純
劇場公開日:1980年9月14日
解説
恋人の手さえ握れず、通勤電車の中で痴漢行為に耽ける青年の姿を描く。脚本、監督はこの作品がデビュー作となる横山博人、撮影は高田昭がそれぞれ担当。
1980年製作/88分/日本
配給:東映セントラルフィルム
劇場公開日:1980年9月14日
ストーリー
漫画家志望の純は遊園地の修理工場で働いている。彼には洋子という恋人がいるが、手ひとつ握ることが出来ない。洋子はそんな純が好きだが、また優柔不断なところに歯がゆいものを感じている。一方、純にはもう一つの顔がある。職場に向かう電車の中でやる痴漢行為だ。さまざまな女性が一見純真そうな純の魔手に侵される。女教師風の娘、子連れの女、OL、黒ブーツの女等々。そんなある日、純は洋子に痴漢行為を目撃されてしまう。ショックを受けた洋子は純の前から姿を消し、行き場を失った純は、故郷のことを想いだした。「そうだ親父の墓参りでも行ってみよう」こうして、純は東京を離れ、故郷、長崎の軍艦島に渡るが、そこは既に無人島になっていて、父の墓も見つからなかった。すべてに絶望した純は、再び故郷を棄て、東京に向かった。車中、純のとなりに美しい女が座った。純はフラフラと女に手を伸ばす。すると、女はいきなり立ち上がり、純の腕を引っばってトイレの中に連れこんだ。女の頬につたわる涙。純は、女に誘われるまま、オトコにされてしまうのだった。女が去ったあと、純は列車内を狂気のように走り続ける。翌朝、純はあえぎながら東京の下宿に辿りついた。そこには聖母のように安らかに眠っている洋子の姿があった。