ツーリスト

劇場公開日:2011年3月5日

ツーリスト

解説・あらすじ

アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップが初共演を果たしたミステリードラマ。「善き人のためのソナタ」のドイツ人監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが、フランス映画「アントニー・ジマー」(2005)をリメイクする。イタリアへ傷心旅行にやって来たアメリカ人のフランクは、ナゾの美女エリーズと運命的な出会いを果たす。しかし、彼女と恋に落ちたフランクは、いつしか巨大な陰謀に巻き込まれていく。

2011年製作/103分/G/アメリカ・フランス合作
原題または英題:The Tourist
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2011年3月5日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第68回 ゴールデングローブ賞(2011年)

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) ジョニー・デップ
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) アンジェリーナ・ジョリー
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映画レビュー

3.5 【70.0】ツーリスト 映画レビュー

2025年9月24日
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鑑賞方法:VOD

作品の完成度
本作は、サスペンス、ミステリー、ロマンス、コメディといった複数のジャンルを混ぜ合わせようとした意欲作だが、その結果として、どのジャンルにも深く踏み込めていないという印象が強い。特に、サスペンスの緊張感とコメディの軽妙さという、相反する要素のバランスが取れていない点が最大の弱点。ヴェネツィアの美しい風景を背景に繰り広げられる逃走劇は、時にのんびりとした観光案内にも見え、観客をハラハラさせるには至らない。これは、監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが、自身の持ち味である硬質なドラマ演出を、ハリウッド的な娯楽作に持ち込もうとした結果、消化不良を起こしたとも言える。全体として、豪華なキャストとロケーション、そしてスタイリッシュな映像美は目を引くものの、物語の核心であるはずのミステリーが序盤から予測可能で、意外性に欠ける。その結末も、観客の期待を裏切るサプライズというよりは、肩透かしの感が否めない。総合的に見て、**「豪華な観光ビデオ」**のような外見に、練り込み不足のストーリーを被せたような、惜しい完成度と言わざるを得ない。
監督・演出・編集
監督はフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。彼の代表作である『善き人のためのソナタ』(2006)では、旧東ドイツの監視社会という重厚なテーマを、緊迫感あふれる演出で描き切った。しかし、本作ではその手腕が存分に発揮されたとは言い難い。ヴェネツィアのゴンドラや運河、歴史的建造物を効果的に見せることに終始し、肝心のスリラーとしての演出は甘い。特に、アクションシーンの緊迫感のなさや、登場人物の心理描写の浅さが目につく。編集も、シーンの切り替わりがやや唐突で、物語のテンポを損なっている部分がある。しかし、美しいロケーションを最大限に生かすという点では成功しており、その映像の詩的な美しさは評価に値する。
キャスティング・役者の演技
1. アンジェリーナ・ジョリー (エリーズ・クリフトン)
エレガントでミステリアスな美女、エリーズを演じたアンジェリーナ・ジョリー。その圧倒的なオーラと美貌は、作品の世界観を牽引する。特に、パリのカフェで手紙を読むシーンや、列車の中でフランクを誘惑するシーンなど、彼女の一挙手一投足が絵になる。しかし、彼女の演技はあくまで**「美しくミステリアスな女性」という型にはまったもの**に留まり、役柄の内面の葛藤や深みまでは描き切れていない。彼女の演技力をもってすれば、もっと複雑なキャラクターにできたはずだが、脚本の制約か、あるいは監督の演出方針か、そのポテンシャルは十分に発揮されたとは言い難い。
2. ジョニー・デップ (フランク・トゥーペロ)
冴えないアメリカ人数学教師、フランクを演じたジョニー・デップ。これまでの奇抜なキャラクターとは一線を画す、ごく普通の男を演じている。しかし、その「普通さ」が、彼が持つ独特のカリスマ性やコメディセンスと、どこか噛み合っていない。**彼が演じるフランクの「間抜けさ」**は、物語の軽妙さを生み出す一方で、観客に彼の正体を見抜かせてしまうという、サスペンスとしては致命的な結果を招いている。ジョニー・デップの演技そのものは安定しているものの、この役柄が彼の魅力を最大限に引き出しているかといえば、疑問が残る。彼の出演は作品の商業的成功に貢献したが、演技の観点からは、彼をミスキャストと捉える向きもある。
3. ポール・ベタニー (ジョン・アチソン警部)
執拗にエリーズとアレクサンダーを追うロンドン警視庁の刑事、アチソン警部を演じたポール・ベタニー。彼はこの作品において、数少ないサスペンス要素を担う存在。その冷徹な眼差しと、静かながらも執念を感じさせる演技は、物語に一定の緊張感をもたらす。主人公たちのロマンスとは対照的な、プロフェッショナルな捜査官の姿を堅実に演じ切っており、作品のバランスを保つ上で重要な役割を果たしている。
4. ティモシー・ダルトン (ジョーンズ主任警視)
アチソン警部の上司であるジョーンズ主任警視を演じたティモシー・ダルトン。かつて『007』シリーズでジェームズ・ボンドを演じた彼が、今回は権威的な上司として登場。短い出演時間ながらも、その存在感は際立っている。アチソン警部とのやりとりの中で、事件の全体像を観客に提示する役割を担っており、ベテランならではの重厚な演技で物語に深みを与えている。
5. スティーヴン・バーコフ (レジナルド・ショー)
アレクサンダーに金を盗まれたロシアンマフィアのボス、レジナルド・ショーを演じたスティーヴン・バーコフ。冷酷かつ非情なキャラクターを説得力のある演技で表現しており、フランクを追いつめる役割を担っている。彼の登場によって、フランクが直面する危険がより明確になる。
脚本・ストーリー
2005年のフランス映画**『アントニー・ジマー』のリメイクである。この脚本は、そのオリジナルをハリウッド的にスケールアップさせたものだが、その過程で、オリジナルが持っていた「偶然の出会い」がもたらすミステリーとロマンス」という繊細な要素が失われた感がある。フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが共同で脚本を手掛けているものの、クリストファー・マッカリーとジュリアン・フェロウズという、まったく異なるタイプの脚本家が加わったことで、方向性が定まらなかった可能性がある。物語のひねりである「フランクの正体」は、観客の多くが早々に気づいてしまうため、最後のサプライズとして機能せず、ストーリー全体の緊張感を削いでいる。全体的に、プロットは観光客を主役に据えた軽快なミステリー**を目指しているが、深みのある人間ドラマにはなっていない。
映像・美術・衣装
ヴェネツィアの絵画のように美しい風景をこれでもかとばかりに映し出す映像は、本作の最大の魅力。ゴンドラが水面を滑る様子や、歴史的建造物の荘厳さが、ジョン・シールによる撮影で余すところなく捉えられている。美術も同様に、ホテル・ダニエリの豪華なスイートルームや、ヴェネツィアの路地裏など、細部にわたって作り込まれており、観客を魅惑的な世界へと誘う。アンジェリーナ・ジョリーが着用する衣装は、エレガントで洗練されており、彼女の美しさを際立たせている。全体として、視覚的な要素は極めて高い完成度を誇っており、作品の最大の功績と言える。
音楽
ジェームズ・ニュートン・ハワードが手掛けた音楽は、ロマンチックな旋律と、サスペンスを煽る不穏な音色を巧みに使い分け、物語の雰囲気を盛り上げている。特に、フランクとエリーズのロマンスを彩る優雅なテーマ曲は印象的。主題歌には、イギリスのロックバンド、**ミューズの『スターライト』**が使用されており、映画全体のスタイリッシュな雰囲気をさらに高めている。
受賞・ノミネート
本作は、評論家からは概して酷評されたにもかかわらず、意外な形で評価された。第68回ゴールデングローブ賞では、ミュージカル・コメディ部門において、作品賞、主演男優賞(ジョニー・デップ)、主演女優賞(アンジェリーナ・ジョリー)の3部門でノミネートされた。しかし、これはロマンティック・スリラーである本作を「ミュージカル・コメディ」に分類したことが、一部で物議を醸し、ハリウッド外国人記者協会の品位を問う声も上がった。結果として、いずれの賞も受賞には至らなかった。
作品 The Tourist
監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 98×0.715 70.0
編集
主演 アンジェリーナ・ジョリーB8×2
助演 ジョニー・デップ B8×2
脚本・ストーリー オリジナル脚本
ジェローム・サル
脚本
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
ジュリアン・フェロウズ
クリストファー・マッカリー B6×7
撮影・映像 ジョン・シール
B8
美術・衣装 ジョン・ハットマン B8
音楽 B8

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honey

4.0 軽快に観れる

2025年7月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

癒される

2回目の鑑賞。
やっぱりメインの二人が良すぎるのよ~
アンジョとジョニデ。最高っす。
ご都合主義の展開なのも否めないけど、
だって映画だもの~!
現実の持ち込み禁止よ禁止~~~!

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ニッカ

3.0 ライトで良い

2025年6月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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ダビ

2.0 壮大な鬼ごっこ、

2025年6月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

んー、設定はわかるけど、中だるみというか途中の盛り上がるとこもそうなく、辛抱強くずっと見とかないといけないかんじだった。

最後の最後に、「あー、そうだったのか」と、そこだけがおもしろく、よかった(笑)

しかしこういう展開のストーリーなら、別に場所もイタリアでなくても、主人公の仕事が数学教師とかでなくてもよかったような。

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みけい