神様なぜ愛にも国境があるの
劇場公開日:1979年11月3日
解説
ヨーロッパを放浪する日本青年とスイス娘との間の恋を描く。現在グリンデルワルトに住む中島正晃氏とフレーニ夫人の実話を小説にした草鹿宏の原作をもとに脚本は篠崎好と「陽のあたる坂道(1975)」の吉松安弘の共同執筆、監督も同作の吉松安弘、撮影は「俺の空」の原一民がそれぞれ担当。
1979年製作/80分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1979年11月3日
ストーリー
ヨーロッパを放浪するカメラマンをめざす日本青年、速水翔はスイスのグリンデルワルトでワイマール老人の経営するユースホステルで働くことになった。ある日、翔が小川のほとりに出ると、金髪の少女が芹摘みをしていた。「写真を撮らせてくれませんか」という翔に羞う少女、その時、芹を入れた籠が流され、翔は川に飛びこみ籠を拾い上げる。彼女はリリアーヌと名乗った。傷の手当をしてくれる彼女に、両親を早く失った翔は、母のような優さを感じる。そんな二人を彼女の両親は心配そうに見ていた。その頃、ユースホステルを訪れる娘のアニタが翔に魅せられてしまう。しかし、翔はアニタの誘いに乗らず、リリアーヌへの思いが高まるばかりだ。痴妬したアニタは翔に誘惑されたと吹聴し、ワイマー老人に誤解を受けてしまう。リリアーヌの母ローズマリーも娘の身を案じて翔と会うことを禁止、二人の思いはますます強くなった。山小屋で愛を誓う二人。しかし、スイス娘を誘惑したことと、正規の労働許可を持たずに働いたとして翔に二年間の国外退去命令が下った。バーゼルの国境検門所に駆けつけたリリアーヌは翔にいくらかの金を渡すと、「夢だけは捨てないで」と告げると、「神様なぜ愛にも国境があるの」とつぶやいた。町に戻った彼女は翔の無実を証明するため弁護士、警察と奔走する。そして、彼女の努力のかいあって、翔に二日の入国許可がおりた。しかし翔はグリンデルワイト行きの終電車に乗り遅れ、愕然とする。明日中にはスイスを出国しなければならない。止める駅員に翔は道なき暗へ駆け出す。凍てついた岩場を辿る翔を支えているのはリリアーヌへの熱い思いだけだ。二人はついに再会した。そして二人の強い愛に周囲の人々は、誤解をとき、祝福を送るのだった。