何処へ(1966)

劇場公開日:

解説

石坂洋次郎の同名小説を「女の中にいる他人」の井手俊郎が脚色、「喜劇 駅前弁天」の佐伯幸三が監督した文芸もの。撮影は「大工太平記」の村井博。

1966年製作/91分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1966年3月16日

ストーリー

ある田舎町の中学に英語教師伊能琢磨が赴任して来た。キリッとしたスマートさに、退屈しきった町の人々は騒然となった。現代子芸妓新太郎、出どもどり娘三保子、山中圭子先生、担任の玉田金助の姉艶子、木山校医の娘安子などの闘志で、快男子伊能もたじたじの形だ。さて学校では、職員室ののんきそうな雰囲気とはうらはらに、清水校長派と田島教頭を中心とする反校長派とが猛烈な鍔ぜりあいを演じていた。そんな時、体育教師の野口が生徒を殴ったことから、緊急職員会が開かれ賛成派の野口と反対派の伊能を中心に議論はふっとうした。善人だが肝っ玉の小さい清水校長は、自分の唯一の理解者は新太郎の抱え主の才太郎姐さんだと自認、女房役として高くかっている。だがこの才太郎姐さんはPTA花山会長のかくれた愛人で、清水校長は花山が大の苦手であり、どうもスムーズにゆかない。だが伊能も担任の玉田金助がまきこまれた中学生同士の乱闘を仲裁しようとして、思わず生徒を殴げとばした。暴力否定論者であった伊能は、この事件で周囲の蔑視に会った。一方、数学教師坂本は、圭子が伊能に秘かな思慕を寄せていることを知り大担にも一大決闘を申し込んで来た。その頃、反校長派の田島グループに木山医師から秘密書類が手渡された。才太郎姐さんの胃けいれんの治療をした木山が、手に入れた清水校長からのラブレターなのだ。清水校長攻撃の証拠書類を握って、反校長派は大はりきり。また校長派はもみけしに暗躍した。だが花山会長の名裁判でことは意外に簡単に落着した。和解が成立したのだ。ところが数日後、伊能と艶子の道行きをみかけた新太郎は、ヤケ酒を飲んで大あばれ。だが艶子はそれからまもなく、果樹園で働く松野健三のもとへ嫁いだ。圭子先生も坂本と結ばれ、新太郎も大阪へ行くという。そして伊能もまたこの土地を離れてゆく決心をした。

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