天と地と

劇場公開日:1990年6月23日

解説

戦国時代を背景に、上杉謙信と武田信玄との対決を描く時代劇。海音寺潮五郎原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は「キャバレー」の角川春樹。共同脚本は「いこかもどろか」の鎌田敏夫と「オイディプスの刃」の吉原勲。撮影監督は「スウィートホーム」の前田米造がそれぞれ担当。

1990年製作/119分/日本
配給:東映
劇場公開日:1990年6月23日

あらすじ

天文十七年(一五四八年)時は戦国下克上、家臣が主人を倒し、内親同士で相争う乱世の只中、遠く都を離れた北国、越後でも新たな戦いが始まろうとしていた。守護代の位にありながら政務をおざなりにした兄・長尾晴景を討つべく、弟景虎が兵を挙げたのだ。仏教、特に刀八毘沙門天を厚く信仰する景虎は、戦場では軍神の如き冷徹な攻撃ぶりをみせる一方、内心では血を分けた兄に弓をひいた事に対する後悔の念に捉われていた。幼少時より景虎に仕えてきた軍師宇佐美定行は、その迷いを見抜き「乱世の運命からは遁れられぬ」と説くのだった。ある日、景虎は宇佐美の娘であり幼なじみの乃美と十年振りに再会する。日々合戦にあけくれる景虎にとって、乃美とすごす時は安らぎであった。乃美も景虎の身を案じて『龍』の文字の入った陣羽織を贈る。互いに思慕の情が湧くが、乃美の嫁入りという運命がふたりを引き裂いていった。同じ頃、険しい山々に囲まれた甲斐の国で上洛を果たさんと野望を胸に抱く武将がいた。守護大名武田晴信、後の信玄である。息子の太郎義信、側室で女騎馬隊を率いる八重、軍師山本勘介をはじめ屈強の家臣を持つ晴信は、着実に勢力を拡大していた。肥沃な奥信濃は、土地のやせている甲絞にとって是非とも手中に収めたい土地だった。晴信は北上し攻撃を開始する。追われた信濃の領主達は、隣国越後に失地回復を嘆願し、景虎との対決がそう遠くない事を予感していた。景虎はかつての主であった長尾家を裏切り、武田軍の役立てで越後を侵略しようとした昭田常陸介を倒すために兵を挙げる。昭田妻子を捕慮として捉え、城を包囲し降伏を迫るが昭田は景虎の使者を斬り捨て篭城する。宇佐美は覚悟のほどを見せるために妻子を討てと進言するが、景虎は非情になり切れずにためらう。いら立つ宇佐美が首をはね、昭田を陥落させたが、景虎の心には一国の主としての己のありかたに対する疑念が湧く。毘沙堂で真言を唱えながら苦悩する景虎。数日後、景虎は城を捨て、修行僧に姿を変え放浪の旅に出る。後を追う家臣達と雪深い信濃峠で再会するが、偶然にも晴信一行に出くわす。修行僧の姿で頭を下げる景虎たちのもとへ木の枝から落ちた雪の音に驚いた八重の馬が暴走し、杖で制しようとした景虎を成敗しようと斬りかかる太郎義信。その刃から主人をかばい馬廻りの戸倉弥八郎が殺されてしまう。武田側の無礼になすすべもなかった景虎は憤怒に震えながら、武田陣を討たんと決意するのだった。早春の夜、琵琶島城の宇佐美を二人の男が訪ねてきた。甲斐に走った大熊朝秀と武田の名軍師山本勘介だった。こうした会談の場をもったこと自体が、すでに武田に款を通じた証拠と、強弁する勘介の気迫に宇佐美は圧倒されるのだった。そのころ武田勢が甲府を進発したという報が春日山城に届いた。こうして景虎は川中島で死守する態勢をとるのだった。決戦の場、川中島で両雄はついに陣を構えた。景虎側と武田側とが激突し、乱戦を展開する。景虎はそこで武田の士気を挫き、戦国武将として成長してゆくのだった。無念の武田軍団が戦場を去って行く中、衝撃的な報が景虎の本陣に入った。武田の間者が宇佐美の謀叛を示す書状を持って捕まったのだ。心の隙を衝かれた宇佐美は自らの落ち度を認めて景虎と槍で果たし会い討たれるのだった。永禄四年秋、景虎は上杉謙信と改名し、晴信も武田信玄となった。そして両者は再び川中島にて、鬼神のごとく激突するのだった。

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映画レビュー

3.0 ロケのスケールだなあ

2025年9月9日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

そうか、カナダロケか? これだけの馬とエキストラなので中国かと思った。角川春樹の腕力でこのロケを成功させたのは立派。戦陣のスケールとローアングルも使った騎馬戦のカットは良かった。
ただ肝心のストーリは弱いし、いまいち残らない。メインキャストの迷走があって、謙信のカリスマ性と孤独が伝わらない感じ。榎木さんだから悪いというわけでなく、違ったキャスティングができなかったのかなあ。津川さんの信玄に負けている感じ。
女性騎馬隊が戦場で先陣? これ本当なら、勉強不足でした。

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Bluetom2020

2.0 なぜ劇場に行ったのか謎

2025年9月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

しいて言えば、選択肢の中にギリギリ残っていて、時間がちょうど合ったとしか言いようがない。小室哲哉のボーカルを聴くことが出来る奇跡の主題歌。実にねっとりとささくれを刺激してくれるサウンド。

主演の交代劇も話題になりました。確か渡辺謙が主役で撮影が進んでいるときに、健康上の理由で降板になったのちに榎木孝明に白羽の矢が立った展開だったと記憶している。

さらに、なぜだか角川映画のプロデューサーとして名を馳せていた角川春樹が、集大成として、メガホンも執るという不思議な成り行きで、何か釈然としないものを感じさせた。

肝心の映画の出来は、様式美を追求したような美しい映像にこだわるあまりに、物語としての面白みに欠けていたと思います。重厚感だけは画面から伝わってくる映画で、かなりの予算も使って宣伝展開も派手だった割には、低い評価に留まった。残念な作品でした。

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うそつきかもめ

0.5 タイトルなし(ネタバレ)

2025年7月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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マサシ

2.0 のんびりと合戦していました。

2024年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

単純

カナダでロケ。遠目に見ても長身でスリムなエキストラたちは現地の女子大生だったとか。皆さん、のんびりと合戦していました。他人事ながら巨額の製作費がもったいなくて……。
渡辺謙さんの代役を榎木孝明さんが務めましたが個人的にはむしろ適役だったのでは、と思います。
諏訪の神軍が何のために出てきたのか、理解不能。
NHKの大河ドラマは本当によくできていたと再認識しました。

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共感した! 2件)
まさのぶ