パッチギ!

ALLTIME BEST

劇場公開日:2005年1月22日

解説・あらすじ

1960年代の京都を舞台に、日本人と在日朝鮮人の高校生たちの恋と友情を描いた青春群像劇。松山猛の自伝的小説「少年Mのイムジン河」を原作に、「岸和田少年愚連隊」「ゲロッパ!」の井筒和幸が監督・脚本を手がけた。1968年、京都。府立東高校2年生の松山康介は担任教師に命じられ、日頃から生徒同士の争いが絶えない朝鮮高校へサッカーの練習試合を申し込みに行くことに。友人の紀男とともに嫌々ながら朝鮮高校を訪れた康介は、音楽室でフルートを吹いていたキョンジャに一目ぼれする。しかし彼女は、朝鮮高校の番長アンソンの妹だった。キョンジャと親しくなりたい一心で韓国語を必死に勉強し、彼女が演奏していた曲「イムジン河」を覚えるため楽器店でギターを購入する康介だったが……。康介を塩谷瞬、キョンジャを沢尻エリカ、アンソンを高岡蒼佑がそれぞれ演じた。

2004年製作/117分/日本
配給:シネカノン
劇場公開日:2005年1月22日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第29回 日本アカデミー賞(2006年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 井筒和幸
脚本賞 羽原大介 井筒和幸
新人俳優賞 塩谷瞬
新人俳優賞 沢尻エリカ
話題賞 作品部門/俳優部門 沢尻エリカ
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映画レビュー

4.0 歴史は進歩してる!

2025年8月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

興奮

 「歴史の進歩とはなにか?」と問われたときの一つの答えとして、「不条理の苦痛をひとつでも解消していくこと」というのがある。
 本人の意志ではどうにもならないことで、不当な扱いを受けていることを「不条理な苦痛」という。例えば、肌の色とか国籍とか出身地とかは、本人の意志ではどうにもならない。そんな不条理な苦痛を解消していく社会を実現していくことが、歴史の進歩と言えるのではないだろうか。

 むかし、お世話になった会社の創業者はいわゆる在日2世で生きていれば80歳半ばになっている。その社長とこの映画の公開当時に「パッチギ!」談義となった。
その社長はうれしそうに「あの映画はオレらの青春時代とかぶるんだよ!ホントにあんな感じだった!」
「仲間の〇〇が日本人生徒にやられた、仕返しに行こう!とかやってたもんだよ!笑」
みたいな感じだった。

 ただ、その後神妙な面持ちでこんなことも語っていた。
「大学卒業を控えた就職活動では、どうしようもない差別的扱いをうけたよ。どこの面接官もいうんだよ、『きみは確かに優秀な学生だ、ウチで活躍していく姿も想像できる、ただ、申し訳ない、君の出生だとウチでは採用できないんだ』ってな、だからオレは自分で創業することにしたんだよ」

 その社長はいわゆる東京六大学といわれる名門大学を首席で卒業していたとのこと。そんな彼でも、出身地という本人の意志ではどうにもならないことで差別的な扱いを受けてきた。
 この映画の長老的役柄(笹野さん)の人は、その社長よりもひと回り以上上の年代になる。もっとキツい差別的扱いをされていたことは想像でき、その時の蟠りも同時に想像できる。

 ひるがえって、いまこの令和の時代はどうであろうか?完全ではないにしろ「不条理な苦痛」は幾分ではあるが解消されてないだろうか。(むしろ不法者への優遇を問いただそうとする潮流はあるかも)

 公開から約20年経ち、この映画をみると日本社会の歴史的な進歩を実感できる。
 当時は、まあ普通の熱い青春群像劇であったが、久しぶりに観た「パッチギ!」はとても興味深い映画に感じられた。

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マツナミコ

3.5 人類はいつか分断差別という河を越えて行く!

2025年7月31日
iPhoneアプリから投稿

興奮

知的

斬新

井筒マジックにより若き出演者達のエネルギーが弾ける名作!
異なる人種、異なる文化、過ちの歴史、全てパッチギ(乗り越える)! 世界中で喧嘩ばかりの人類に対するメッセージをケンカと「イムジン河」一曲で訴える本作。
頭突きをくらったように心に響きました。
アジアの隣人達を見下し、視野が狭く、ケツの穴の小さい島国日本人が未だにいますが、そういう方々に観ていただきたい作品ですねっ。

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映爺

3.5 激しい

2025年6月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

若者たちの、怒りのほとばしる様が、なんかすごい。激しい。けんかの最中、やめて〜と周りでオロオロする人達は、きっと後で警察に訴えたりするんだろうな。

よその国から移ってきた人達を、「あいつら」と言って下に見るのは、日本だけではない。言葉や習慣が違うと、摩擦は避けられない。でも、世代が変われば、価値観も変わる。100年経てば、きっと変わっているさ。

オダギリジョーのギターと歌が良かった。出てきた時はちゃんとした坊っちゃん風だったのに、ヒッピーみたいになっていくのがおもしろい。時代を感じるねぇ。 あと、加瀬亮がどこで出ていたか、よくわからなかったけど、もしかして…ビートルズのコピーみたいなバンドのボーカルだった? つるつるピカピカでかわいいー。真木よう子も江口のり子も若い!

イムジン河のメロディが、穏やかにゆるやかに、人々の喜怒哀楽を包む。若者のみずみずしさと、固定観念を変えていくパワーを感じた。

BS松竹東急の放送を鑑賞。

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ぷにゃぷにゃ

3.5 アイゴー!

2025年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

楽しい

 1968年京都。高校2年生の康介は、日頃から衝突が絶えない朝鮮学校に、サッカーの練習試合を申し込みに出向く。そこで出会ったキョンジャに一目惚れ。彼女は、番長アンソンの妹だったが、康介は彼女と親しくなりたくて朝鮮語を覚え、「イムジン河」をギターで弾けるように練習する。
 高校生らしい勢いとスピード感があり、悲しいけどユーモアある作品でした。20年前の作品ですが、今でも活躍している人が多く出演。キムラ緑子が意外にキレイでした。「パッチギ」は、頭突きの意味。劇中よく言ってるアイゴーは、朝鮮語の感嘆詞。

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sironabe

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