地獄の掟に明日はない

劇場公開日:

解説

「座頭市の歌が聞える」の高岩肇と長田紀生が共同でシナリオを執筆し、「非行少女ヨーコ」の新人降旗康男が監督したギャングもの。撮影は「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」の林七郎。

1966年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1966年10月30日

ストーリー

長崎に根を張る暴力団山崎組と権藤産業は、競艇場の利権をめぐって対立していた。だが、山崎組の顧問弁護士郡司の計らいで、山崎組と権藤組は手を結んだ。その記念に競艇が開かれることになり、権藤は八百長レースを組んだ。山崎組代貸滝田は、長崎で原爆の洗礼を受け、原爆症を背負っていた。何時死ぬかわからないという滝田の行動は冷たく凄惨だ。その滝田の恋人が岩村由紀で、由紀の弟明が権藤から八百長を強いられたのだ。滝田は山崎に内証で、明に八百長をやめさせた。当然のごとく、権藤は大損をした。明の姉が由紀で恋人が滝田と知った権藤は山崎組に挑戦状を叩きつけた。山崎は明のリンチを止めるかわりに、滝田に権藤暗殺を命じた。山崎組と権藤組を戦わせて、漁夫の利をしめようとする郡司はこのことを権藤に告げた。しかし滝田はたくみに権藤を暗殺そして郡司の裏切りを知ってこれも刺殺した。滝田とは幼友達の三流新聞記者北島が、この滝田の行動をスクープした。滝田はこれを機会に足を洗うつもりだ。由紀と長崎から逃げることにしていたのだ。だが、北島によって滝田の行動は警察にはつつぬけだった。滝田は由紀の見ているまえで捕えられた。殺人者に幸福な明日はなかったのだ。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0名コンビ、誕生

2018年1月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

興奮

長崎。競艇場の利権を争う2大ヤクザ。
惚れた女、八百長レースを強いられた女の弟。
2大ヤクザを手玉に取る腹黒弁護士、裏切られた父親代わりの親分。
男は、捨て身の覚悟で闘いに挑む…。

ヤクザであっても一般人には絶対迷惑かけない。
勿論堅物で不器用、女性には紳士的。
恩義と仁義を重んじる。
“THE高倉健”のイメージそのもの。
健さんの数ある任侠映画の、1966年の他愛ない一本だが、見るべき点は幾つかある。

主人公が、被曝者。
そんな設定の主人公の任侠映画はおそらく無いのでは…?
長崎の原爆で家族を失い、孤児だった自分を我が子のように育ててくれたのが、親分。
そんな親分が渡世の道から外れそうな時は放って置けないし、誰かに嵌められたと知っちゃあ仇を取らずにはいられない。
が、いつ原爆症が発症し、死ぬか分からない。
時折、原爆症に苦しめられる。
任侠の世界は死と隣り合わせだが、この主人公にはさらに死の陰が付きまとう…。

B級任侠映画で、高倉健と三國連太郎の贅沢な共演。一番悪い奴、三國連太郎が腹黒弁護士を、さすがの巧演。
河津清三郎、佐藤慶、名優たち。
十朱幸代が可憐。南田洋子が妖艶。

そして本作は、高倉健と降旗康男監督の初タッグ。
当時まさかこの後名コンビになろうとは誰も思わなかったろうし、そもそも作品からもそんな気配は感じられない。分かる人が居たとすれば、超能力者か未来が見える人だ。
でも、当人たちは何か通じ合うものを感じたのだろう。でなければ、名コンビとして続く筈がない。

以来、高倉健がこの世を去るまで、46年20作!

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近大

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