望郷の海
劇場公開日:1962年10月21日
解説
「銀座の旅笠」の甲斐久尊のオリジナル・シナリオを、「銃弾の嵐」の古川卓巳が監督したアクションもの。撮影は「渡り鳥故郷へ帰る」の伊佐山三郎。
1962年製作/79分/日本
配給:日活
劇場公開日:1962年10月21日
ストーリー
待望の世界タイトルへの前哨戦ともいうべき試合は、清の強烈なパンチのラッシュによって宿敵竹村がマットに沈んだ。清のトレーナー雄志は、元全日本のチャンピオン、今は自分の夢である世界タイトル奪取を清に託していた。雄志と婚約者の恵子が勝利を喜び合ったのも束の間、八百長ボス井沢のたくらみで清と恵子が一瞬にして殺されてしまった。ボロクズのように裏切られた雄志にはもはや生きる支えがなくなってしまった。一方、敗れた竹村も井沢に捨てられたことから発狂し、妹のせつ子が面倒を見ていた。せつ子に会い、井沢が企んだ偽装心中という恐るべき事実を聞かされた雄志は、もはや復讐を果たす以外に人生はないことを知った。“井沢はどこに……殺してやる……”雄志は、東北の小都市を牛耳る兄を頼って身をかくした井沢を追って東京を発った。これを知った井沢やその兄は、雄志を消すことを計画した。そして井沢の計画が成功し雄志は殺されたかに見えたが……その死体はみつからなかった。一方、せつ子もこの町に来ていた。ついにボスは、雄志の追跡をくらますために井沢の葬式を盛大に出し、四、五年井沢を海外に飛ばそうと企み、さらに、葬式に現われる雄志を殺害しようと計画を進めた。その当日、花輪の間から雄志が現われた。その顔には“ヤツが死ぬわけがない”という憤りがありありと見えた。「ヤツはあの島で高飛びの支度をしている」遠く沖合いに見える廃坑の島を指したのはトップ屋の白石だった。島に着いた雄志は、廃坑から廃坑へと井沢を追った。泥まみれの激しい死闘……。井沢を波止場に連れ帰った雄志を、ボスを先頭に一味が待っていた。一斉に拳銃が火を吐いた……。パトカーと一緒にかけつけたせつ子に雄志は力強くいい切った。「俺の新しい人生がもう一度カムバックだ」