じ切れないヤクザの須藤。
小心者のくせに、心の奥にどす黒いものを持つ“先生”。
この3人がトグロを巻くと、人間の恐ろしさをまともに浴びせてくる。
世の中にはとんでもなく悪い奴がいることは確かだが、ここまでストレートに描いた作品は初めてではないか。どこかで自制するものだが、作品そのものが凶悪者のように自制を投げ捨てている。凄い映画を撮ったものだ。
撮影の合間、あの3人がいったいどんな顔で過ごしていたのか見たくなる。
普通人 板子いちまい 犯罪者
今まで見た映画で一番怖ろしい映画でした ピエールさん勿論最悪に恐い
リリーさん心底恐い でも本当に怖ろしいのは電気屋の家族落ちていくくだり
土建屋の親父 皆私たち普通の市民ですよね 幸いわたしの家も山田孝之の
家庭と同じく呆けた親を施設に入れれたけど 本当に持て余した時電気屋に
なる可能性も~ 団塊の世代もその家族も他人事ではない
白石監督若いのによくこんな映画撮ったね
まじめで固い視点で描く異常な事件。
見ながら、やっぱり園子温や北野武は才能があったんだ、と思わざる得なかった。
何を楽しみに観に行ったかと思えば、やっぱり恐怖とそれを超えた笑い、どっちにしろ強い刺激が欲しかったんだけど、初めて見た白石監督は真面目でいい人なんだろうな、と思った。
極悪非道過ぎて笑えてくるようなニュアンスの狙いは外していた。だけでなく、恐怖も感じなかった。記者の背後のドラマは凡庸過ぎて更に不発。狙って成功してないのはなんでだろう。
その前に、雑誌記者が死刑囚と会って回想における事件に突入していくまでが既に退屈。記者の背後としての“家庭の事情”もたいした同情を感じない。事実がどうかはしらないけど、描写が凡庸で緊張感がない。“事実”というのが枷になってるのか、フィクションとしては突き抜けてないし、リアリティドラマとしては装置も見せ方も芝居も驚きがない。ドラマとしては巻き込まれた記者視点で、それこそ「ほんとにあった呪いのビデオ」みたいに見せていったほうが、「怖く」はなったと思うけど、商業映画としてこういったキャストを配しているのなら、やはりフィクションとして突き抜けたかった。いいキャスティングがもったいない。
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