おもしろかったし菅原文太のかっこよさ、広島弁のリズミカルさ、松方弘樹の色気、そしてエリート梅宮辰夫のイヤらしさなど、見どころはたくさんあるけど何はさておき2023年の今、もはやBLにしか見えない。
レビュー読んで狐狼の血に俄然興味出てきた(*゚∀゚*)
冒頭から、ヤクザが肩で風を切っていた時代を目の当たりにして、暴対法以降の時代を知ってる未来人としては遠い目になるしかない。
あと暴力表現がきつい。ただのバイオレンス描写じゃなく、ハラスメント含みのイヤ〜な日本的暴力。
たまたま最近みたドラマ「アストリッドとラファエル」の日本のヤクザ回を思い出して苦笑い。欧米人にはさぞかし珍奇な世界に見えることでしょうね。。
いちおう菅原文太には戦後の食糧難というバックグラウンドがあり、刑事のくせに地元のヤクザ(惚れた男)とつるむ一方、県警から来たエリート刑事やよそ者の商売人たちには敵愾心をむき出しにする。
しかし時代は着実に変化しており、貧すれば鈍す、男たちの絆も絶滅の危機に瀕していた…
戦後20年、高度経済成長を背景にもはや熱くて泥くさい男たちの時代は終わり、っていう意味では「ウエスタン」と通じるものを感じた。
実際は100分ちょっとだけど、体感は2時間くらいに感じる。画面がばっちり決まっててかっこよいし、音楽もステキ。
しかしこれが大衆向け娯楽映画だってことを考えると、当時と今のリテラシーの差を痛感させられる。
今なら普通に3時間とかかかるんでは…?
あと繰り返し「アカが」と言う刑事の存在は、中であさま山荘っぽい事件が起こることへのちょっとしたユーモアなのかな?
それにしても男と男の感情のもつれ、って韓国映画では珍しくないけど、昨今の日本映画ではなかなかにレア。どうしてなんでしょう?
現実にはホモソーシャルな排他性は健在なのに。「男が惚れる男」および「男が惚れる男に本気で惚れる男」は何故、どこに消えてしまったんだろう問題。そのくせハラスメントが消滅しないのは何故なんだ問題。