一枚のハガキ

劇場公開日:2011年8月6日

一枚のハガキ

解説・あらすじ

撮影当時98歳という日本最高齢監督の新藤兼人が、自らの実体験をもとに引退作として製作した戦争ドラマ。出演に豊川悦司、柄本明、大竹しのぶ、大杉漣らベテラン俳優が顔をそろえる。戦争末期に召集された中年兵士の啓太は、1人の兵士から「自分は戦死するだろうから生き残ったらハガキは読んだと妻を訪ねてくれ」と一枚のハガキを託される。終戦後、啓太はわずかな生き残り兵士となり故郷に戻るが、妻は父と出奔し、村で彼を待つ者は誰もいなかった。ハガキを書いた友子を訪ねると、彼女は家族を亡くし、貧しい農家でひとり懸命に生きていた。

2011年製作/114分/G/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2011年8月6日

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(C)2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス

映画レビュー

3.5 【”今日はお祭りの日ですが、貴方がいないので何の情緒もありません。”今作は、戦闘シーン無き強烈な反戦映画でありつつ、後半はユーモラスな雰囲気も絡ませた戦争で傷ついた男女の再生の物語でもある。】

2025年10月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■戦争末期に召集された100人の中年兵たちが清掃の任務を終え、体育館に座っている。 そして、上官により60名がフィリピン行きを、30名が潜水艦行きを、そして10名が宝塚の清掃業務を命じられる。まるで、くじを引くかのように。
 各自の赴く戦地の振り分けがなされた晩、フィリピン行きが決まった森川定造(六平直政)は、妻・友子(大竹しのぶ)から送られてきた1枚のはがき(文面は、”今日はお祭りの日ですが、貴方がいないので何の情緒もありません。”とだけ書いてある。)を松山啓太(豊川悦司)に託し、戦後もし君が生き残ったら、これを妻に手渡してほしいと頼み込む。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・この作品には、戦闘シーンは一切出て来ない。だが、前半の森川定造が出征し、”英霊”と書かれたモノが入っている木箱の中が、届けられるシーンと、次に定造の弟三平(大地泰仁)が友子の夫になったと思ったら、赤紙が来て出征し、あっと言う間に木箱が帰って来るシーンを、ボロイ森川家を固定カメラで俯瞰で撮ったショットが実にシニカルな反戦メッセージとして感じられる。

・三平戦死後に、父(柄本明)は、心臓発作で突然死に、母(倍賞美津子)は、友子にコッソリ貯めていた60円が入った入れ物を示して、縊死する。
 前半は、展開が暗いのである。

・だが、戦中に手紙を書かなかった松山が、自宅に戻ると嫁(川上麻衣子)と父(津川雅彦)が良い仲になっておりいなくなっているという辺りから、コミカル要素が漂い始めるのである。

■松山が友子が書いた1枚のはがきを持って、森川家を訪れて定造から頼まれていた”確かに読んだ。”と言うメッセージを伝えるシーン。
 友子は”何故、アンタだけ生きているんじゃ!”と怒鳴るが、直ぐに”くじ運じゃもんね”と言い彼に詫びるシーンから、松山が友子にブラジルに行くと告げると、”逃げるんか!”と言った後に、”私も連れて行ってくれ。”と頼む姿。
 それをコッソリ聞いていた友子に好意を持つ村の戦争に行かなかった団長吉五郎(大杉漣)が、ズカズカと入って来て嫌味を言い、松山と吉五郎が取っ組み合いの喧嘩になり、松山が勝った後に、吉五郎が祝言をしようと言って祭りを始めるシーンが、何だか可笑しいのである。
 人間の逞しさを描いているようである。

・そして、松山はブラジル行きを止め、定造と三郎の木箱に火を付けた後に、友子が焼酎をぶっかけた所為で、家は全焼してしまうのである。
 だが、二人は何故かサッパリした表情になり、松山は友子に結婚してくれ、と頼み燃えカスを整理しながら”ここに麦を植えよう”と告げるのである。

<今作は、戦闘シーン無き強烈な反戦映画でありつつ、後半はユーモラスな雰囲気も絡ませた、戦争で傷ついた男女の再生の物語なのである。>

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NOBU

3.5 三度目の結婚

2025年1月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

大竹しのぶさんの魅力を堪能しました。
豊川悦司さんも格好良くて、アクションシーンは愉快な雰囲気で面白いです。

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Don-chan

3.0 新藤監督に一流の戦争批判

2024年10月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

<映画のことば>
どうするって、心配してつかあさいな。
戦争を呪うて生きていきますよ。

戦争によって、徹底的にその生活を踏みにじられてしまった友子。
反対に、戦争のなかでも前線には送られることなく、九死に一生の復員を果たすことができたが、出征中に家庭が壊れてしまっていた松山。
その対比が、本当に胸に切ない一本でもありました。戦争の「酷(むご)さ」というものは、こんなところにまで析出してしまうものなのでしょう。
何と表現すれば足りるものなのか、評論子は、その言葉を思いつきません。

ただ、戦争時代を暮らし、その意味では友子には忌まわしい想い出しか残らなかったであろう家屋敷を定造・三平の遺骨とともに焼失させ、その跡地を(ブラジルにまで足を延ばさずとも)麦畑という「生産の場」に生まれ変わらせたという本作は、戦争という破壊と、麦(農耕)という創造とを対比させたラストシーンに、新藤監督に一流の戦争批判が込められているのかも知れないとも思いました。

佳作だったと思います。
評論子は。

<映画のことば>
今日はお祭りですが
あなたがいらっしゃらないので
何の風情もありません

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talkie

3.0 妙に生々しいのが新藤流

2019年3月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

悲しい

水を汲みに行かせるのもすきなんだろうか?(『裸の島』もそうだった)
性についても、生々しい撮り方をするので、「昔ってあんなんだった?」とか思ってしまう。
戦争についての考え方は人それぞれあると思うが、生き残った人は強かさをもっていると思う。強かだったから生き残ったのだ。
セコい真似だろうが何だろうが生きるために出来ることをやったから生きている。
だから、息子の後を追って死んでいった義理の両親にはほんとに呆れる
当時、夫を失った妻はあんな形で新しい家族になっていったんだろうか?と想像してしまう。

監督も亡くなってしまったが、大杉漣も出演しており懐かしさがある

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うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)

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