ぐるりのこと。

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劇場公開日:2008年6月7日

ぐるりのこと。

解説・あらすじ

「二十才の微熱」「渚のシンドバット」の橋口亮輔監督が「ハッシュ!」以来6年ぶりにメガホンを取った人間ドラマ。バブル崩壊から21世紀にかけて社会が激変した時代を背景に、実際に起こった犯罪・事件を織り込みながら、ある夫婦が辿る希望と再生の10年間を描く。主演はともに映画初主演となる木村多江とリリー・フランキー。共演に倍賞美津子、寺島進、柄本明、寺田農ほか。

2008年製作/140分/日本
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2008年6月7日

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(C)2008「ぐるりのこと。」プロデューサーズ

映画レビュー

4.5 【”ちゃんとせんでも良い。一緒におってくれ。”今作は深い哀しみを経験した夫婦が10年掛けて再生する様を90年代に世間を震撼させた数々の事件を背景に夫婦の強い絆を描き出した逸品である。】

2025年12月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■1993年。カナオ(リリー・フランキー)とショウコ(木村多江)は仲睦まじく暮らしている。そしてショウコの妊娠が分かり結婚するが、その後二人に悲劇が訪れるのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今観ると、多数の名優が出演しているが、当時は未だ名が巷間に知れ渡るところまで行ってはいなかった木村多江と、イラストレーターが本業だったリリー・フランキーの演技が抜群である。
 今では誰もが認める名優であるが、彼の方が今作以降、多数の映画の重要な役に抜擢された事が良く分かるのである。

・リリー・フランキー演じるカナオは、いつもショウコに優しい。深い哀しみの中、ショウコが心療内科に通い、出版社の仕事も上手くいかなくなり辞めても彼は妻を責めない。柔らかい笑顔で接するのである。
 その表情が素晴しいのである。

・勿論、深い哀しみを一人で抱えるショウコを演じた木村多江さんも素晴らしいのである。ショウコが哀しみの中、法廷画家になった夫が描いた亡き幼い娘の絵を見た時の表情。そして呟いた言葉。”言ってくれればよいのに。”
 ショウコと同じくカナオも悲しみに耐えている事を暗喩した演出が素晴しいのである。

・カナオが、靴の修理屋から先輩(木村祐一)から頼まれて法廷画家になった後の数シーンも印象的である。
 幼女殺害犯(加瀬亮)が証言台に立ち、恐ろしい言葉を吐いた後に、一人廊下に座り込んで青い空を見上げるシーン。
 又、池田小事件と思われる世の全てに悪意を撒き散らす犯人を演じた俳優の姿(その後、本当に獄に入るような悪事を犯した。)や、オウム真理教と思われる信者が悔いの言葉を吐く中、背後でマントラを唱える異様な一段のシーンなどもインパクト大である。

・それまで、カナオを軽く見ていたショウコの母(倍賞美津子)、一時は羽振りが良かった兄夫婦(寺島進&安藤玉恵)が、ショウコたちを捨てた末期の病と言われた父が居る名古屋にカナオとショウコが行った後に、カナオが描いて来た父の優しい顔。
 そして、カナオは穏やかな顔で言うのである。”生きていただけで、良いじゃないですか。”
 その言葉に感化されたのか、ショウコの母が父が出奔した真実を告げた後に、正座してカナオに対し”ショウコをお願いします。”と頭を下げる姿も良かったな。

・そして、ショウコは寺で心を癒し、カナオと二人で穏やかな表情で寺の中の天井画を見るのである。

<今作は深い哀しみを経験した夫婦が10年掛けて再生する様を90年代に世間を震撼させた事件を背景に描き出した逸品なのである。そして、橋口亮輔監督は、超寡作ながらどの作品も素晴らしい事を改めて思い出したのである。>

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NOBU

4.0 人に幸あれ、底に笑いあり

2025年4月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

楽しい

癒される

 1993年。出版社で働く翔子と、法廷画家となったカナオの夫婦。生まれた子どもがまもなく亡くなってしまい、翔子は鬱になっていく。そんな彼女にそっと寄り添うカナオは、様々な裁判を傍聴する。二人の10年を描く。
 ぐるりとは周辺の意。まず、いくつかの有名な事件をモチーフにした、様々な法廷と報道の様子が興味深いです。そして夫婦の再生の姿も良かった。誰でも人生ずっとうまく行くわけじゃない。様々な人々に、様々な形でしみると思います。
 猫背の男は情が篤いとのこと、いいね。

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sironabe

3.5 とてもよかった

2024年7月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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吉泉知彦

4.0 法廷をこうやってみせるとは

2024年6月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

タイトルは知っていましたが、初めて見ました。
2000年代の事件の法廷を、名前を微妙に変えて表現しているのは、なるほどと思えた。
木村多江が主演賞をとるだけの素晴らしい演技だったと思う。
ほとんどのキャストは今も活躍を続ける方々で、伝説の映画となっているのも頷ける。

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かずじー