うめく排水管
劇場公開日:2004年7月31日
解説
「富江」の伊藤潤二&及川中監督コンビが贈る究極のネオ・ファンタスティック・ホラー。異色恐怖漫画家・伊藤潤二作品の中でも最もシュールで奇妙な作品のひとつ、とマニア人気も高い『うめく排水管』が「富江」に続き及川中監督によって映像化された。恐怖にさらされる美人姉妹には、『仮面ライダー555』のヒロイン・スマートレディ役で注目を浴びた栗原瞳と、<ミスマガジン2003グランプリ>のいわまゆこと、岩佐真悠子が扮する。
2004年製作/78分/日本
配給:アルゴ・ピクチャーズ
劇場公開日:2004年7月31日
ストーリー
この頃、大都市では不気味なウィルスが蔓延している。郊外にあるその家の排水は、ひどく詰まっていた。排水管修理に訪れた丸徳ポンプの桑田(渋谷正次)は、「靴下が汚い!」と、この家の主婦にエキセントリックな声で怒鳴られる。やがて、詰まった排水管の中から出てきたのは、汚水と一緒にドロドロにからんだ大量の髪の毛だった……。この度を超えた潔癖症の母親(播田美保)と暮らしているのは、美人姉妹の令奈(栗原瞳)と真理(岩佐真悠子)。両親は数年前に離婚していた。姉の令奈が大学から帰ると、家の前で、別れて暮らす父親(鈴木一功)が突然現れる。父は生活に窮しているようだが、令奈は「母親に叱られるから」と、困惑する。そんな令奈を遠くから8ミリカメラで写している青年がいた。彼の名は滑井(ぬめい)(フジヤマ)。「太ってて、脂ぎっていて、体臭がひどく臭い」コンプレックスの塊のような滑井は、いつも令奈をカメラで撮影しているのだった。令奈も、滑井の存在には気づいていたが、不思議と不快なそぶりは見せなかった。それどころか、令奈は滑井と何か話したがっている様子だった。清楚な印象の令奈に対し、快活なイマドキの女子高生の真理は、男友達をよく家に招く。真理のBFたち(豊永伸一郎、カン・ユンフ、長野タケル)は、母親の眼鏡にかなった「エリート」学生だが、かつて令奈をレイプしようとした悪党たちだった。その時、令奈の危機を救ったのが、滑井だったのだ。令奈は一度、滑井にお礼が言いたかったのだけれど、滑井はストーカーのように遠くから見つめるだけで、決して令奈に近づいてこようとはしなかった。そんな二人に、悲劇は突然襲ってきた。いつものように帰宅した令奈を隠し撮りしていた滑井は、ついに令奈につかまってしまう。今日こそ滑井と話をしようとする令奈と、必死に逃げようとする滑井。もみ合いになる二人に、妹の真理と例のBFたちが現れる。BFたちは滑井の顔を見て、令奈をレイプしそこなった時のことを思い出し、無抵抗の滑井をさんざんに叩きのめす。姉につきまとうストーカーを退治した、と満足そうな真理と、痛みにうめく滑井をなす術もなく見つめる令奈。翌日、夜に滑井はケーキの箱を持って令奈の家を訪れる。しかし母親の清子は包帯だらけの滑井を「化け物」とののしって、生卵を投げつけて撃退する。さらに真理のBFたちが滑井を待ち伏せ、さらに容赦ない暴力をふるい、骨を砕いて二度と滑井が立ち上がれないようにしてしまう。滑井は、最後の力を振り絞って、排水溝の中に身を投じる。一方、令奈の家でも悲劇が起きた。深夜に家の中に侵入しようとした父を、泥棒と間違えた清子が撲殺してしまったのだ。正当防衛で罪には問われずに済んだが、それ以来清子は、狂気の様相を呈していく。「潔癖症」は完全に病気の領域に入り、スーパーで買った食料すら殺菌消毒しないと気が済まなくなり、顔や手の皮膚は洗いすぎてボロボロになってしまう。令奈は清子の変貌と、あれ以来滑井が姿を見せなくなったことに心を痛めるが……。