九月の冗談クラブバンド
劇場公開日:1982年6月5日
解説
走ることを止めた元暴走族のリーダーと、彼をとりまく昔の仲間たちの青春群像を描く。脚本は江浜寛と、8ミリ出身で、この作品で劇場用映画の監督としてデビューする長崎俊一の共同執筆。撮影は手塚義治がそれぞれ担当。
1982年製作/104分/日本
配給:ATG
劇場公開日:1982年6月5日
ストーリー
かつては“ハマのリョウ”と呼ばれ、暴走族仲間に伝説的に語られるリョウは、バイクを捨て、「冗談クラブ」というスナックの雇われマスターをしている。リョウが走るのを止めたのは、仲間の徹司が事故死してからであり、それから一年が過ぎようとしている。徹司の女だったレイ子も就職して普通の娘になろうとしている。一方、残った仲間、夕陽、ザジ、ネムはバイクをチューンし、徹司の一周忌にブッ飛ばそうと準備をしていた。連中は、その日にリョウの伝説は甦り、疾走してケリをつけなくちゃならないと思っていた。さらに、本牧の暴走族、ルパンのリーダー、モロも「冗談クラブ」にやってきてリョウを牽制する。しかし、リョウには走る気もなく、仲間や敵にも取り合おうとしない。謎の中年男、羽根武は、夏雄、シドという若者を連れ、夜毎、暴走族狩りに異常な執念を燃やし、モロたちも深い傷を負わされてしまった。OLになったレイ子は仕事一途の職場の上司に心惹かれるが、実はその男が羽根の昼の顔であった。そうとは知らず、レイ子は一周忌を前に、羽根と結婚することによって、徹司への思い出、リョウへの愛をふっ切ろうとしていた。「徹司が死んで一年が経ったのよ、いいかげんで何とかしなくちゃ……」とレイ子は焦った。誰もがギラギラしながら一周忌の九月を迎えようとしていた。暴走族狩りに出る夏雄、シド、そして羽根。彼らを迎えるモロとルパンの一党の間で、激しい争いが始まった。一方、店では夕陽とザジが「本当に走らないのか、それでいいのかよ」とリョウに詰め寄っていた。リョウがダメになったのはあいつのせいだと、ネムはレイ子の胸にナイフを突き刺した。明け方の路上では燃え尽きたトラックやバイクの残骸が散らばっている。血だらけの羽根は部屋に戻ると、レイ子の傍に倒れた。