太陽に灼かれて
劇場公開日:1995年7月15日
解説
旧ソ連映画を代表する名匠ニキータ・ミハルコフが30年代のスターリンの大粛清をテーマに、激動の時代に引き裂かれた男女の悲劇を描いた人間ドラマ。ミハルコフが主演を兼ね、脚本をルスタム・イブラギムベーコフと共同で執筆、製作にも参加。撮影は「ウルガ」のヴィレン・カルータ。美術はウラジミール・アロニン、アレクサンドル・サムレキン。録音はフランスのジャン・ウマンスキー、編集はイタリアのエンツォ・メニコーニ。音楽は「惑星ソラリス」などタルコフスキー作品で知られ、「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」「ウルガ」でもミハルコフと組んだエドゥアルド・アルテミエフ。出演はほかに「恋愛小説」のインゲボルガ・ダプコウナイテ、ミハルコフの末娘ナージャ、舞台の名優でミハルコフの「絆」などのオレグ・メシーコフ。主題歌はロシアン・タンゴの名曲『疲れた太陽』。67回米アカデミー外国語映画賞、94年カンヌ映画祭審査員グランプリ受賞。キネマ旬報外国映画ベストテン第6位。
1994年製作/135分/ロシア・フランス合作
原題または英題:Outomlionnye Solntesm Soleil Trompeur
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1995年7月15日
ストーリー
36年の夏、旧貴族階級の青年ディミトリ(オレグ・メーシコフ)が住むモスクワには粛清の嵐が吹き荒れていた。革命の英雄コトフ大佐(ニキータ・ミハルコフ)は田園地帯の避暑地“芸術家村”で若妻マルーシャ(インゲボルガ・ダプコウナイテ)とその一族、娘のナージャ(ナージャ・ミハルコフ)とともに幸福な日々を送っていた。ある日サングラスの髭面の老人が彼らを訪問。それはかつて家族同然に親交があったディミトリの変装だった。一家は再会を喜び、ナージャもすぐになつくが、大佐は彼が妻の昔の恋人だと知っていた。一家は川に遊びにいく。大佐はナージャと遊び、二人きりになったマルーシャとディミトリのあいだには昔の情熱が甦る。“毒ガス避難訓練”のドタバタ騒ぎで川遊びは中断。お茶の時間に、ディミトリはナージャ相手のおとぎ話を装いつつ自分が国外に派遣されたのは大佐の差し金だったと暗示する。午睡の最中、マルーシャは大佐と愛し合いながらディミトリのことを問う。大佐はその話は事実で、国外派遣は貴族出身の彼の安全を守るためだったが、彼女の心を独占したい気もあったと告白、マルーシャは夫と愛を確かめ合う。午睡のあと、ナージャと大佐、ディミトリは家の裏の森でボール遊びをする。大佐はボールを取りに行く振りをして藪のなかにディミトリを呼び、彼の本当の目的を問う。大佐は彼が粛清を実行する秘密警察のメンバーだと知っていた。ディミトリは去り、黒い車の仲間たちを連れて戻ってくる。大佐は仕事でモスクワに行くと家族に告げ、軍服姿で車に乗る。途中、麦畑の真中で一行は立ち往生するトラックと出会う。トラックの運転手はすぐに英雄の大佐に気づく。秘密警察たちは大佐に暴行を加え、運転手を射殺して出発する。その前方に巨大なスターリンの肖像を吊るした気球が舞い上がる。翌朝、モスクワのアパートには手首を切ったディミトリが横たわっていた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ニキータ・ミハルコフ
- 脚本
- ニキータ・ミハルコフ
- ルスタム・イブラギムベコフ
- 製作総指揮
- Leonid Verechtchaguine
- ジャン=ルイ・ピエール
- Vladimir Sedov
- 製作
- ニキータ・ミハルコフ
- ミシェル・セイドゥー
- 撮影
- ヴィレン・カルータ
- 美術
- ウラジミール・アロニン
- アレクサンドル・サムレキン
- 音楽
- エドゥアルド・アルテミエフ
- 録音
- ジャン・ウマンスキー
- 編集
- エンツォ・メニコーニ
- 字幕
- 清水馨
受賞歴
第67回 アカデミー賞(1995年)
受賞
外国語映画賞 |
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