青春の門 自立篇(1982)

劇場公開日:

解説

五木寛之のロングセラー小説の映画化で、前作「青春の門(1981)」に続き、主人公・伊吹信介の上京後の苦悩にみちた青春とその周辺の人々の生き方を描く。脚本は「復活の日」の高田宏治、監督は「青春の門(1981)」の蔵原惟繕、撮影も同作の仲沢半次郎がそれぞれ担当。

1982年製作/147分/日本
原題または英題:The Gate of Youth Part2
配給:東映
劇場公開日:1982年1月23日

ストーリー

生まれ故郷の筑豊を後にした伊吹信介は、単身上京し早稲田大学に入学した。立川基地拡張反対運動が盛り上がり、混沌とした世相の中、信介はコッペパンを噛じりながら、下宿捜しに奔走する毎日だった。そんなある日、信介は緒方という演劇部の学生と知り合い、泥酔の末、下宿に案内され、その部屋を提供してもらうことになった。しかし、翌朝、緒方の姿はなく、緒方は下宿代を半年分もためて、とっくにこの家を追い出されていた。学生証を持っていかれた信介はアルバイトもできずに困っていたが、偶然、伊勢丹の側で兎を売っていた緒方を発見、詰問したが緒方は悪びれるふうもなく、信介にそのバイトを押しつけてどこへともなく去ってしまう。緒方は変な学生だった。血を売った金で、信介を売春宿に誘った。そこで会った美貌の娼婦カオルは、数日前、信介から兎を買った女だった。書斉には信介が読んだこともないような本がぎっしり並べられていた。やがて信介は、ボクシング部に入り、講師の石井の指導で本格的なトレーニングを始めた。その頃、信介の幼なじみの織江は信介の後を追って上京し、ラーメン屋に住み込んで働いていたが、店の金を盗んだといわれカッとして店を飛び出してしまう。途方に暮れる織江に、チンビラの卓治が甘い言葉をかけてきた。その気になればいくらでも稼げると連れていかれた場所は、カオルのいる店だった。卓治に犯されそうになった織江を助けたのはカオルだった。カオルのはからいで、織江は女中としてその店で働く事になった。その織江を久しぶりに信介が訪ねるが留守なので、カオルの部屋で休んでいると、急にカオルが胃ケイレンを起こした。信介が背中をさすっていると、カオルが抱きついてきた。折り悪しく、帰ってきた織江がその場を目撃して、行先きも告げず姿を消してしまう。信介もカオルも必死で捜すが、その努力も空しかった。そんなある日、卓治がやって来て、織江は池袋西口の青線じみたいかがわしい店で働いていることを告げる。信介はカオルから五万円を受け取って織江を救い出しにいくが、おかみとバーテンは取りあわなかった。信介はその場に居合わせた北池会の人斬り英治に完膚なきまでに叩きのめされたが、その英治のはからいで織江が帰ってきた。その頃、石井と恋人の理子は、子供を生む、生まないで揉めていた。理子は信介に病院に一緒について来てくれと頼み信介は同意した。信介は、石井に理子が今日子供を堕ろしたことを報告し、石井の態度を激しくなじった。その日から石井は人が変わったように酒びたりになり、新宿二丁目に顔を出すようになった。どこか陰心ある石井をカオルは好意を持った。信介のまわりで暗い事件が続いた。こともあろうに人斬り英治が殺され、石井とカオルが薬を呑んで自殺をはかった。幸いにも二人は命をとりとめたが、信介にとっては、人の生きざま死にざまを見せつけられた思いがした。信介は演劇部に入った。そして、緒方たちと一緒に新たな人生を目指して北海道に旅立っていく――。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第6回 日本アカデミー賞(1983年)

ノミネート

脚本賞 高田宏治
主演女優賞 桃井かおり
音楽賞 菊池俊輔
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