狼たちの午後

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

「セルピコ」(1973)でもタッグを組んだシドニー・ルメット監督とアル・パチーノが再タッグを組み、実際に起きた事件をもとにした緊張感満点の犯罪サスペンス。ニューヨーク、猛暑の白昼。銀行に3人組の強盗が押し入る。しかしそのうちのひとりは逃亡。その上、銀行には小額の現金しかなかったことがわかる。犯人のソニーとサルはあっという間に警官隊に包囲され、人質とともに篭城せざるをえなくなる。一方、集まった野次馬たちは犯人を応援するという異常な事態に。そんな中、ソニーが犯行に走った理由も明らかになるが。はたして事件の行方は? アカデミー賞で作品賞ほか6部門にノミネート。フランク・ピアソンが脚本賞を受賞した。

1975年製作/124分/G/アメリカ
原題または英題:Dog Day Afternoon
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1976年3月13日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第33回 ゴールデングローブ賞(1976年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) アル・パチーノ
最優秀助演男優賞 ジョン・カザール
最優秀助演男優賞 チャールズ・ダーニング
最優秀監督賞 シドニー・ルメット
最優秀脚本賞 フランク・ピアソン
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写真提供:アマナイメージズ

映画レビュー

4.0ストックホルム症候群

2025年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

怖い

興奮

三人組の銀行強盗が押し入るが、一人は今更ながら嫌だと言って出ていってしまう。
残った二人の内、リーダー(アル・パチーノ)は警察に取り囲まれたと知り、脱出方法を考える。
もう一人(ジョン・カザール)は無知で人を殺したくてウズウズしている。
実話でドキュメンタリー感覚だけど、緊迫感は伝わってきて、最後は死人が出ないことを祈るのみ。

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いやよセブン

2.5犯人に全く同情も共感もできない

2024年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 『十二人の怒れる男』のシドニー・ルメット監督の映画ということで興味を持ち鑑賞。

 銀行強盗から立てこもりの経緯はリアリティがあり良かった。だが、ただ事実を再現しただけの映画という印象だ。そこに映画として込めたテーマが何なのかよく分からない。銀行強盗という重罪を起こす人間の心理を描くというのがテーマなのかもしれない。だとしても、配偶者の性転換手術の費用を稼ぐために事件を起こした犯人に対して、全く同情も共感もできなかった。なぜこれでアカデミー賞六部門ノミネートなんだろう。

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根岸 圭一

3.5あれよあれよという間に…

2024年8月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

計画性のない銀行強盗をし、すぐに通報されあっさり逮捕と思いきや…緊迫した立てこもりの様子が繰り広げられる。
やけど、人質のはずの銀行員たちは犯人たちと遊んだり、普通に会話をしたり。ストックホルム症候群という言葉を思い出した。

アルパチーノはこういう追い詰められた役がぴったり!観る映画毎回追い詰められている!(セントオブウーマンとか違うけど)

画がほとんど変わらないのに、退屈させないアルパチーノの存在感が素晴らしかった。

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共感した! 1件)
める

4.5タクシー・ドライバーと表裏一体

2024年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

難しい

アル・パチーノが素晴らしい。監督は演技のほとんどを役者のアドリブに任せたらしいと知り驚いた。脚本=構成がしっかりしているのと、パチーノの演技がとりわけいいから可能だったんだろう。

サル(ジョン・カザール)がベトナム帰還兵だということは冒頭のソニー(パチーノ)の言葉でわかった。ソニーは銀行の業務に詳しく銀行で働いていたからだと本人も言っていた。そのソニーもベトナム帰還兵だったことはかなりあと、空港にむかうバスの中?いや、銀行にたてこもっているソニーに会いに来た母親が言っていたのか?そこで知った。

サルは口数少なく極端と言えるほど人を信頼できない。恐怖感から逃れられず危険な空気をずっとまとっていた。何をしでかすかわからない。それをソニーはよくわかっていてサルが暴発しないように常に気をつけている。サルの危険性は警察もFBIもわかっていた。とはいえ結局何もしなかったにも関わらずサルは呆気なく額を撃たれて殺された、警察によって。「アッティカ!」と叫びたくなった。

ソニーもベトナム帰還兵なのか。銀行で人質の女の子に銃の扱いを教えていた。ソニーの個人的な理由によって企てられた銀行強盗は確かに計画的でなく杜撰だ。だがその無計画性がわかってからもソニーは冷静を保ち人質を安心させ人質の健康状態や食事などに配慮した。監視カメラ、裏口チェック、盗聴、警察やFBIとのやりとりや身体チェックも用心深く行う。だからソニーは強盗の行動面から見ればかなり完璧だったと私は思った。ただ、実行に移すまでの日々はかなり狂っていた、或いはおかしかったようだ。それは恋人のレオンや妻のアンジーのことばからわかる。保険がないから(だったかな?)職を得られない、妻のアンジーとやっと電話で話しているのに妻は日常的な夫婦喧嘩状態でソニーの言うことに耳を傾けない。母親も色々とまくしたて嫁の悪口を言うだけで息子の話を聞いていない。レオンも自分がいかに病院で辛かったか、あんたと別れたかったと言うだけでソニーのことばも気持ちも聞いていない。それでもその三人へのソニーによる「遺書」は彼らへのあたたかいことばに満ちている。

人質達とそれほど悪くない、良好とも言える関係を築いていたのに、空港に着いて解放された人質たちは一人としてソニーの方を振り向かなかった。あちらへ行く人質の背中を見て、こちらでは担架に載せられたすでに死んだサルを見てソニーは涙を流す。

タクシー・ドライバーのトラヴィス(デニーロ)と同じじゃないか。トラヴィスとソニーは違う。性格も人との関係性もまるで異なる。けれどベトナムから戻り、何か違う、なぜ自分はこんな環境に置かれているのか、変だ、おかしいと思っている。おかしいのは自分か?周りか?それもわからない。

前半はすごく笑える映画だった。でもコメディではない。警察権力、マスコミ、応援したり好奇心丸出しだったり目立ちたがり屋の大衆、マイノリティに対する偏見、1975年の映画だけれど今と変わってない、或いは今だって何も変わってないじゃないか。

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共感した! 7件)
talisman