風来坊探偵 岬を渡る黒い風

劇場公開日:

1961年製作/60分/日本
配給:ニュー東映
劇場公開日:1961年6月23日

ストーリー

風来坊探偵こと西園寺五郎は、江藤漁業江藤重吉の娘慎喜子に事件を依頼されて房総半島新岬港に向かった。江藤漁業は相次ぐ海難事故のため危機に頻していた。しかもその事故原因が決って時化の金曜日に起ることから重吉は、娘を五郎の迎えにやったのだ。五郎が江藤漁業へついた時に、重吉は水死体となっていた。五郎の活躍が始った。新岬港にはもう一つの漁業会社堀越海運がある。南房水産研究所の仕事を一手に引きうけて繁昌していた。南房水産は所長の南条博士、五味助手、所員の千代子を中心に、プランクトン放流による漁法の研究を課題としていた。その後援者は町の実力者の多々良大造であった。採算がとれそうにもない研究に多々良は絶大な援助を送っていた。水産研究と堀越海運との結びつきに疑問を抱いた五郎に、堀越海運にいるジョーカーの鉄という渡り者が戦いを挑んできた。断崖の岩場に、鉄の拳銃と五郎のウィンチェスターが対決した。だが腕は互角だった。二人の胸にはいつか友情が湧いていた。五郎は時化の日の金曜日、あけぼの丸で水産研究所の実験海域へ密かに潜入した。そこで五郎が見たのは、堀越海運からのチャーター船が、此処で貨物船と麻薬の取引をしている現場だった。江藤海運の沈没船はいずれもこの現場をみたためだった。この海域から離脱しようとしたあけぼの丸は、貨物船に発見され、ダイナマイトを投げつけられた。あけぼの丸は怒濤の中に沈んでいった。この事件で、麻薬団の首領、五味こと蒋石海は、身の危険を知った。南条博士が傀儡のボスとなって堀越一味が沖から運んでくる麻薬を多々良とその情婦紫都子に輸送させていたのだが、麻薬ルートの全ぼうのばれるのを恐れて多々良と紫都子を射殺した。そして堀越剛之助とその幹部も部下に命じて射殺させた。逃げるための楯に慎喜子を捕まえた。その騒ぎの最中に、あけぼの丸と一緒に沈んだはずの五郎が鉄と現われた。二人の拳銃とウィンチェスターに、蒋一味は次々と倒れていった。最後には蒋も断崖まで追いつめられ、やがて消えていったのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5新人・深作欣二×千葉真一の才能が垣間見える

2022年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

映画「風来坊探偵 岬を渡る黒い風」は、主要スタッフ、キャストが深作欣二初監督、千葉真一初主演の第1作「風来坊探偵 赤い谷の惨劇」と一緒なので、2本同時撮りでしょう。拳銃コンビの千葉真一と曽根晴美が、麻薬密輸団と対決するアクション・サスペンス映画「風来坊探偵シリーズ」第2作。
スピーディでテンポいい深作演出と、アクションも吹替えなしで魅せる千葉真一に、その才能が垣間見える。拳銃コンビは、日活、小林旭×宍戸錠の「渡り鳥シリーズ」(1959年~)の模倣ながらも、若さ溢れる千葉真一のフレッシュな魅力と、曽根晴美のコミカルな演技が楽しい。
また、冒頭と中盤、嵐の海で漁船が沈没する特撮は、東映特撮の旗手・矢島信男の仕事で、CGのない当時としてはダイナミックな場面になった。矢島は、その後も深作監督と組んで、「宇宙からのメッセージ」(昭和53年)、「魔界転生」(昭和56年)、「里見八犬伝」(昭和58年)などの特撮を担当している。
ヒロインの北原しげみはキュートな感じの美人女優さん。
もう一人、小林裕子は東映東京の現代劇で活躍した女優さん。昭和34年の「七色仮面」(島津昇一監督・波島進主演)で、迷探偵・金有左門の助手、荒井三子(通称ぼやきの三子)役が漫才コンビのようで忘れられない。庶民的な感じの女優さんでファンでした。
千葉真一のウィンチェスター銃、曽根晴美の拳銃、クライマックスの派手な銃撃戦は深作演出の真骨頂。深作欣二×千葉真一の出発点となった「風来坊探偵シリーズ」全2作、お薦めです。

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papatyan

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