駅馬車(1939)のレビュー・感想・評価
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やっと理解できた
多分4-5回は観てますが、それほどの傑作とも思えず再度挑戦。 それぞれの事情を持った男女が駅馬車に乗り合わせますが、そそれぞれの事情」の描写が雑で、どうもよくわからないので、今回は事前にあらすじを読んでから観たところ、やっと理解できました。 ただし、その事情さえ理解できれば、群像劇としての完成度は七人の侍に匹敵しますし、何よりアパッチとの戦闘シーンのスピード、迫力はその七人の侍の原点ですね。 西部劇の基準を決めた作品です。 追伸 人種差別的との評価が散見されますが、時代背景を考えればこんなものです。現代の感性で評価すべきではありません。
1939年のマッドマックス怒りのデスロード
圧巻の逃げる馬車vs騎馬軍団のアクションは2024年に見てもとんでもないアクションの連続で度肝を抜かれました。 荒々しい馬たちの美しさを十分に堪能しました。
「駅馬車」の前に「駅馬車」なく、「駅馬車」の後に「駅馬車」なし‼️
もうかれこれ30年くらいずーっと考えてます。「駅馬車」と「荒野の決闘」、どっちが上だろう?というかどっちが好きなんだろう?西部劇の双璧であることは間違いないけど、果たしてどっちが上だろう?西部劇として、ジョン・フォード監督作品として、映画として・・・9人の乗客を乗せた駅馬車がアリゾナからニューメキシコまでひた走る。乗客はアル中の医者、騎兵隊の夫を訪ねる若妻、復讐の鬼と化した脱獄囚リンゴ、若妻に想いを寄せる賭博師、リンゴを追う保安官、臆病な酒商人、町を追放された商売女ダラス、公金横領の銀行家、そして気の小さな御者。それぞれに事情を抱える9人が、若妻の出産、インディアンの襲撃で力を合わせ、リンゴは3人の無法者と対決、保安官に見送られながら愛するダラスと共に旅立つ・・・9人の乗客それぞれのドラマで魅せながら、後半の凄まじいアクションで大興奮させてくれる‼️まさに映画の教科書‼️インディアン襲撃のシーンの駅馬車から馬へジャンプする命がけのスタントアクションなんか今見ても絶対出来ないと思うし、若きジョン・ウェインもカッコいい(ショットガンを回転させながら装填したり、ランプで煙草の火をつけたり)‼️ジョン・フォードを敬愛する黒澤明監督が「七人の侍」を製作する際に発したコメント "人間を描く手を緩めずに、壮大な活劇を撮りたい " はこの「駅馬車」という作品の事が頭にあったのではないでしょうか。やっぱり「駅馬車」だな、今の気分としては・・・
【曰く有り気な人々を乗せた駅馬車の中での、人間関係を描いた作品。今作後の西部劇に多大なる影響を齎した作品でもある。】
ー 先日、「フェイブスマンズ」を鑑賞し、ジョン・フォード監督作品を一切観ていない事に気付き鑑賞。- ■娼婦ダラスや飲んだくれの医者ブーンらを乗せた駅馬車が、アリゾナからニューメキシコへ向けて出発。その途上で、お尋ね者の脱獄囚リンゴオ・キッド(ジョン・ウェイン)も加わる。 一行はさまざまな局面をくぐり抜けて不穏な道を進むが、ついにアパッチ族の総攻撃にさらされ…。 ◆感想 ・最初に書くが、今作が2023年に公開されていたら、”名作”とは呼ばれていないと思う。だが、ジョン・フォード監督が今作を公開したのは1939年である。 ・だが、今作がその後の映画に対して与えた影響は、計り知れないとも思った作品である。 ー それは、駅馬車に乗り合わせた人々の濃密な関係性を短ショットで描き出す手法である。- ・気になるのは、先住民族のアパッチ族の描き方であるが、流石ジョン・フォード監督、絶対悪とは描いていないのである。 <駅馬車に乗った曰くある乗客たちのキャラ立ちも良く、面白く鑑賞した作品である。 ”地平線は上か、下か・・。”フツーに真ん中ジャン‼と突込んだ作品でもある。>
複雑な関係を簡潔に提示
1939年。ジョン・フォード監督。アパッチ襲撃が噂される中、目的地目指して進む駅馬車。多様な背景とそれぞれの関係を持った乗客たちが襲撃に恐怖にさらされながら進む西部劇の名作。誰かがやってきて始まり、走り去って終わる。「ジョン・フォード論」刊行記念で見返してみたが、また感動してしまった。 南北戦争の余波をひきずる北部と南部の対立、酒と娼婦と博打への蔑視と差別、復讐と正義、若者へのまなざし。様々な思いが絡み合って盛りだくさんの人間関係の物語が見事に画面に収まっている。赤ちゃん誕生で一時的に和解する男たちとしかしまたすぐに始まる諍い。現在、多様性だとサステイナビリティだのが時代の合言葉になっているが、この映画に描かれた驚くべき多様性を見よ。これが80年以上前に撮られた映画とは。 馬車の屋根から見下ろすカットがこんなにあったのかと驚き。特に川のなかへ進む場面での迫力は満点。
アパッチの恐怖
駅馬車がアパッチジェロニモに襲われる危険性があったので騎兵隊が付いた。ジョンウェイン扮するリンゴーキッドも乗車した。誰しも何らしか問題を かかえていた。長旅ゆえ乗り合わせた者たちは助け合う。やっぱりアパッチの恐怖は大変なものだったんたね。名作と言われるゆえんはここにありか。
2022年に見ても色あせぬ迫力
新文芸座のリニューアルオープンにともない特別上映されていた黒澤明監督の『7人の侍』を鑑賞しました。その黒澤明が影響を受けたのがジョン・フォードであることを知り、名作の誉れ高い『駅馬車』を鑑賞しようと思った次第です。 良かった点 1.興奮する迫力と雄大な景色 CGなどない時代のものとは思えない迫力です。落馬するシーンが多いですが、落馬してその上を馬車が通り過ぎるシーンなどは、命がけの撮影だったろうと思います。また、モニュメントバレーを中心とした雄大な景色は、迫力を引き出すのにふさわしかったです。 2.重層的なクライマックス 本作品には二つのクライマックスがあります。ひとつは、アパッチ族との銃撃戦を潜り抜けていくシーンです。もうひとつは、リンゴ・キッドが敵討ちを果たすシーンです。決闘をして最初に酒場に戻ってきた敵方が決闘に勝ったのかと思いきや・・・。古臭い演出ですが、魅せるシーンでした。 3.後味の良い人間模様 たまたま乗り合わせた人たちの個性や背負っている人生を描き、クライマックスを挟んでそれぞれの話にエンディングを持たせてあります。そのため、鑑賞後の余韻は非常に良いものでした。
分かりやすいストーリーとキャラクター。 アパッチとの格闘も迫力ある...
分かりやすいストーリーとキャラクター。 アパッチとの格闘も迫力あるし、全編通して明るいものを感じさせてくれる。 あの格闘はよく馬が撃たれてコケるが、どうやって撮影したのだろう。 映画通ではないが、西部劇の金字塔というのもうなづける。
歴史観として受け入れられない
グリフィスの「国民の創成」(KKKを美化した唾棄すべき大作)もそうなのだが、歴史的名画と称される作品でも、白人至上主義のあまりに偏った歴史観に立っている映画は、今となっては中々受け入れられるものではない。南北アメリカ大陸でヨーロッパからの移民はこの作品で襲撃される白人たちとは比較対象とならない数の先住民を虐殺しているわけで、フォードだってそのくらいの知識は有していたはずだ(例えば、キューバの先住民は皆殺しされ、一人も残っていない)。であれば、このテーマをこの視点で描く時点で作品の価値は無に記するところ。 確かに、映画として固有の価値はあろうが、基本理念に明らかな欠陥がある作品をそのままストレートに受け入れる事は困難だ。
フォード敬愛の黒澤明にとっての特別な作品か?
私が海外の作品を観る時にネックになる のが、登場人物の顔と名前の判別だ。 なかなか覚えられないうちに、 映し出される顔や、字幕スーパーに 他の登場人物の名前が表示された際に、 誰だったろうと考えているうちに 場面展開されてしまって、 結局理解が進まないまま鑑賞を終えてしまう ことがままある。 しかし、 この作品は一切その心配は不要だ。 登場人物の名前などは分からなくとも 全く支障が無い。 ひとりひとりの個性が際立っており、 人物判定に苦労しないで ストーリーに集中出来る作品だった。 何十年ぶりかの鑑賞で、いまや有名な アパッチ族による駅馬車襲撃シーンしか 覚えていなく、期待の高まらないまま、 同じフォード監督の「わが谷は緑なりき」を 観た勢いでの再鑑賞だったが、 印象が変わった。 このフォードの西部劇映画は、 「アパッチ砦」や「シャイアン」のような アメリカ先住民への公平な描写は 無いものの、 ウエイトを置いたのは、 肩書きと人間性の反転描写によって 思い込みや偏見での判断の過ちを諭す、 との製作意図だったのでは。 私としては、 赦しや寛容の重要性をも醸し出しつつの エンターテインメント性に優れた作品 として、再評価出来る鑑賞となった。 フォードを敬愛する 黒澤明作品の素晴らしさは、 エンターテインメント的作風の中に ほとばしるヒューマニズムだが、 その意味では、この「駅馬車」は 黒澤にとってのフォード映画の中でも 特別な作品ではなかったかと 想像を巡らした。
ネイティブアメリカン(インディアン)からも愛されたジョン・フォード監督
インディアンを一方的に悪者としている点を取り上げているレビューがあるので、ひと言。 確かに現代感覚で見ると違和感を持つことは理解できます。 なので反論をしたいのではありません。 ただ、この映画はご覧のとおり、沢山のネイティブアメリカンの方々がエキストラで撮影に参加し、協力を得て完成しています。 ネイティブアメリカン向けの上映会でも、この有名な戦闘シーンは大盛況だったそうです。 モニュメントバレーを縦横無尽に走り回るインディアンの姿を、これほど大迫力で描いた映画は他にありません。 映画全盛の時代に、銀幕の中で活躍する自分達の姿は嬉しいものだったのかもしれません。 また所詮、映画は映画、エンタメとして受け入れていたということなのかもしれません。 この作品以降もジョン・フォードはモニュメントバレーで何度も西部劇の撮影をしていますが、ネイティブアメリカンの方々との関係も良好だったそうです。 一番信頼されていた映画監督とも言われます。 そしてもし興味があれば、同じジョン・フォード&ジョン・ウェインの名作「捜索者」を是非お勧めしたいです。 こちらはインディアンへの憎悪、偏見、矛盾を含めた異色の西部劇です。
アパッチの襲撃と、駅馬車側の応戦が見事 → 迫力+緊迫感が凄い
1.特に75分に駅馬車側の銃弾が尽きて、もうダメかと思った時、 危機一髪で騎兵隊の救援 → 観てて感激した 2.さすが名作、面白かった 3.アメリカ西部の大自然と大平原も凄い → さすが1939年製
スピードとダイナミズムの娯楽西部劇の金字塔、そしてフォードの人間の本質を見抜いた人間愛
アメリカ映画を代表する巨匠ジョン・フォードの西部劇の最高傑作。 映画の伝道師淀川長治氏は、世界映画のベストワンとしてチャールズ・チャップリンの「黄金狂時代」と並ぶ評価をしていた。それは映画評論家になる大分昔の太平洋戦争開戦直前の1940年に、ユナイテッド・アーティスツ日本支社の宣伝担当社員で、偶然にもこの新作の宣伝を任せられた深い繋がりがある。当初情報が少なく、アメリカ題名の『Stagecoach』を舞台監督と訳したお話から、主演のクレア・トレヴァーは知っててもジョン・ウェインに関しては全く期待していなかったこと、そして実際試写して、そのあまりの良さに驚き映画をヒットさせたいと苦労したことなどが語られている。特に興味深いのは、当時の文化人や著名人に試写を繰り返し、日本映画の二大巨匠の小津安二郎と溝口健二にはポスターのキャッチコピーまで依頼したことだった。ただし日本支社社長の許可を得ないで試写をしたのがバレて、一度首になりかけている。結局公開初日からの大ヒットで首にならずに済んだという。この逸話からは、淀川氏独自の捨て身の深い映画愛が伝わり感動してしまう。この淀川氏個人の私的な愛着が、更にこの映画の素晴らしさを私に抱かせる要因でもある。 ダドリー・ニコルズの脚本、フォードのヒューマニズムタッチとアクションシーンの迫力ある演出がとにかく素晴らしい。一台の駅馬車に乗り合わせた様々な人たちのそれまでの半生がストーリーが進むに従って浮き彫りになる。町を追われる主人公の商売女、アルコール依存症のヤブ医者、名家出身の賭博師、ごく平凡で善良な酒のセールスマン、お高く留まる騎兵隊大佐夫人、横領の銀行頭取、そして復讐の為に脱獄したカウボーイ、それを追う保安官。身分の違い、正義と偽善、善と悪が、ひとり一人の人間の外面と内面の両方を複雑に表現している。この人間表現の深さは、モーパッサンの短編小説『脂肪の塊』を参考にしたという。それは、この映画の4年前に「マリヤのお雪」で溝口健二が既に採用した原案と一緒である。日米の巨匠の偶然のこの一致は、映画が何を描くべきかのひとつの答えを示唆するものだ。身分制度や階級社会が明確な時代背景を舞台に、フォードが求め描いたのは外見に囚われない人間の本質的な価値の追求。その温かいまなざしが、フォード監督を映画作家たらしめる。 映画史上に燦然と輝く、アパッチ襲撃のアクションシーンのスピードとダイナミズム。疾走する六頭立て馬車と追い掛けるアパッチ族の緊迫のカットバック。カメラ位置を駆使して立体的に表現した模範的モンタージュ。特に地面の中にカメラを据えて馬車を下から仰ぎ見るカットのインサートが凄い。圧巻は、スタントマンの荒業の妙味。これはmovieと言うより、走るmotion picture。何度観ても圧倒されてしまう。このクライマックスの前に、駅馬車に丸太を括りつけて川を渡る珍しいシーンがある。渡り切って安心してからの弓矢が襲う衝撃。この緩急の演出がまた上手い。 肉親を殺された復讐相手との決闘を、二段構えのクライマックスにしたこの娯楽映画としての完成度の高さ。ジョン・ウェインはこの映画で一気にスターになって行く。この成功が、ジョン・フォードとウェインの名コンビの西部劇を連作していくことになる。その意味でも西部劇映画の金字塔として後世に語り継がれるべき名作である。私的には「駅馬車」「荒野の決闘」「シェーン」が西部劇映画のベストスリーになる。
やはりアパッチの襲撃なんてオマケだ。インディアンが悪者だというこ...
やはりアパッチの襲撃なんてオマケだ。インディアンが悪者だということを疑わない子供の頃に観た時は普通に感動できた映画だったが、ここまで一方的に恐ろしい存在だと思わせる映画だと、ちょっと引いてしまう。ただ、冷静になって見れば、当時の撮影技術としては素晴らしいものがあることは間違いない。さりげない俳優陣の演技には思わずのめり込む魅力があり、酔いどれ医師のミッチェルは名演技だ。
セリフがいい! 戦闘シーンも。
セリフ回しがおしゃれでかっこいいですね、劇中の「いずれいずこかでたまにあたり酒に死すだろう・・・」というセリフの後に「帰るのか?」と聞かれて「いや、もう一杯飲む」と答えるこのやりとり、最高におしゃれでした!! 後、ラスト戦闘シーンの迫力は段違いですね、圧巻とはこのことです。
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