ヒミズのレビュー・感想・評価
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染谷と二階堂の組み合わせだけで映画としては勝ち
紙一重の狂気という点で古谷実の世界は漫画が最も味わえるというのを再確認。ストリートミュージシャン(西島隆弘)とバス内でおばさん(木野花)が襲われるシーンの臨場感はさすが。金銭強盗に入った二人(窪塚と渡辺哲)のもとに家主が帰ってきて一悶着あるシーンが恐怖の中の笑いが表現できてて一番古谷実らしかった。ラストが拳銃自殺せずに走り出す改変(すみだがんばれー!)はいいと思った。製作途中に震災が起きてしまったゆえ、瓦礫の映像を入れざるを得ない監督の意図は伝わるが、物語とは関係ない印象を持ってしまった。
誰かが自分を愛してくれること
子供は親を選べない。生まれた環境も選べない。
親が子供を絶対に愛してくれるっていうのは、当然のことのように考えられているけど、その動物だって普通に持っている子供への愛情を持っていない親はたくさんいる。
「生まれてこなければ良かったのに」と親から言われる感情は、正直私にはわからない。その言葉を受け止められないように思う。
この主人公もその彼女も親からの愛情は受けていない。むしろ、死んでほしいという殺意に近い感情をぶつけられている。
無条件で受けられるはずの愛情を受けられず、憎しみだけを投げかけてくる家族。そんな家族なら、いない方がいい。
なのに彼らはまわりの人を憎まない。主人公は、震災で家をなくした人たちを助けている。彼女は、壊れかけている主人公のボートハウスを手伝いながらも彼を愛して彼を励ましている。
受けられるはずの愛情は受けていないのに彼らは、少しづつまわりから愛情を受け取っている。
主人公が最後にどうせ死ぬならこの命を何かに役立てたいと思い、自分が犯罪を犯してでも社会の悪人を殺したいと思ったその気持ちは、どこから来たのだろう。
そして、そんな自暴自棄になっている主人公に対して、最後に「がんばれ」と励ましている彼女の愛情は、何から生まれたんだろう。
世の中で親からの虐待、いじめ、憎しみをぶつけられることはたくさんあるけど、必ず、誰か自分を愛してくれる人はいる。(それは、親じゃなくても)そんなことを考えた。
何か抽象的な観念に囚われて現実がついていかないとき、人は、その差を...
何か抽象的な観念に囚われて現実がついていかないとき、人は、その差を埋めるためにもがく。そこに人の苦悩はある。
理想と現実のギャップを埋めることができれば苦悩からは解放されるが、そのギャップを埋める速度には限界がある。それもまた苦悩になる。
園組オールスター
普通に生きることが目的のボート屋の息子、住田と病的なほど彼に夢中な少女、茶沢の2人をメインに理不尽で容赦ない現実を描いた園子温監督の怪作にして傑作と呼び声の高い一本。
THE園映画な作品を鑑賞。
キャスト的にも園組オールスターといってもいいのではないだろうか。
これだけのキャスト陣の中で主役を張る染谷将太。園子温監督に会いたい一心で新宿のゴールデン街に中高生にして出入りしていたという噂もあるが、本当なのか?笑
無気力だが普通に生きることを目標とし、周囲のホームレスからやたら好かれる謎の多い中学生を演じる。
親父から虐待され、借金を押し付けられ、何度も何度もお前は産まれて来なければ良かったと面と向かって言われ続けること1時間超。
溜まりに溜まった怒りを一心不乱に親父にぶつけ、とうとう殺害。様々な感情が混じり合い精神不安定になり、泥の中をのたうちまわるシーンは壮絶にして正直ちょっとシュールで笑えちゃう笑。
警察へ行く前に少しでもこの命を世のため人のために役立てようとする突然のトラヴィス思考で出刃包丁一本持って東京へ。
雑魚めのチンピラ新井浩文を刺すも、とある理由をきっかけにでんでんヤクザからの借金の取り立てが止み、目標を見失ったかのように絶望する。
中学生らしさを一切見せない理解不能な行動を次々とみせる染谷将太は見もの。
ヒロイン役には当時まだ無名に近かったのかもしれない二階堂ふみ。
住田のことが好きすぎて語録を作り部屋中に貼り付ける奇行、五七五の俳句を瞬時に言えなければ叩かれる俳句五七五ゲームという珍行を次々と繰り出すも住田への純愛で彼の暴走を止めようと奮闘する。
逆にその純愛さが振り切れてて超ウザい笑。
可愛くなかったら犯罪だわ茶沢さん笑。
ホームレスの夜野さんに突き飛ばされ、パンチラどころかパンモロするなどやたら体を張っていた笑。
ちなみに他のキャストも地味に豪華。
住田たちと直接絡むわけではないチョイ役に窪塚洋介。スリの達人として街中をうろついていたところ、住田の借金をなんとかしてやりたいとさまよう夜野と遭遇。
まさかのIWGPのキングと父ちゃんの再演かと思いきやまさかの泥沼展開で窪塚あっという間にヤられてしまう笑。
その彼女に吉高由里子も出ててすげぇチョイ役扱いするなと思った笑。
とりあえず泥だらけ絵の具だらけになって街中を奇声あげながら駆ける染谷将太は見もの。
あと映像特典にあったファミレスのチンピラが住田たちへ復讐にやってくる戦闘シーンが雰囲気に合わなすぎて違和感やばかった笑。
冒頭から凄い❗
冒頭の二階堂ふみの朗読、震災すぐ後の画の全体像をカメラでおさえたシーンから圧倒され、考えさせられた。奇才園子温の作品はいつも考えさせられる。dvdも購入。dvdは、自殺サークルから初め、愛のむきだし、冷たい熱帯魚、等5本購入している。友人が園子温の関係者だったのでその影響が大きい。劇場では、ヒミズ初め4本観賞。その後の物議を呼んだ希望の国も劇場で観た。とにかく残酷にして悲しい。人間の愚かさ、胸の奥底をえぐりとったようなその画がきかたは園子温でしか成立しないだろう。独自の世界観がある。まぎれもなく日本を代表する監督だろう。
園監督作品は何本か見てるけど、この作品が一番希望がある終わり方だっ...
園監督作品は何本か見てるけど、この作品が一番希望がある終わり方だった。
でも、青春モノなのに、ほろ苦い・甘酸っぱいものではない。激苦い&硫酸くらいの刺激はあった。
住田と茶沢はそれぞれ家庭が崩壊している。
それだけに愛情や温かさを求めているのがひしひしと伝わってくる。
理不尽は理不尽で対抗できない。正義をもってでしか。園監督作品は何本か見てるけど、この作品が一番希望がある終わり方だった。
でも、青春モノなのに、ほろ苦い・甘酸っぱいものではない。激苦い&硫酸くらいの刺激はあった。
住田と茶沢はそれぞれ家庭が崩壊している。
それだけに愛情や温かさを求めているのがひしひしと伝わってくる。
理不尽は理不尽で対抗できない。正義をもってでしか。
生きて。というメッセージ
実の親を、、、。
最近よく見るニュースと重なる。
何も特別なことは求めていない。
ただ普通に生きたい。だけなのに、
それさえも否定される。邪魔される。
自分は一体なんなんだ。
生きてていいのか?
自分に価値なんてものはあるのか?
そういう、
他人も自分のことも信じれない
暗い底に落ちてる気持ちが
よく描かれていてビシビシ伝わった。
震災の映像が流れるのを見て被災者の人たちへのメッセージにも感じた。
あなたが必要です。
自ら諦めないでください。
生きてください。
というこの映画からのメッセージを感じた。
原作に比べ「普通の少年」が「絶望的な状況」に巻き込まれ結果として「...
原作に比べ「普通の少年」が「絶望的な状況」に巻き込まれ結果として「本当に絶望」してしまうリアリティが足りなかった。もっと普通のシーン、優しいシーンを描いてほしかったし、もっとそれが崩壊していくシーンを描いてほしかった。
そうでないと、あまりにも二階堂ふみ演じる茶沢さんの天使のような存在にリアリティがない。主人公に人間的な魅力がなければ、あれほど想いを寄せる理由がみつからない。
こうした物足りなさはいくらかあるものの総じて面白い作品だったといえる。2時間そこらであの原作の濃厚さをここまで表現出来た事はむしろあっぱれ。無気力で暴力的、それでいてつかみどころのない穏やかさを兼ね備えた染谷と、天真爛漫さ純粋無垢な汚れなき心とその危うさを天才的なバランスで演じた二階堂ふみ。この二人の天才に出会えただけでも傑作。
泣けた
園子温監督の作品は冷たい熱帯魚、愛のむきだしに続いて3作目の鑑賞。
今の現実がどんだけ辛く追い込まれている状況でも、未来に希望を持ち、逃げ出さず頑張って乗り越える気持ちを持つ大事さが伝わった。それが被災地の方への励ましの意味合いも入っていると感じ最後は泣けた。
まだ未読の原作読んでみたいと思った。
納得はいかない
原作のあるものを映像化するにあたって、手を加えたりするのは仕方ない事だし、それが原作とは異なる魅力にもなりうるんだけど、やっぱり原作が1番!っていう作品が多いですよね。
漫画にしても小説にしても。
今作にしてもそうです。
原作と違う今作のラストは、ヒミズという作品自体を否定してる様にも思えました。
あまり語るとネタバレになるのでね。
原作未読な方は素直に楽しめるのでは?
25年ぶりの衝撃
25年前20歳の時に出会ったレオスカラックスの映画「汚れた血」。あの時感じたあの感覚と同じような心の刺さり具合を「ヒミズ」で体験できた。カラックスと園子温、ドニラバンと染谷将太、ジュリエットビノシュと二階堂ふみ、ミシェルピコリと渡辺哲、モダンラブとアダージョ、そして走って行くラスト。浮浪者のくだりはポンヌフにも通じるが、詩的なセリフと疾走感、クライムムービーであり恋愛青春映画、そして抉るような心の痛み、、まさしく汚れた血。現時点で私の中でオールタイムベストの邦画と出逢えました。
頑張れ住田
始まってから30分くらいは観たのを後悔した。出てくる奴らが全員気持ち悪い。人間関係、大袈裟な演技、暴力。特に二階堂ふみの役がうざすぎて。
でもオマケ人生が始まってからあたりが見方が変わってくる。前半、気持ち悪い奴らより、普通の顔した名前のない人たちのほうの異常性のほうが怖くなる。不気味。
ラストは、観ないほうがよかったとまた絶望的な気持ちに一瞬させられるが、やはり救いはあった。よかった。考えてみれば主人公達は中学生なのだ。救いがなくてはね。
インパクトある映画
監督の個性的な映画、映画らしくてとっても惹きつけられました。若い力がほとばしる演技軽く見ていましたが、とっても影響をうけました。二階堂ふみの魅力たっぷりでした。
エンディングのクラッシックはプラトーンのラストシーンの音楽でした。この曲はプラトーンのイメージが強すぎるので、そっちに引っ張られてしまったのが、ちょっと残念でした。
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