カルメン純情す
劇場公開日:1952年11月13日
解説
製作は「彼を殺すな」の小倉武志が当たり、九ヶ月ぶりでこの七月フランスから帰国した木下恵介監督の第一回作品。撮影は「海の花火」の楠田浩之、音楽はフランス帰りの黛敏郎(足にさわった女)、木下忠司(鳩)の共同担当である。出演者は「カルメン故郷に帰る」の高峰秀子、小林トシ子の両人、「夏子の冒険」の若原雅夫、「武蔵と小次郎」の淡島千景の他、村瀬幸子、東山千栄子など新劇人達が助演している。
1952年製作/102分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年11月13日
ストーリー
浅草のストリッパー、カルメンのもとに男に捨てられた旧友朱實が赤ん坊を抱いて舞込んできた。善処のめどもつかないまま、二人は泣きの涙で赤ん坊を捨てたが、折からの火事騒ぎで急に心配になり、引返してくる。ちょうどパリ帰りの芸術家須藤が家の前の捨て子を許の情婦レイ子の仕業と思いこみ、カンカンになって電話で相手を難詰している最中だった。須藤と知合ったカルメンはその不可解な様式の作品に大感激し、やがて尊敬がほのかな慕情に変わる。須藤にモデルを頼まれても裸になれない彼女だった。須藤は代議士候補佐竹熊子女史の娘、アプレ派の千鳥と、三百万円の持参金目当に婚約しているが、ある日下情視察と称する熊子女史を案内してストリップ小屋に現れた。客席に恋しい人を見出したカルメンは、どうしても裸になれず、ついに馘を言渡された。朱實と共に日雇仕事を転々して今はラッキー食堂に勤めているカルメンの所へ、千鳥、須藤の結婚を呪う手紙の主と誤解した熊子女史が怒鳴りこんでくる。あまりにも真剣なその様子を須藤が自分を愛しているためと勘ちがいした彼女は、千鳥に恋を譲り、幸福に微笑みながら迫る生活苦と闘うのだった。