蛇にピアス

劇場公開日:

蛇にピアス

解説

金原ひとみの芥川賞受賞作「蛇にピアス」を、世界に知られる演出家・蜷川幸雄が映画化。蛇のように舌先が割れた“スプリット・タン”を持ち、全身にピアスや刺青をした男アマと、アマの紹介で知り合った彫り師シバの2人の男と関係を持つようになった19歳のルイは、自らの舌にもピアスをあけ、背中に刺青を彫る。それでも満たされない何かを探し求めるルイだったが……。ルイ役は映画初主演の吉高由里子。藤原竜也、唐沢寿明ら豪華俳優が特別出演。

2008年製作/123分/R15+/日本
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場公開日:2008年9月20日

スタッフ・キャスト

監督
原作
金原ひとみ
脚本
宮脇卓也
蜷川幸雄
製作
宇野康秀
長谷川安弘
エグゼクティブプロデューサー
星野有香
森重晃
プロデューサー
梅川治男
ラインプロデューサー
湊谷恭史
撮影
藤石修
美術
稲垣尚夫
照明
渡辺三雄
録音
弦巻裕
編集
川島章正
音楽
茂野雅道
主題歌
Chara
スクリプター
奥平治美
コスチュームデザイン
勝俣淳子
CGプロデューサー
豊嶋勇作
音響効果
柴崎憲治
北田雅也
助監督
山田敏久
制作担当
新井聡
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受賞歴

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(C)2008「蛇にピアス」フィルムパートナーズ

映画レビュー

2.0確かに衝撃は受ける・・・、けど難解。

2024年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

僕自身も自己肯定感が低い方だと思っているので、ある意味、表層の浅いところでは共感することは出来る。けど、グロイ・痛いのは嫌。そういう意味ではMじゃない。シバ(ARATA)のSは理解できないし、ルイ(吉高由里子)のMも理解もできない。 ラストのしゃがみこんだ理由...が分からずに、ネットを検索。その前の「川が出来た」と意味的に一致するから、そういうことか。 映画化(映像化)するのは難しい内容だったんじゃないだろうか。それに、原作の方がすんなりと内容を理解できるんじゃないだろうか、とも思う。ただ、グロイ・痛いのは嫌いなので、そこまで気が進まない。で。そういう人たちも世の中にはいるよね、とは思う。この監督は、それを伝えたかったのか?。そうならば、映画としてのクオリティーが低い。そうじゃないなら、少なくとも僕には伝わっていない。

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しの

4.0考察したくなる作品

2024年11月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

萌える

最後がちょっとスッキリしないけど凄く面白かった。 二枚舌を使うルイ(吉高由里子)は蛇のような舌“スプリット・タン”に憧れる。タイトル『蛇にピアス』はルイとアマ(高良健吾)両方が当てはまるし、それを生み出すシバ(ARATA)のことかもしれない。 脇役の藤原竜也さんと小栗旬さん、二人の登場シーンは残酷なのに不思議と愉快でインパクトがある。 シバがみた夢の意味... 仲の良かった人達へ罪悪感がありそう。その場所へ遅れて行くというのは自分だけがまだ生きている状態、つまり友人5~6人はアマも含め先に死んだ者たちなのかもしれない。シバは好きな相手を自分で殺したがるので、ルイもいつか殺されるだろう。 ラスト、交差点でしゃがみこんだ理由... 道の途中で歩くのをやめたのは、計画の中止を意味していると考えられる。もともとルイは人生設計があるわけではなかったが、ニワトリのようなバカをつくるのが得意なシバに結婚しようと言われていた。 しかし、何を中止しようとしているのかは、さらに考察が必要となる。 ルイが「私に川が出来た」と言ったのは、川の水が一方向に進むように、自分の中で一方向に流れる川のような、命の流れが出来た、つまり妊娠したということかもしれない。 愛の証(もらった歯)を砕いて飲み込むほどの感覚の持ち主なので、お腹の赤ちゃんこそ本当の愛の証でルイにはかなり大切にしたいはず。しかし、出産すれば生まれた子どもは自分から離れて行ってしまうとも考えられる。 龍と麒麟に目玉を入れた理由... その後にルイはシバと結婚するかどうか... もし妊娠だとして、お腹の子はアマの子かどうか.... ...など、考えるのが楽しい作品。

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Don-chan

3.5吉高由里子の初認識

2024年9月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

の映画。当時高良健吾が好きだったから見て、吉高由里子はそんなに印象残らなかったけど、とにかくストーリーと3人の絡みが衝撃的で、今でも鮮明に覚えている。だから改めてレビューを。後々見ると吉高由里子は凄い体当たりの演技をしている。噂ではオーディションで蜷川幸雄の前で平気で全裸になったとか。嘘かほんとか知らないけど。舌を割るピアスがほんっとうに痛々しくて、どうやって撮ってるの?!と。痛みと快楽は紙一重。究極のSM。

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いつこ

4.0難解の極致

2024年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

芥川賞受賞作の実写化 純文学 純文学だけに起承転結など、ないと言っていいだろう。 少女ルイ おそらくノーマルな2008年現在の若者を描写している。 このノーマルさを出すために吉高由里子さんが配役されたように感じた。 彼女をイレギュラー的風貌にデフォルメしてしまえば、この作品は誰にも届かなくなる。 芥川賞と理解されない現代の若者 この描写に不可欠な配役 多くの主人公になり得る俳優陣の配役 この世界観を知って欲しい監督の意図 この世界 若者の世界 ルイの住む世界はとても矮小的に感じる。 まるで袋小路に自ら迷い込もうとしているようだ。 さて、 無音で始まるこの作品 渋谷の街を歩くルイ ルイは客引きに誘われるままクラブに入った。 しかし彼女の見ている世界には「音」がない。 ずっとイヤホンで音楽を聴いているからだ。 これは、ルイには自分の意思がないような表現だろうか? 逆に意識的に自分を隔離しているのかもしれない。 クラブの席に腰かけたまま音楽を聴いているルイに話しかけてきたアマ。 見た目にも全く釣り合ってないように思えるが、この二人はすぐに打ち解ける。 それからはアマのアパートで同棲を始める。 ルイはそれまでどこに住んでいたのだろう? 埼玉県に住む両親の実家からぼんやり遊びに来ていただけなのかもしれない。 もしかしたらバイトの合間に、そうなってしまったのかもしれない。 実家にルイの居場所はないのだろう。 どこにいてもそこがまるで映画か何かのように虚無でしかなかったのかもしれない。 「誰かに声をかけてもらえる」ことを求めていたのかもしれない。 それは誰からも必要とされてこなかった空虚感によるものだろうか? 彼女にとって人生とか、夢とか、目的とか、そんなものよりも「誰かが私を必要としてくれる」ことがうれしかったのかもしれない。 スプリットタン 「君も人体改造してみない?」 何かになれる 何かになりたい 今の自分自身を脱ぎ捨てたい 誰もが思う欲望 同時にそれは、「彼女の闇」の裏返しだろう。 人との出会いは、少なからず自分に影響を与える。 人体改造 スプリットタン タトゥ このような些細な変化によって、ルイは「何かになれる」気がした。 それは、目標にもなった。 目先だけでもいい 目に見える目標 それは彼女にとっての喜びだった。 そしてアマとの新しい生活 そしてシバとの出会い 舌に穴をあけてもらった瞬間、見えた幻想 または運命的なもの シバに首を絞められている自分 「人の形を変えるのは神の特権」 ルイは最初シバのことを「笑顔が歪んでいる人」という。 それでもルイはスプリットタンに「血が騒ぐ」 アマは普段はおとなしいが、殺したいと思ってしまうと殺すまでやってしまいかねない。 そして起きた事件 殴り倒した奴の2本の歯 それをルイに渡し「愛の証」 最後にルイはその歯を瓶で粉にして飲み干す。 それは「アマの愛の証は私の体に溶け込み、私になった」 まるで人類創生時の宗教観だ。 この原始的感覚こそ、今のルイの感性 ルイの感性は現代とかけ離れているのかもしれないが、原始まで退行しているともいえる。 ルイのタトゥの龍と麒麟は、もちろんアマとシバ 「私自身が命を持つために、この龍と麒麟に目を入れるんだ」 それがこのタトゥの揺るぎない意味になった。 割と明確な自意識を持つ二人に対する「私も」という思い。 自殺願望のあったルイは、このタトゥによって生きる決断をしたのだろう。 「アマを犯したのも、殺したのもシバさんであっても、大丈夫」 この作品の中で最も理解しにくい箇所だ。 ルイは警察の調査の進捗状況を聞き、犯人はシバではないかと思う。 しかし、それを打ち消すように「お香」を買いに出かけた。 この時すでにルイはそう決めていたと思われる。 シバとアマとの交わり アマとルイとの交わり シバとルイとの交わり この3人は、おそらく一つなのだろう。 シバはルイに言った。 「死ぬときは俺に殺させてくれ」 アマはルイに言った。 「自殺するなら、俺に殺させてくれ」 ルイは思ったのだろう。アマとシバも同じ会話をしていたはずだ。 人を殺す気持ちよさについてシバは語った。 実際人を殺したアマ この狂った思考に引き寄せられるルイ 痛みや死の対極にあるのが快楽と生 対極のコントラスト アマの事件を知ったシバは、少々嫉妬したのかもしれない。 相手の首を絞めて苦痛を与えなければ快感を得られない性癖 アマが人を殺したことを想像しながらアマに苦痛を与える快感 アマが人を殺したということを知ったシバの頭の中は、そのアマの快感を自分も味わいたくて味わいたくてどうしようもなくなったのかもしれない。 ルイも初めはアマが殺されたことによるショックが大きかったが、それをしたのがシバだと気づいてから、私たち3人は同じだということを悟ったのだろう。 「私はこれを求めてたんだろうか? 無様にぽっかり空いた穴を求めてたんだろうか?」 ルイは自分の舌を見ながらそう問いかける。 シバの謎の夢 「5,6人に囲まれて歌われた怒りの歌」 そしてルイは思う。もっとピアスの穴を大きくしたら、人生の川の流れも拡張されるのだろうか? しかしその考えは虚しさを助長したのだろう。 冒頭と同じ渋谷の街 歩いている方向は冒頭と反対方向のようだ。 横断歩道でしゃがみこむルイ そこにあるのは、冒頭よりもっと深くなった虚構 もの悲しい歌とエンドロール ルイは、 彼らとの出会いの中で「いい」と思えたことのすべては、虚構しかないことを認めざるを得なくなったのだろう。 それがしゃがみこんでしまうという動作に現れている。 身体に穴をあけ、ピアスなどをしてみても、体中にタトゥを入れてみても、「私自身何も変わることなどできなかった」 ルイは、確かに真剣に一生懸命だった。 でも、そこには何もなかった。 シバの変な夢の告白は、 彼の行いがもたらしたのは、他者からの「怒り」でしかなかったのかもしれないと、ルイはしゃがみ込みながら思ったのかもしれない。 今の自分自身の在り様や居場所を手探りながら「闇の中に光」を求めてしまう若者の姿をリアルに表現したのだろう。 凄すぎてついていけない。 勝手な妄想でしか読めない。 手に負えないほど難しかった。

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