薔薇の木にバラの花咲く
劇場公開日:1959年3月11日
解説
新婦人連載中の芝木好子の同名小説を映画化した女性文芸もの。「特ダネ三十時間 第三の女」の舟橋和郎が脚色し「濡れた瞳」の枝川弘が監督した。撮影も同じく「濡れた瞳」の秋野友宏。
1959年製作/83分/日本
劇場公開日:1959年3月11日
ストーリー
ブルジョワの藤堂家次女マリ子の家庭教師をつとめるアルバイト学生矢野黎子には、赤線の女となっている姉の銀子があった。貧しさと戦いながら生活する黎子に、学友の鳴海一が、なにくれとなく相談相手になってくれた。藤堂家の長女友絵は典型的なブルジョア令嬢で、財界の大物を父にもつ青年設計技師・叶冬彦を秘かに愛していた。藤堂家で冬彦に会った黎子も、知的な彼にひかれるものを感じた。冬彦も黎子を愛しはじめていた。箱根行のドライヴで、二人の仲は急速に進展した。しかし黎子は、姉のことを考えると、不吉な予感が胸の中にわきあがるのだった。数日後、冬彦の設計した藤堂家の別荘びらきが箱根で行われた。友絵の視線は嫉妬にひかって黎子と冬彦を追っていた。そしてその夜、冬彦と黎子はお互に結ばれた。冬彦の愛情は当然結婚にまで進んだ。祖父母を説得し、両親に彼女を会わせるところまで話は進んだ。そんな時、鳴海の学友秋山を通じて、黎子の姉の身の上が友絵に知れた。友絵からこれを聞いた冬彦は、独断で姉銀子のもとを訪ずれて、彼女とそのヒモに金を与えて遠い土地に去らせた。後にこれを聞いた黎子は、自分と冬彦が他の土壌に育ったことを改めて思い知った。二人の愛は互に異なる土壌では花ひらかないのではないか。彼女は、冬彦と別れることを自分から決意した。鳴海一を訪れた黎子は、自分の過去と、現在の決意を告白した。一度は鳴海は彼女から去っていった。けれども再び彼女の前に現れた彼は、ヒモと別れさせた姉を黎子のもとにつれてきてくれた。学友たちのいたわりと歌声に祝福されて、黎子は、自分の世界に住む鳴海一と、新しい生活をはじめることを心にきめた。