霧の旗(1977)

劇場公開日:

解説

雑誌記者との愛も捨て、獄死した兄の弁護を断った弁護士に復讐する女の姿を描く。脚本は服部佳、監督は「春琴抄」の西河克己、撮影は「女教師」の前田米造がそれぞれ担当。

1977年製作/95分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1977年12月17日

ストーリー

柳田桐子が「週刊社会」の編集記者・阿部啓一に初めて出逢ったのは、東京の大塚欽三法律事務所の中であった。高利貸し殺しの容疑で逮捕された兄・正夫の無実を信じる桐子は、高名な弁護士である大塚を頼って、九州の片田舎から上京したのである。しかし、桐子の必死な願いにも拘らず、大塚は桐子の依頼を冷たく拒否するのだった。早くから両親を亡くした桐子兄弟には、大塚の要求する高額な弁護料を用意することができなかったのである。医大の寄付金問題に関する件で事務所に取材にきていた啓一は、大塚の高慢な態度に激しい憤りを感じ、桐子に同情の言葉をかけるのだった。正夫にはとうとう死刑の判決が下る。そして、正夫は控訴中に刑務所で獄死してしまった。九州に帰っていた桐子は上京し、銀座のクラブでホステスとして働き始める。桐子はそこで、同僚と飲みにきていこ啓一に再会した。正夫の無実説く啓一の言葉が、桐子の胸には辛く響いた。その頃、啓一は、大塚が正夫の公判記録を洗い直していることを知った。啓一は桐子に会うと、正夫の無実を確信しているからこそ大塚が公判記録を改めているのだと熱っぽく語った。しかし、たとえ無実が証明されたとしても、正夫が帰ってくるわけではなかった。桐子は、不幸な人間に関っていたらあなたも不幸になると言って、啓一に別れを告げた。それが啓一に対する桐子の愛だった。啓一は、桐子を幸せにしてあげたいと強く思った。そんな時、桐子の店にもきたことのある杉浦という男が、マンションで殺されるという事件が起こった。杉浦の友人であるクラブ経営者・河野径子が犯人として捕ったが、桐子には径子が犯人でないことが分っていた。径子がマンションを訪れる前に、ひとりの男が部屋から出て行くのを、たまたま目撃していたのである。桐子の手元には、その男が落として行ったライターもあった。しかし桐子は、証人として名乗り出ることをしなかった。径子が大塚の愛人であると知ったからである。スキャンダルが表面化して社会的地位が危うくなった大塚は、毎日のようにクラブに通い、径子のために証言してくれと桐子に頼んだ。しかし、桐子には兄を見殺しにした大塚を許すことができなかった。啓一が桐子の将来を思って結婚まで申し込んでくれたが、桐子は、九州にいた頃に受け取った啓一からの手紙を胸に、復讐へと立ちあがった。ある晩、ついに桐子は大塚を自室に誘い、女であることを武器に、彼を罠にはめることに成功するのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第1回 日本アカデミー賞(1978年)

ノミネート

主演女優賞 山口百恵
助演男優賞 三國連太郎
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映画レビュー

3.0文芸から路線変更したゴールデンコンビが松本清張に挑んだ意欲作

2022年9月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWの放送を録画にて。

山口百恵・三浦友和のゴールデンコンビ主演7作目にして、山口百恵が悪女を演じた異色作。
人気絶頂のゴールデンコンビ全12作のちょうど折り返し点に位置する。
監督の西河克己は、ゴールデンコンビ作品では最多の5作と南条豊を百恵の相手役に起用した1作を担当しており、女優山口百恵を育てたような存在だ。本作が百恵との最後の作品となる。

松本清張は多くの悪女を描いているが、本作の桐子は復讐が目的で、そこに至る背景が悲哀に満ちていて同情を誘うキャラクターだ。
先に倍賞千恵子主演、山田洋次監督、橋本忍脚本で映画化されている。(未観賞)
三國連太郎は栗原小巻主演のフジテレビ版で同じ役を演じている。(栗原小巻の美しさたるや!)

本作は、三浦友和演じる雑誌記者安部を、山口百恵演じる主人公桐子に恋愛感情を抱く青年へ脚色しているのが特徴。ゴールデンコンビ映画ならではだ。
原作は桐子と弁護士大塚欽三が主人公で、桐子の復讐に堕ちていく大塚の役に実力派俳優を配して大塚役を主演としたテレビドラマが多い。

当時のゴールデンコンビ作は飛ぶ鳥を落とす勢いで、テレビドラマの「赤いシリーズ」も並行して高視聴率だった。
本作で大塚欽三弁護士を演じた三國連太郎は、ドラマ「赤い運命」で百恵の入れ替わった父親を演じていた(百恵の相手役は友和ではなく南条豊)。
当時(公開から相応に期間を空けた後かもしれないが)、百恵による手記で、三國連太郎との絡みのシーンで緊張していたが、三國の手が自分の胸を包み込んだ時にその緊張が解けた…といった内容を記していたのを読んで、なんだか興奮を覚えた記憶がある。
自分は桜田淳子派だったが、トレンドとして百恵は押さえておかなければならないスターだった。
この映画に出演した時の百恵は17〜18歳のはずだが、物語上最初の登場時点で20歳の設定だ。正直、20歳よりも上に見えたし、物語が展開する数年後の姿に違和感はなかった。

悪い言い方をすれば、アイドル映画だから原作が持つ復讐劇の巧妙さを描きあげることは主目的にない映画だ。
だが、人気絶頂のアイドル山口百恵が自らの意思で汚れ役にチャレンジし、その存在感をアピールした作品として意義深い。
三浦友和も、冴えない雑誌記者でヒーローになれず空回りするという役を百恵相手に引き受けた点で、ゴールデンコンビとしても異例の作品だったと思う。

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kazz

2.5百恵・友和シリーズでも異色かな

2022年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

倍賞千恵子版の映画は見ていたが、これを百恵・友和映画にするとどうなるか、ここに興味があった。
冤罪の兄(関口宏)を弁護してもらえず、妹(山口百恵)が弁護士(三國連太郎)に復讐するというお話。
アイドルなのでそんなに怖くは出来なかったかも。

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いやよセブン

4.0若い女が、虚偽証言をしたり、弁護士を罠に嵌めたりする、恐い内容

2020年10月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1.小説は、30~40年前に読んだ事がある、 内容も概略覚えてた
 → 映画は、どんな出来かなと思いながら観た
 → やっぱり、恐い映画だった

2.映画の評価=面白いが、罠に嵌める映画
 → 観てて楽しくないので、星4つとした
 → 楽しいとか、感激したとかなら、星4.5だったな

3.余談、この頃の映画には、歌謡曲が入ってて、当時を思い出せるので良い
  最近の映画には、入ってない
 → 1980年頃から、歌謡曲が衰退する原因の1つかもな

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KEO