シャドー(1982)

解説

ミステリー小説の作家が殺人事件にまき込まれ、犯人を探し出そうとするというスリラー。「インフェルノ」(80)のダリオ・アルジェントの原案に基づいて、彼とジョージ・ケンプが脚本を執筆。兄のクラウディオ・アルジェントが製作に当り、父のサルヴァトーレ・アルジェントがエグゼキュティヴ・プロデューサーをつとめている。撮影はルチアーノ・トヴォリ、音楽はシモネッティ・ピナネッリ・モランテが担当。出演はアンソニー・フランシオーサ、ジョン・サクソン、ジュリアーノ・ジェンマ、ダリア・ニコロディ、ジョン・スタイナーなど。イタリア原題は“Tenebrae”。

1982年製作/イタリア
原題または英題:Shadow Tenebrae

ストーリー

ニューヨークのケネディ空港から、ミステリー小説の作家ピーター・ニール(アンソニー・フランシオーサ)がローマに向けて飛び立つ。新作『暗やみの祈り』のプロモーションのためだ。彼の乗った飛行機を見送る謎の女。その頃、ローマのデパートで『暗やみの祈り』を万引したエルザが、自宅にもどって来たところを何者かによってナイフで首を切られて死亡。現場には『暗やみの祈り』が残されていた。ローマについたピーターは、エージェントのブルマー(ジョン・サクソン)に迎えられる。空港で即席の記者会見がひらかれ、旧友の女性記者チルデが彼に鋭い質問をなげかける。空港の外で、ピーターは先に来ていた秘書のアン(ダリア・ニコロディ)と、ブルマーの助手ジャンニ青年に会う。ピーターらがホテルにつくと、部屋にローマ警察のジェルマニ警部(ジュリアーノ・ジェンマ)とアルティエリ刑事が待っていた。エルザの事件について質問し、床に手紙が落ちてましたよという。開封してみると、『暗やみの祈り』の一節を引用してあった。そこヘ電話がかかり、「お前の小説通りやった。もっとやるぞ」と不気味な声。その夜、チルデと、彼女と同性愛の仲だったクラウディアの二人が、『暗やみの祈り』そっくりの方法で殺された。そして、またしても脅迫状が届いた。翌日、ピーターはTVで文芸評論家ヴェルディ(ジョン・スタイナー)と対談した。ヴェルディは作品の異常さが社会におよぼす影響を鋭く問いただす。ホテルのマネージャーの娘マリア(ララ・ウェンデル)は、ジャンニと出かけるが、途中でジャンニの嫌らしい態度に反撥して別れる。夜の街を歩く彼女に狂暴な犬が吠え、追いかけてくる。犬に噛まれて傷つきながら、彼女はとある家に逃げ込む。その家には、それまでの被害者の絶命直後の写真が多数おいてあった。あわてて家をとび出したものの、彼女も犯人に殺されてしまう。ピーターは自分なりに事件を推理し、ジャンニと一緒にヴェルディ邸に忍び込む。ピーターとわかれて窓を見張っていたジャンニは、ヴェルディが何者かに斧を頭に振りおろされて殺されるのを目撃。ショックを受けてピーターの所へもどると、ピーターは頭をなぐられて倒れていた。翌日、ヴェルディ邸の捜査が行なわれ、ピーターは「シャーロック・ホームズが言ってるように、不可能を消去して残ったものが、たとえ意外にみえても真実ですよ」とジェルマニにいう。ニューヨークにいるはずのピーターの婚約者ジェーンがローマにいた。彼女は今ではブルマーと愛しあっていたのだ。夜、ヴェルディ邸に調査に行ったジャンニが殺される。さらに、ジェーンと昼食の約束をして待ちあわせていたブルマーが白昼、広場で刺殺された。ジェーンの電話をうけたアンが、ジェーンのとまっている家ヘゆく。ジェーンは銃を手にして待っていた。そのジェーンを殺す犯人。さらに、犯人はかけつけたアルティエリも殺害。アンとジェルマニの前に姿を現わす真犯人ピーター。彼は少年の頃に殺人を犯しながら証拠不十分でつかまらなかったという前歴の持主で、精神異常者だったのだ。ローマに来て、それまでの犯行がヴェルディによるものということを推理し、彼を殺すと今度は自分が凶行をひきついでいたのである。ジェルマニを殺してアンに迫るピーター。危うい所でアンはピーターを殺し、このいまわしい連続殺人に終止符をうつ。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0アルルジェント濃度の高い内容

2023年8月27日
iPhoneアプリから投稿

美女が痛い死に方をするシリーズで殺しのバリエーションも豊富で腕がブッ千切れて真っ白の家が真っ赤になるのは見事っす。 あとラスト付近の真後ろに〇〇が〇〇だった時は 劇場で観ていて思いっきり飛び上がりました! あと曲もいいしオープニング最高ですね。 この時には赤とか青の照明のサスペリアやインフェルノのタッチじゃなくてサスペリア2の感じでしたね。

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お主ナトゥはご存じか2.1ver.

3.5【”暗闇の祈り。行動を制御する事は出来なくなった。怒りを抑える方法は一つだった。こうして彼は殺人を始めた。”イタリアンホラーの鬼才ダリオ・アルジェント監督によるサイコスリラー。】

2023年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

単純

興奮

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NOBU

3.0異常さと変態性と鮮血のアルジェント美学

2018年9月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

萌える

『サスペリア』『インフェルノ』でイタリアン・ホラーの名匠となったダリオ・アルジェントだが、原点回帰。 超常現象的なホラー要素はナシ、初期の頃のような殺人スリラー。 ローマを訪れたアメリカ人作家が殺人事件に巻き込まれる。しかも、手口は自分の書いた小説にそっくりで…。 大まかな話は真っ当なサスペンス・ミステリーを感じさせるが、そこは癖アリ。 アルジェント自身がアメリカで遭ったストーカー行為や殺人予告がモチーフらしく、何処か異常さ漂う。 それに加え、変態性。 狙われるのは、いつもながら美女。 乳房チラ見せ、パンチラ、ヌードなどのセクシー…いや、エロショットが惜しみなく。 そんな美女たちを散々怖がらせ、いたぶってから、殺す。あの獰猛な犬に襲われるシーンが一番怖いかも。 犯人のトラウマ的な空想シーンの美女はとりわけ官能さが香り立つ。 ヒッチコック路線と言うより、同じくヒッチコックを敬愛するデ・パルマの怪作『ボディ・ダブルス』と似たものを感じた。 犯人は、一周回って…異常人格。 殺しの際の鮮血はもはや美的。 異常さと変態性と鮮血のアルジェント印。

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近大