末は博士か大臣か

劇場公開日:

解説

「八月生れの女」の船橋和郎が執筆したオリジナルシナリオを川口松太郎が潤色、「停年退職」の島耕二が監督した文芸もの。撮影は、「視界ゼロの脱出」の渡辺公夫。劇中劇「父帰る」に花布辰男、耕田久鯉子などが出演。

1963年製作/95分/日本
配給:大映
劇場公開日:1963年9月21日

ストーリー

良き時代明治の末期、高松中学の五年生、菊池寛と綾部健太郎は、学問では菊池が出来、将棋は綾部が一枚上、腕白ぶりは甲乙なしという親友である。小説家志望の菊池は高校、大学と進みたかったが、家の貧乏がそれを許さず、やむなく高師へ入る、綾部は五高に入学、互に奮闘を誓って別れた。上京した菊池は高師を退学して一高に入学。ここで彼は芥川竜之助久米正雄らを識り、彼らと共に夏目漱石を訪れた菊池の心には文学への情熱が更に湧き上ってくるのだった。図書館へ行く電車賃にさえ不自由しながらも、菊池は猛烈に勉強する。ある日友人青木から頼まれて質入れした本が、学校の図書館から盗んだものであることから菊池に疑いがかかる。教育者の息子としての青木の立場を考えた菊池は退学を決意した。大学検定試験を経て京都帝大に入った菊池は綾部と再会した。綾部の下宿先佐藤邸の咲子夫人の理解で二人は一緒に勉学にいそしめるようになった。一方芥川は、「鼻」を発表して一躍文壇の寵児となっていたが、菊池の書くものは誰にも認められなかった。大学卒業後菊池は上京して新聞記者となり、妻包子を迎えた無名作家として、辛酸をなめながらも菊池は創作に没頭した。歌舞伎に不満を持ち真のリアリズムドラマを、という菊池の考えを聞いた綾部は、その劇の上演に奔走した。その頃「無名作家の日記」が滝田樗蔭に認められて原稿料を手にした菊池は綾部の所に駈けつけた。大正九年十月、綾部の努力が実を結び、「父帰る」が初演された。どよめくような歓声の起ったその席に芥川久米などの顔も見えていた。

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スタッフ・キャスト

監督
脚本
舟橋和郎
脚色
川口松太郎
企画
加賀四郎
製作
永田雅一
撮影
渡辺公夫
美術
仲美喜雄
音楽
大森盛太郎
録音
西井憲一
照明
渡辺長治
スチル
薫森良民
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映画レビュー

3.5菊池寛の人生行路を楽しく温かく描いた大映制作の喜劇

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

大映映画の初代社長である菊池寛の立身出世のサクセスストーリーを人情味溢れる喜劇に仕上げた作品。主演フランキー堺のキャラクターと演技力が素晴らしい。親友綾部健太郎役の船越英二と息の合った共演を見せてくれます。偉人伝の堅苦しさとは無縁の、時に男の友情に涙を流しながら笑える、温かい喜劇。

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Gustav

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