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香港警察の刑事、チェンの活躍を描く『ポリス・ストーリー』シリーズの第1作。
麻薬組織のボス、トム・クーを相手に大捕り物を演じた香港警察。チェンの活躍もありクーを捕える事が出来たのだが、有罪にする為の決め手に欠けていた。そこで香港警察の署長は彼の秘書セリーナに、釈放する代わりに検察側の証人として出廷する様に命じる。
クーから命を狙われる恐れがあるセリーナを守る為、チェンは彼女のボディガードを務める事になるのだが…。
監督/脚本/原案/武術指導は『燃えよドラゴン』(出演)や『プロジェクトA』(監督/脚本/主演)の、巨匠ジャッキー・チェン。ジャッキーは主人公ケビン・チェンも演じている。
はんちもーっまんほちーっへんちょんまさんちーっ♪やんほぬーっちょんせそんーっちゃいちゃんたいーぎーっ♪♪そーんめーんっちょっときゅーっらんへんほんもんへんほんちーっ🎶やんわんっきんわへぃーっおどふぱんちんせくしーっ🎶🎶とんちっはぅーっちゅぼちゃやちさちゅさんちーっ♪♩♫こわっおっさーんっわちゃほーにんほーせーっ♪♩♫♬………メンチっッッッッ!!!!
とある年齢層なら誰もが歌える名曲「英雄故事」を引っ提げて登場した、ジャッキーの「全部俺」スピリットが詰まりに詰まった伝説的一本。
『プロジェクトA』(1983)くらいからみんな薄々勘付いていた「あっ、この人頭おかしい……」という狂気がはっきりと顕在化した作品であり、冒頭からバラック集落大破壊チェイスに傘を用いたバスへの駆け込みぶら下りと、命が幾つあっても足りないんじゃないかという衝撃スタントの連続。「あの時代だったから出来た事だよね〜〜」とか、そういう次元を遥かに超えた激ヤバアクション。こんなもん「あの時代」でもやっちゃダメですっ!!
今でも語り継がれる「垂直落下式感電滑り棒」など、ジャッキーが命を張っているのは勿論だが、それよりも観ていて心配になるのは役名もなきスタントマンたちの殺人技。慣性の法則でロンドンバスのフロントガラスから飛び出すチンピラたちや、ジャッキーのキックにより錐揉みしながらショーウィンドウに突っ込んでゆくヤクザたち。観ていてチビるわこんなん……😰
ジャッキーばかりに目が行くが、スターを際立たせる為に体を張る、彼らの命懸けのスタントによってこの映画……というか黄金期の香港映画が成り立っている事を忘れてはならない。
マギー・チャンやブリジット・リンといった女性陣の体の張り方も凄まじい。普通女優の“体当たり“演技ってエロいシーンを頑張る事を指すけど、この映画では文字通り“体当たり“してるからね。この後、2人とも演技派女優として大成する訳だが、それは今作での経験が役に立ったから…なのか?
今回、うん十年ぶりに鑑賞してみたのだが、正直印象はかなり変わった。昔はめちゃくちゃ面白い映画だと思っていたのだが、あれ……?これ結構退屈かも。
冒頭のトム・クーを逮捕するまでのシークエンスと、終盤のショッピングモール大乱闘は文句無し。ジャッキー映画史上でも最高のスタントアクションシーンだと思う。ただ、その間にあるコメディドラマ部分がめちゃくちゃタルい。ストーリーの薄さを小手先の笑いとスタントで誤魔化しているというか…。これ丸々60分くらいカットしても良かったんじゃね?
最初と最後の特大アクション以外にも、エンピツでラーメンを食べるとことか、門扉をタッターンと飛び越えるとことか、まぁ真似したくなるシーンが至るところにあるので、そういう意味では見所満載の映画ではある。
ストーリーのつまらなさに目を瞑り、部分部分のアクションの凄さだけで評価するなら歴史に残る大傑作だが、映画ってそういう事でもないしなぁ…。
香港スターによる「全部俺」映画といえばブルース・リーによる『ドラゴンへの道』(1972)があるが、個人的には『ドラ道』に一票。ストーリーのヘナチョコさは五十歩百歩だけどね。