劇場公開日 1952年11月13日

「『カルメン故郷に帰る』ではカラーだったのに、いきなりの白黒だ。」カルメン純情す kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0『カルメン故郷に帰る』ではカラーだったのに、いきなりの白黒だ。

2019年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 東京のストリップ劇場の音楽は「カルメン」が中心だ。赤ん坊を捨てたはいいけど、火事騒ぎがあり、不安になって捨てた場所へ戻ってくる二人。その家はパリ帰りの芸術家・須藤の家だったのだが、軽々しくモデルになる約束をするカルメンだった。しかし、いざモデルになってみると裸になることができない。

 面白いことに、時折定点カメラが斜めに設定され、不安感を煽る演出。これもアバンギャルドな芸術に合わせてあるのだろう。

 芸術家には政略結婚の婚約者(淡島)がいるのだが、彼女は男遊びに精を出し、本人も女好きで捨てた女には赤子もいるときている。その婚約者の母親が軍人の妻。髭を生やし、君が代を歌い選挙に立候補するという。かなり漫画チックな設定ではあるが風刺がピリリと効いている。

 現代においても身分違いの恋は典型的だけど、これほど風刺が効いたものはない。軍人も警察も政治家も全てバカにしている。ドタバタコメディではあるものの、木下監督作品は一貫して反戦の思想を通しているはずなのに、「原爆のせいだ」が口癖のお手伝いさんの存在(笑いの対象にしている)だけは謎だ。

 戦争の爆弾音が鳴り響いて「カルメン頑張れ」「第二部終」とエンドマーク。果たして続きはあるのか・・・

kossy
マサシさんのコメント
2024年1月8日

僕も『原爆』が多過ぎると思いました。しかし、3年前のビキニ環礁の水爆実験に対するアイロニーだと思います。

マサシ