ゴッドファーザーPARTII

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劇場公開日:

解説・あらすじ

フランシス・フォード・コッポラ監督の代表作「ゴッドファーザー」のシリーズ第2作。前作でコルレオーネ・ファミリーの首領となったマイケルの苦悩の日々と、彼の父ビトーの若き日を交錯させながら描く。1958年。亡き父ビトーの後を継いでファミリーのボスの座に就いたマイケルは、収入源であるラスベガスに近いネバダ州タホー湖畔に根拠地を移す。そんな彼は、ことあるごとに偉大な父を思い出していた。1901年、シチリア島。9歳のビトーはマフィアに両親と兄を殺されて天涯孤独となり、単身ニューヨークへと渡る。リトルイタリーで成長した彼は、街を牛耳るギャングを暗殺したことをきっかけに移民たちの信頼を集め、頭角を現していく。第47回アカデミー賞で作品賞など6部門を受賞。若き日のビトーを演じたロバート・デ・ニーロは同助演男優賞に輝いた。

1974年製作/202分/アメリカ
原題または英題:The Godfather: Part II
配給:パラマウント映画=CIC
劇場公開日:1975年4月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第32回 ゴールデングローブ賞(1975年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) アル・パチーノ
最優秀監督賞 フランシス・フォード・コッポラ
最優秀脚本賞 フランシス・フォード・コッポラ
最優秀作曲賞 カーマイン・コッポラ
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(C) 1974 by Paramount Pictures and The Coppola Company. All Rights Reserved. Restoration (C)2007 by Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved. TM, (R) & (C) 2014 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

映画レビュー

4.0理想とは真逆へ進んだ先に辿りついた孤独。

2023年2月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

○作品全体
『ゴッドファーザー』では、ヴィトーとマイケルの価値観が対比的描かれていた。「ファミリー」と「家族」を包み込むヴィトーと、それぞれを切り離して考えるマイケル。『ゴッドファーザーPARTII』では、対比的ではあるものの、マイケルが理想とするヴィトーの価値観への羨望、そしてその理想とは真逆に進んでいかざるをえないマイケルの苦悩が描かれていた。

本作も冒頭の初聖体式のシーンからして、ヴィトーとマイケルそれぞれのゴッドファーザー像が対比的に映る。同じ祝い事の場ではあるものの、ヴィトーを頼ってやってくる人々と、マイケルとの損得のためにその場に仕方なくやってくる人々。マイケルが努力をして築き上げた関係性ではあるのだろうが、そこにはトラブルの火種が大量に埋まっている。その後起こるマイケル邸襲撃はそれが表面化しただけに過ぎない。ヴィトーの火種を未然に回避するような立ち回りとは明確に異なるゴッドファーザーだ。

作品の中心に置かれたロスとの駆引きにおいてもマイケルが優位に立つ場面は度々あるが、「裏切り」という言葉が表裏一体となっている。シビアな状況でマイケルの心の支えになっていたのが「家族」だったわけだが、中盤からはその「家族」からも裏切りを受けることになる。マイケルを孤独に拍車をかける「フレドの裏切り」は「ファミリー」と「家族」を切り離して考えてきたマイケルの行動が仇となった場面だ。マイケルは「ファミリー」としての能力に欠けたフレドを閑職に追いやったことで、「家族」であるフレドの存在と一体であることを忘れてしまっている。それはフレドからすればマイケルが自身をないがしろにしていると考えてしかるべきだ。強い組織を作ろうとするがために、自分のウィークポイントを自分自身で傷つけている。
ヴィトーのやり方だったら上手く行ったことが、マイケルのやり方では上手く行かない。それが強調された「裏切り」の描写だった。

ヴィトーの若かりし頃の物語を挿入する構成もすごく上手い。上述の対比に加えて、『ゴッドファーザー』では「若きカリスマゴッドファーザー」として描かれたマイケルが、本作ではヴィトーの物語によって「不幸の底へ転落していくゴッドファーザー」として映る。ラストカットの孤独となったマイケルの表情は一気に年老いたように見え、『ゴッドファーザー』のときにあった若さはなくなってしまった。

「ファミリー」と「家族」、それぞれが手の中にあったはずなのに、全てが抜け落ちたマイケルのラスト。マイケル自身が選んだはずだが、そうせざるをえなかった部分もあり、「ままならなさ」が絶妙だった。

○カメラワークとか
・終盤のヴィトーの誕生日のシーン。マイケル以外の兄弟皆ヴィトーのもとへ行ってしまったあとの、遠くから聞こえる声とマイケルの孤立を映す演出が上手い。ヴィトー役のマーロン・ブランドの出演が叶わなかった苦肉の策だというが、この寂寥感が素晴らしい。

○その他
・個人的に一番つらいシーンは、マイケルがトムを疑うところ。あれだけ信頼していた兄弟であったはずなのに、マイケルは「ファミリー」であり「兄弟」のトムすらも手放してしまうのか、ととても悲しくなった。
・以前見たとき、ヴィトー編はちょっとイマイチとか思ってたけど、今回はむしろマイケル編よりも良いと思えた。舞台の作り込みが素晴らしい。
・ヴィトーが友人と舞台を見ているとき、役者が「マンマ・ミーア」って言うんだけど、ここを見るたびに「ほんとにマンマ・ミーアっていうんだ…」って思う。

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すっかん

5.0【アメリカとは...】

2025年2月18日
iPhoneアプリから投稿

Part1と2は単にマフィアの物語を超え、アメリカ社会そのものを描こうとした壮大な作品です。

イタリア系マフィアつまり、ビトーが築いた私的な護衛組織は、古くからある民族的な仲介役の延長にありますが、そこには強烈な権力と求心力が伴います。ビトーが仲介し、利益を得ることで周囲からの信頼と権力を築いていく一方、時代が進むにつれ、その権力の維持が目的化していくことによって生まれる悲劇が展開されます。

物語の中心であるマイケルは、ファミリーと家族の両方を守ろうとしながらも、徹底的に敵を排除し、利益を追求する冷徹さを選びます。しかし、その冷徹さゆえに孤独に陥り、最終的には「守ろうとしたすべて」を失う結果に至ります。仲間や家族を守るために戦うことが正当とされ、マイケルが敵を排除し続ける姿勢は、個人の意思ではなく「仕事」であると割り切る冷酷な資本主義の暗示にも重なります。この観点は「私情を排し、利益を最優先する」アメリカの象徴でもあります。

作品の舞台には、民族的な伝統と現代の価値観が交錯します。マイケルは、アメリカ社会に適応しようとしながらも、ファミリーの掟や価値観に引き戻されます。米軍を退役し、イタリア人でない女性と付き合う彼が、やがて伝統に縛られ、最終的にはファミリーに戻っていく姿は、民族の歴史や文化が世代を超えて継承される様子を描いています。その象徴的なカットやシーンは、ファミリーの「利益と尊厳」をアメリカ社会の偶像として映し出します。

Part2も、単に暴力や犯罪の世界を描いた作品ではなく、権力の本質や資本主義社会の冷酷さ、民族の文化的な束縛など、人間が持つ普遍的な苦悩と皮肉を映し出しています。それは、アメリカを象徴する「家族の名の下での利益追求」を通して、マフィアを越えたアメリカそのものの姿を表現しているのです。

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ジャパニーズ先住民

4.5オー!ブラザー

2025年1月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

マイケルの顔が怖い。どんどん硬く冷たくなっていく。身内にまで容赦ないとは、彼の心は極北にいるようなものだろうか。

少年ヴィトの孤独が切ない。たった9歳で言葉も知らない異国へ来て、家族もいなくて1人きり。どれだけ心細く不安だっただろう。成長して妻子も持ち、地道に働いていたのに、理不尽な仕打ち…。でも、彼は自分が正しいと思うことをした。そして、コミュニティからの尊敬と信頼を勝ち得た。若きロバート・デ・ニーロはひょろひょろだが、話し方を徹底的にマーロンブランドに寄せ、時のつながりを感じさせた。

さあ、マイケルの人生やいかに。

BS12の放送を視聴。

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ぷにゃぷにゃ

4.5言うまでも無く、名作

2025年1月15日
iPhoneアプリから投稿

悲しい

興奮

知的

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吠えない狼

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