セバスチャン

劇場公開日:

解説

古くはマンテーニャやポライヴォロらルネッサンス期のイタリアの画家たち、時代は下ってロシアのモダン・ダンサーのアイダ・ルビンスタイン、さらに日本の作家・三島由起夫までが魅せられたギリシャ悲劇『サン・セバスチャンの悲劇』に材を採り、そのホモセクシュアリティを追求した解釈でセンセーションを呼んだゲイ・ムービー。「狂えるメサイア」「肉体の悪魔」の美術監督ととして映画界入りし、「エドワードII」「ヴィトゲンシュタイン」などの代表作を残して94年2月に死去したデレク・ジャーマンが、ポール・ハンフレスとの共同で監督デビューを飾った一編。スローモーションを多用し、幾つものカットを積み重ねて男の裸体を描く演出など、後のジャーマン作品に顕著な手法が既に伺える。また、英語を一切使用せず、ラテン語のみが使われている。脚本はジェームズ・ウォーリーとジャーマンの共同。製作はハワード・マリンとウォーリ、撮影はピーター・ミドルトン。音楽は、73年にロックグループのロキシー・ミュージックを独立して以来、ソロ、プロデュースと常にUKロックシーンで活躍するブライアン・イーノ。また、本作で重要な位置を占める振付と踊りは、62年に自己のグループ、リンゼイ・ケンプ・カンパニーを結成以来、現代ダンスの第一人者として旺盛な活動を続けるリンゼイ・ケンプと彼のグループが担当。

1976年製作/イギリス
原題または英題:Sebastiane
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:1994年10月29日

ストーリー

古代ローマ、ヂィオクレティアヌス帝によって、キリスト教信者の大弾圧が行われていた時代。宮廷の親衛隊長セバスチャン(レオナルド・トレヴィーリョ)は、彼をいたく気に入っていた皇帝のホモセクシュアルな嫉妬からくる逆鱗に触れ、その地位を剥奪されたうえに危険な前線基地に送られる。そこは男しかいない荒涼たる世界で、やがて彼とその地の司令官シベリウス(バーネイ・ジェイムス)との間には微妙な愛憎関係が生じる。肉体的苦痛を与え続けるシベリウスはサヂィスティックな愛情に、対照的に刑を甘んじて受けたいかのように反抗するセバスチャンには、マゾヒスティックな愛情が。しかし、2人の愛はすれ違ったまま、決して交わることはなかった。セバスチャンの愛は、肉体的関係を求めるシベリウスの愛を遥かに越え、いつしか崇高なほどに高まる。そして、それは彼の処刑という悲劇的な終幕を招くまでに昇華した。

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