秒速5センチメートル(2007)

劇場公開日:2007年3月3日

解説・あらすじ

個人制作の短編アニメ「ほしのこえ」が劇場公開されて口コミで評判を呼び、一躍脚光を浴びたアニメーション作家・新海誠が、2007年に手がけた長編第2作。ひかれあっていた男女の時間と距離による変化を、全3話の連作形式で描いた。

互いに思いあっていた貴樹と明里は、小学校卒業と同時に明里の引越しで離ればなれになってしまう。中学生になり、明里からの手紙が届いたことをきっかけに、貴樹は明里に会いにいくことを決意する(第1話「桜花抄」)。やがて貴樹も中学の半ばで東京から引越し、遠く離れた鹿児島の離島で高校生生活を送っていた。同級生の花苗は、ほかの人とはどこか違う貴樹をずっと思い続けていたが……(第2話「コスモナウト」)。社会人になり、東京でSEとして働く貴樹。付き合った女性とも心を通わせることができず別れてしまい、やがて会社も辞めてしまう。季節がめぐり春が訪れると、貴樹は道端である女性に気づく(第3話「秒速5センチメートル」)。

主題歌には山崎まさよしの「One more time, One more chance」を起用した。

2007年製作/63分/G/日本
配給:コミックス・ウェーブ・フィルム
劇場公開日:2007年3月3日

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(C)Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

映画レビュー

3.5 3話で展開される2人の想い

2025年10月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

U-NEXTで鑑賞。
観る前は、1時間の中で展開される少し壮大な物語だと思っていました。実際に観て、テレビアニメのような3話構成のオムニバス形式になっていました。

幼馴染の2人がそれぞれの道を歩んでいき、また会えないかなという想いが交差していました。心の声で物語を進めていくことで、彼らが身近な存在のように感じ、私たちと同じ現実を生きている感覚がシンクロしました。

夜空の映像も綺麗で、ここから新海ワールドが始まったことを考えると感慨深かったです。2025年には実写版も公開されたので、どんな違いがあるのか気になってきました。

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Ken@

4.0 光を動かすだけでも何かを表現できる

2025年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

実写版を見る前に改めて見直してみようと思い再鑑賞。やっぱり新海誠監督の作品の中でもとりわけシャープな表現がなされた1作だと思う。風景に思いを託すというスタイルは、ここで一回完成を迎えていて、技術や予算のシンポでこの方向性はさらに発展していくわけだが、やはり大きなターニングポイントとなった作品だ。
最初の一話は冬景色、雪で止まった列車の中のそわそわするわびしい感じ、雪の降る速度がいい、焦っている主人公に対してゆっくり降る雪が感情と対比的になっていて。
二話目は特に好き。明け方の星空が宇宙と一体になっているようなあの空。2人で星空見ていて物理的には近い距離にいるのに、心は地上と宇宙くらいに、すごく離れている。ロケット打ち上げをとらえたワイドショットはいまだに新海作品で一番美しいショットではないかと思っている。
その他、電車内のシーンで、一切キャラクターの動きはなくて、手すりに反射する光だけが動いているショットも好き。光を動かすだけでも何かを表現できている。これは結構すごいことだと思う。

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杉本穂高

3.0 観終わって、本当に胸の痛い一本

2026年8月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

惹かれ合っていた男女の時間と距離による変化を、全3話の連作形式で描く(監督インタビュー)という本作でしたけれども。

第一話…当人たちにはどうすることもできない「親の都合」での転校。
せっかく逢瀬の約束ができても、雨から変わった雪と、その雪による列車ダイヤの遅延という「物理現象」が、いわば追い討ちをかける。

第二話…ほんの子供時代とは違い、自分の進路は(相手方に合わせて)ある程度は自由に決められるはずなのに、反面、すぐ傍(そば)にいる彼との「距離」をどうしても埋めることができない。

第三話…社会人になってしまえば、お付き合いの方法は、お互いに単身同士であってみれば、合わせようとすれば、いかようにも合わせることができるはずだし、ガラケーで文字だけのやりとりとはいえ、メールも使えるという、はるかに便利な環境なのだが…。
3年間の時間を経ても、なぜか二人の距離感を縮めることができない―。

「どれほどの速さで生きれば、また君に会えるのか」というのは、本作のトレーラーのキャッチフレーズでしたけれども。
その点、どのエピソードも、本当に切ないストーリーで、観終わって、本当に胸の痛い一本でもありました。
(以上の3編を通じては、本作と同じタイトルが冠されているのは第三話なのですけれども。しかし、評論子的には、後記するとおり第二話が、いちばん「痛い」物語だったとも思いました。)

これらを総合して、本作は、充分に佳作としての評価に値するとも、評論子は思いました。

(追記)
駅の伝言板に記事を書く。あるいは待ち合わせは喫茶店にして、必要に応じて、客席で待っている相手を店の固定電話の電話口に呼び出してもらう…。
(そして、それだって、当該の喫茶店に電話するためには、どこにあるか場合によっては分からない公衆電話を、そもそもは探さなければならない)

一人ひとりにスマホがあり、当たり前のようにLINEも使える令和の今となっては、遠野と篠原とのこのエピソードは「ありえへん」ようなものですけれども。
往時の逢瀬は、こんな…、ある意味では「危なっかしい」ものだったことを、評論子は改めて思い起こしました。
そして、そんな「不自由な環境」にあっても、世の男女はふたりの関係性を築いてきたことにも、今更のように思いも至りました。

(追記)
その本作の第一話目「桜花抄」では、作中にISDN(Integrated Services Digital Network・サービス総合デジタル網)対応型の公衆電話が描かれていました。

いわゆるパソコン通信が普及し始めた当時は、その頃一般の家庭に普及していたアナログの電話回線では、写真やまとまった文書のやりとりどころか、数行の文字のやりとりが精いっぱいだったことを思い出しました。
その「数行の文字のやりとり」ですら、「通信エラー」や「通信ミスでの文字化け」も少なくなく、まとまった文章や写真・文書のデータを送るときは、それらを保存したノート・パソコンを自宅近くのISDN対応の公衆電話ボックスに持ち込み、LANケーブルで接続して、ようやく送っていました。
(ボックス内には、ご丁寧にも、ノート・パソコンが置ける棚があったりしました。NTTのささやかな「親切」でもあったのだとも、評論子は思います)

一般家庭にもデジタル通信網(光回線)が普及している令和の今になってみれば、これも「ありえへん」ような話ですけれども。
本作は、評論子には、そんな思い出も呼び起こされてしまいました。
(本作についてのレビューも、PCで書いて、何の通信エラーもストレスもなく、そのままサイトに投稿できるという環境は、ありがたいとも思います)

(追記)
<映画のことば>
その瞬間、彼女の心がどこにあるのか、分かった気がした。

この映画のことばは本作の本編のものではなく、本編の第二話「コスモナウト」に関わるトレーラーのものなので、本作のレビューとして引用するのは、いささか「ルール違反」なのかも知れませんけれども。

それでも、評論子的にはかなりのインパクトがあった言葉だったので、評論子なりのレビューの一端として、記しておきたいと思います。
(監督インタビューによれば、いろいろなもののスピード=「心の距離」の連作短編集であるという本作のレビューとしては、決して「場違い」なものでもないとも考えます)

それは、評論子自身、高校時代にずっと片想いだった「彼女」のごく自然な振る舞いから、この言葉とまったく同じ想いがしたことを、このフレーズから思い出したからでした。

彼女は「自分を曲げることができない」タイプの人で、その意味では「自分にウソをついて、自分をごまかす」ということが、どうしてもできない人。
そして、そのことに、とてもとても、もっととても当時の評論子は惹かれていたのですけれども。
(ちなみに、彼女は、お世辞にも華奢(きゃしゃ)とはいえない、いわゆる「肝っ玉かあさん」タイプ。彼女の「素(す)の素直さ」というのか、そういう素直さという「心根の純粋さ、美しさ」というのか、そういうものが「露ほどにも自分を偽らない」彼女のふくよかなその体形にも現れていたと、評論子は受け止めていました)

しかし、忘れもしない2年生の秋、体育祭のクラス対抗のバスケットボールの応援の時の(おそらくは彼女自身もそうとは意識していなかった)ごく自然なその立ち居振る舞いから、彼女には評論子は「気の置けないクラスメートのうちの一人」としてしか受け止められていないことがはっきりと分かり、自分自身の中でも、何かがポッキリと折れたと感じたことを、まるで昨日のことのように、評論子ははっきりと覚えています。

それだけに、本作の第二話「コスモナウト」で、澄田が真剣に向き合えば向き合うほど、遠野との間に感じたという、遠野と彼女との間のその「距離」―。
物理的には手を伸ばせば触れ合うことのできる距離にいるのに、二人が見上げるロケットが目指す宇宙のように、心理的には、はるか遠くにいるかのような二人。

評論子には、その時の澄田の気持ちが、痛いほど分かるようにも思いました。

(追記)
本作は、いわば「見逃し鑑賞」として観た一本になりますけれども。
その実は、コミュニティFM局の「映画紹介のコーナー」で、監督つながりから、話題作品『言の葉の庭』(2013年/46分/日本/新海誠監督)を紹介するに当たって言及されていたうちの一本として鑑賞しました。
本作の鑑賞についても、機会をくださった同番組のラジオ・パーソナリティ氏に、厚く感謝いたします。

【評論子的な関連作品】
〇「すれ違い」から結ばれることのなかった二人を描く切ないラブストーリー
『パスト ライブス 再会』
2023年/106分/アメリカ・韓国合作
セリーヌ・ソン監督

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共感した! 17件)
talkie

4.0 ストーリーを理解したいなら、小説版を読むのがいい

2026年7月21日
Androidアプリから投稿

泣ける

悲しい

作品の世界観や、思い出と重ねて観ると素晴らしいと感じる人もいると思う
映画を見ればストーリーに納得できるかという意味では微妙

おそらく色々詰め込もうとして、予算やスケジュールとの境界線で炎上したのではないかとか勘ぐってしまう

それでもじぶんはこの映画が好きでもう10回以上見返した
時間も短いし、懐かしい小説を眺めるように見るのにはいい作品

小説版も読んで色々裏事情を理解して見るといい映画です

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kz

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