学校(1993)

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督が、東京・下町の夜間中学校を舞台に描いた人間ドラマ。ベテラン教師・黒井が勤める下町の夜間中学校には、昼間は清掃会社で働くカズ、元不登校児のえり子、焼肉店を営む在日韓国人のオモニら、年齢も境遇も様々な生徒たちが通っている。卒業が近づいたある日、卒業記念文集のための作文を書く生徒たちの横顔を見ながら、黒井は彼らとの思い出を振り返る。やがて彼らのもとに、病気のため田舎に帰っていたクラスメイト、イノさんが亡くなったという知らせが届く。主人公の教師・黒井を西田敏行が演じ、田中邦衛、萩原聖人、裕木奈江らが個性豊かな生徒たちをそれぞれ好演。

1993年製作/128分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1993年11月6日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第17回 日本アカデミー賞(1994年)

受賞

作品賞  
監督賞 山田洋次
脚本賞 山田洋次 朝間義隆
主演男優賞 西田敏行
助演男優賞 田中邦衛

ノミネート

助演女優賞 竹下景子
助演女優賞 裕木奈江
音楽賞 冨田勲
新人俳優賞 萩原聖人
新人俳優賞 裕木奈江
話題賞 作品部門/俳優部門 萩原聖人
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映画レビュー

4.0期待よりかなり良かった

2024年12月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

西田敏行さんが亡くなったので、何か観たことのない出演作品を探した。さすがに未見作品は多くあり、その中から「学校」を選んだ。

山田洋次監督の本作は前からタイトルを認識していた。低刺激そうなヒューマンドラマは好みではなかったし、もっと言えば、山田洋次監督のテイストは自分には物足りなかったので今まで観ずにいた。
しかし、年を取ると変わるものだ。今でも刺激的な作品は好むが、低刺激そうな作品に対する抵抗は全くといっていいほどなくなった。
そのおかげだろうか、この作品は大層楽しめてしまったのだ。

山田洋次監督の印象としては、誰の中にもある普遍的な感情や概念などで物語を紡ぐ人だ。
特別ではない感情、特別ではない人を描く。
下手をすると何もない退屈な作品になりそうなところをうまくエンターテイメントにする人。
本作は少々特殊な環境と言えるかもしれないが、特殊な感情の人は登場しない。このキャラクターは理解出来ないと思うキャラクターは出てこないのだ。
そんなところが山田洋次監督の魅力なのかもしれないと思った。

とりあえず、学校Ⅱ、学校IIIと観ていこうと思う。
目的であった西田敏行さんも出演されているので。

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つとみ

5.0何度見ても

2024年10月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

知的

西田敏行さんが亡くなり、西田敏行さんの代表作はなんだろうなーって考えた時に1番最初に思い浮かんだ映画!
今までで十数回みてるが、何度見ても泣けるし、笑えるし考えさせられる映画!

93年に映画館にて観たときはまだ子供でなんとなく観ていたが、大人になるにつれ色々とみかたが変わってくる。
役者陣も全員が素晴らしい!

特に名優2人の演技が素晴らしすぎます!
田中邦衛さんと西田敏行さんが向こうでも共演してることを願って!

御冥福をお祈りいたします!

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こまさん

5.0●山田洋次監督『学校』(1993) 神保町シアターさんにて特集上映...

2024年7月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

●山田洋次監督『学校』(1993)

神保町シアターさんにて特集上映「一度はスクリーンで観ておきたい――忘れられない90年代映画たち」2024年6月29日(土)~8月2日(金)にて。

夜間中学の生徒たちのそれぞれのエピソードを丁寧に描く群像劇。
教師役の西田敏行さん、竹下景子さんは当時これ以上ないキャスティング。
生徒役の萩原聖人さん、中江有里さん、裕木奈江さんも好演でしたが、特に裕木さんの不良娘役は世間的なイメージとは真逆で今見直しても良かったですね。
本作の主役はイノさん役の田中邦衛さん。
『北の国から』の黒板五郎に近い生き方が不器用な50過ぎの男を演じましたがユーモアと悲哀が混じった演技で本作品を名作に昇華させましたね。
山田洋次監督らしいヒューマニティあふれる傑作でしたね。

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共感した! 2件)
矢萩久登

4.5【”憲法第26条2項。幸福とは何かを学ぶ場、それが夜間中学。”様々な事情を抱えた夜間中学の個性豊かな生徒達と、彼らに対し人間として接する温かき心を持つ教師が織り成すヒューマンドラマの逸品。】

2024年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

ー 恥ずかしながら、この作品の存在を全く知らなかった。
  だが、今作を観賞し、山田洋次監督が寅さんシリーズでもチラリと描いていた夜間中学への想いを結実させた作品だと思ったし、根底には山田洋次監督ならではの、人間への絶対的肯定感溢れた作品であると思った。-

◆感想

■今作では、夜間中学に通う個性豊かな生徒達と、黒井先生(西田敏行)とのが人間同士の交流が、見事に描かれている。

1.不良少女だったみどり(裕木奈江)と、黒井先生とのラーメン屋での出会い。そして、みどりは黒井先生のいる夜間中学に通い始める。

2.中国人と日本人のハーフの張(翁華栄)。金が大切、日本人は差別するから嫌いという彼に対して、田島先生(竹下景子)が涙ながらに言った言葉は、尊崇である。

3.韓国人で夫と焼き肉屋を営むキムさん(新屋英子)。生徒達からはオモニと言われ慕われている肝っ魂母さん。
  言葉に説得力がある。

4.清掃作業で生活するヤンチャなカズ(萩原聖人)。黒井先生に何時も居眠りをしている事を叱られるが、自分が昼間に行っている清掃作業を先生に経験させ、自身の大変な生活を体験してもらうシーンは、可笑しいが貴重である。

5.不登校だったえり子(中江有里)。優しい性格だが、不仲な両親の姿に心を痛めるが、黒井先生が一生懸命に生徒に接する姿を見て、黒井先生に夜間中学の先生になる夢を語る。

6.軽度の知的障害があると思われるおさむ(神戸浩)。だが、同級生達は彼の事を決して苛めたりはしないのである。

■今作に登場する生徒の中で、最も厳しい生活を送って来たイノさん(田中邦衛)
 幼い時に妹を事故で亡くす経験をし、肉体労働で日々を過ごす。

 今作の半分以上は彼のエピソードで綴られる。

 競馬が生き甲斐のイノさんは、字の読み書きを覚えるために偶々町で観た親切そうな医者(大江千里)に連れられて夜間中学に入学するのだが、恥ずかしがり屋で黒板にひらがなをカタカナで書いてという黒井先生のお願いに応えられないが、黒井先生がひらがなで“おぐりきゃっぷ”と書くと、張り切ってその横に大きな字で”オグリキャップ”と書くシーンからの、第35回有馬記念でのオグリキャップ優勝シーンを再現する熱弁シーンはこの作品の中での白眉のシーンである。
 淀みなくレース展開を熱く語るイノさんを演じた田中邦衛さんの演技は本当に素晴らしい。

 そして、闘病生活を山形で送っていたイノさんの死が伝えられた時に、黒井先生が英語を教える田島先生に代わり、皆でイノさんに黙祷を捧げるシーンからの、幸せとは何かを語り合い、議論し合うシーンもとても素晴らしいし、観ていて本当に考えさせられた。

<今作は、様々な事情を抱えた夜間中学に通う生徒達と、彼らに対し人間として接する温かき心を持つ教師、黒井が織り成すヒューマンドラマの逸品なのである。>

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NOBU