暴走機関車

劇場公開日:

解説

機関士ぬきで暴走する4連ディーゼルに乗り合わせた脱獄囚2人と女性乗務員の焦繰と彼らを取りまく人々との葛藤のドラマ。製作はメナハム・ゴランとヨラム・グローバス。エグゼクティヴ・プロデューサーはロバート・A・ゴールドストン。66年に黒澤明が企画・脚本化したものを基に「マリアの恋人」のアンドレイ・コンチャロフスキーが監督、ドルジェ・ミリセヴィック、ポール・ジンデル、エドワード・バンカーが脚本を担当。撮影はアラン・ヒューム、音楽はトレヴァー・ジョーンズ、編集はヘンリー・リチャードソン、プロダクション・デザイナーはスティーヴ・マーシュが担当。出演はジョン・ヴォイト、エリック・ロバーツ、レベッカ・デモーネイほか。

1985年製作/アメリカ
原題または英題:Runaway Train
配給:松竹富士
劇場公開日:1986年6月7日

ストーリー

真冬のアラスカ、ストーンヘヴンの重犯罪者刑務所。ランキン所長(ジョン・P・ライアン)の怒りを買って3年間も独房に入れられていたマニー(ジョン・ヴォイト)が訴訟に勝ち、独房を出ることになり、所内は騒然となっていた。15歳の娘をレイプした罪で服役中の若者バック(エリック・ロバーツ)は、大はしゃぎで、独房を生き抜いてきたマニーを英雄のようにあがめている。刑務所内のボクシング大会で、ランキンが放った殺し屋に危うく刺されそうになるマニー。マニーのランキンに対する憎しみはつのった。最大の復讐は脱獄することだと悟った彼は、洗濯物集めの役をしているバックの協力で見事脱獄に成功する。しかし、バックも同行したいと訴え出し、予想に反して脱獄の旅は2人共にということになった。吹雪・原野をどこまでも歩き、やがて鉄道の操車場に辿り着いた。そこで巨大な4連ディーゼルを見つけたマニーは引きよせられるかのように、その列車に乗り込んだ。が、発車と同時に、先頭の機関車では初老の機関士が心臓発作で車外に転落し、機関車は運転手のいないまま、速力をあげ出した。操車場からの知らせで、鉄道管制指令室はあわてふためき、バーストウ主任(カイル・T・ヘフナー)は頭をかかえた。そんな状態にあるとは知らないマニーとバックは、別の貨物列車に突っこんだ衝撃で、はじめてことの重大さに気づいた。指令室にはマクドナルド局長(ケネス・マクミラン)も駈けつけ、事故を最小限にとどめるため、周囲に指示を与えた、そんな頃、うたたねしていた間にこんな事態に陥って驚く女性乗務員サラ(レベッカ・デモーネイ)が機関車から汽笛を発したので機関車に人間が乗っていることを知るマクドナルドら。鉄道に詳しいサラは、先頭の機関車が流線型で車体に通路がなく、運転席まで行くのは不可能だと、マニーらに語った。一方ヘリコプターでマニーの行方を追っていたランキンは、鉄道管制指令室に行き、暴走機関車に乗っているのがマニーらであることを確認した。バーストウたちは、手段を見つけることができなくていらだち、局長は人命を犠牲にしてまで機関車を側線に導き、脱線させることを命じた。自分の手でマニーを始末しようと、執念の鬼と化したランキンは、再びヘリに乗り機関車を追跡した。先頭の機関車に乗ろうとして果たせず戻って来たバックに「いくじなし」とののしるマニー。凶暴性をむき出しにするマニーに「あんたは動物よ」と叫ぶサラ。英雄だと思っていたマニーに失望するバック。やがてサラは、機関車が、指令室から見捨てられ古い側線に移されたことを告げた。その側線は行き止りとなっているのだ。マニーが連結器を伝わり、血まみれになって先頭の機関車に向かった。そこヘランキンがヘリから飛び乗って来た。マニーは一瞬早く消火器をつかむとその液でランキンを無抵抗にして捕えると車内のポールに手錠で結びつけた。マニーはバックとサラの乗る後方の機関車を結ぶ連結器をはずした。吹雪の中、先頭の機関車は行き止まりの線路を走っていった…。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第43回 ゴールデングローブ賞(1986年)

受賞

最優秀主演男優賞(ドラマ) ジョン・ボイト

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演男優賞 エリック・ロバーツ
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映画レビュー

4.0万人受けはしないが、過酷でエネルギッシュな傑作だ。

2024年10月8日
PCから投稿

アラスカの重犯罪者刑務所から脱獄を繰り返し、懲罰房に収容されていたマニーは、彼を激しく憎むランケン副所長から殺されそうになり、自分を慕う若者バックの協力を得て、2人で脱獄に成功する。

2人は機関車に乗り込んだが、老年の鉄道技師が心臓発作を起こして列車から転落。
さらに、ブレーキシューが焼けてしまい、機関車は暴走を始める。その一方、ランケン副所長は、マニーを執拗に追いかけていた、、、。

機関車に乗っていた3人目の人間、女性作業員役で、レベッカ・デモーネイが出ている。

本作の脚本は、黒澤明、小国英雄、菊島隆三が書き下ろしたオリジナル脚本(黒澤以外はノンクレジット)で、黒澤によって米国で撮影が進んだが、1967年に出資者とのトラブルで中止になったもの。

1982年、この脚本を所有する日本ヘラルド社が、フランシス・フォード・コッポラに監督の推薦を依頼した。コッポラとプロデューサーは、アンドレイ・コンチャロフスキーを推薦して、本作の製作に至る。

1975年の邦画『新幹線大爆破』では、企画の坂上順が、本作(の脚本)などをヒントにしたとインタビューで認めている。
また、1994年の『スピード』では、脚本のグレアム・ヨストが、父親でカナダのテレビ司会者エルウィ・ヨストから本作の話を聞き、黒澤明が書いたオリジナル脚本を読んで思いついた(父親が、本作の映画化に関係していた)とDVD(アルティメット・エディション)の音声解説で述懐している。

よくありがちなアクション娯楽大作だと思ってると、大きく裏切られる。重犯罪刑務所の囚人が遭遇する非人間的な扱いや、副所長のあまりに酷い過剰な言動、物語を通じて汚い描写や表現など、万人向けの映画とはいえないかも。

とはいえ、非常に厳しく、力強い映画であり、人間の生々しい感情と、悲劇に向かっていく苛酷な物語が展開される。列車を狂った生き物のように描いているのも興味深い。

囚人以外の生き方が選べなかったのかと、痛烈な緊張感に満ちたアクション大作だ。全編を通じて、まるで機関車に乗っているかのように、疾走感に満ちたエネルギッシュな傑作だ。

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瀬戸口仁

2.0うむ、

2024年8月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

ストーリーもわかるし登場人物も少なくてわかりやすくはあった。

若造の「相棒」はやたらおしゃべり。

脱走前から暴走機関車に乗るまでが長い(笑)

で、終わりもなんかあっけないかんじでもあり。

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けい

4.5ケダモノより悪いのは人間なり

2021年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

凶悪脱獄犯マニーが、女から罵られる。   あなたはケダモノよ!
マニーは答える。    ケダモノより悪い、 俺は人間だ。

演劇的でストレートな言い回しだが、 映画の中ではしっかりとリアリティが息づいていた。 監督の手腕もあるが、 脚本がいいと素晴らしい映画ができるーその見本のような映画だと思う。 名優ジョンボイトはもちろん、チンピラ役のエリックロバーツ他、役者たちの演技も実にいい。 理屈抜きに最後まで魅入ってしまう。

黒沢へのリスペクトと、良いものを創りたいというスタッフの熱意が伝わってくる、素晴らしい一本だ。

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Garu

4.0ボイト君の一番よい作品

2021年12月24日
PCから投稿

ボイト君は何となく坊ちゃん風なので、ハードな役をやっても何となく迫力不足ですが、この作品は初めて迫力満点でした。
アクション映画の佳作だと思って観ていたら、最後のシーンは結構泣きそうになりました。黒澤の原案よりも改訂したこっちの方がよいと思います。

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越後屋