学校(1993)
劇場公開日:1993年11月6日
解説
「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督が、東京・下町の夜間中学校を舞台に描いた人間ドラマ。ベテラン教師・黒井が勤める下町の夜間中学校には、昼間は清掃会社で働くカズ、元不登校児のえり子、焼肉店を営む在日韓国人のオモニら、年齢も境遇も様々な生徒たちが通っている。卒業が近づいたある日、卒業記念文集のための作文を書く生徒たちの横顔を見ながら、黒井は彼らとの思い出を振り返る。やがて彼らのもとに、病気のため田舎に帰っていたクラスメイト、イノさんが亡くなったという知らせが届く。主人公の教師・黒井を西田敏行が演じ、田中邦衛、萩原聖人、裕木奈江らが個性豊かな生徒たちをそれぞれ好演。
1993年製作/128分/日本
配給:松竹
スタッフ・キャスト
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数日前にたまたまWOWOWで観たこの『学校』
とてもいい映画でしたーーーー!
久々にかなり泣いた。
1993年の映画なので西田敏行も若い。
そしてとにかくこの西田敏行の先生役が、人間味あったかくて、緩やかで、まっすぐで、すごくいい!
夜間中学の話だから、生徒たちはみんな訳ありで、昼間は仕事をし、年齢もバラバラで、境遇も様々、個性豊か。色んな事情を抱えながらここに通ってる。
そんな登場人物たちの人生を個別に丁寧に描写しつつ、縁あってここで共に学ぶという事の意味を、優しい目線で見つめる山田洋次監督。
社会の弱者と呼ばれる人たちを描かせたら天下一品ですよね。
中でも、田中邦衛演じる「いのさん」の話が涙腺崩壊。これ、間違いなく助演男優賞確実でしょう。
もはや『いのさん』本人にしか見えない。
東北生まれのいのさんが生きてきた半生が凄まじく、壮絶な生い立ちを経てここにたどり着き、読み書きを覚えて車の免許を取るんだーーと夢見てひらがなや算数を一から覚えていく姿と、不器用な人柄と、淡い恋と…
(実在の男性をモデルにしているそうです)
観終わると、今の自分がいかに恵まれているか、としみじみ思う。
そして、社会にはこんな場所が必要だとも思う。
人が人間らしく生きる権利と、存在意義。
みんな、幸せになるために生まれてきたのだから…
たくさん泣いた後はあたたかい気持ちになれる、素晴らしい映画。
2022年3月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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この映画で涙なんか流しては駄目だと思う。こう言った所へ通って、学歴を積もうとしている人は、不器用だったり精神的に不遇ではない。なんの目的のなく、大学等に通うモラトリアムな若者よりも、生き甲斐を持って通っていると断言できる。
この映画は学歴社会を全肯定して、その底辺として、夜間中学を俯瞰して、面白可笑しく作っているにすぎない。
取材を重ねて、現実にそって作っていると弁解するだろうが、差別を助長しているとしか言いようがない。現実にそう言った人達がいるのだから、その人達を哀れんだり、笑い者にして言い訳がない。そう言った立場の人が作った映画なら、少しは許せるが。そう云う立場の人はこう言った映画は絶対に作らない。こんな単純な、お涙頂戴人情劇なんか作る訳がない。
精神的に不遇ではない。置かれた環境が不遇なのである。従って、夜間中学が教育環境の優れた場であるはずがない。義務教育としての最低の権利を行使しているに過ぎない。高校の義務化が叫ばれて、久しいのだから、彼等には更に多くの教育を受ける権利があると僕は感じる。
改めて見たが、やっばり、理解できなかった。但し音楽は良い。
公開時以来の再見。
現実はいないだろうファンタジー級に善良な役にリアリティを吹き込める田中邦衛という唯一無二の役者を今も見られる幸福。
改めて合掌。
にしても1993年、こんなに古臭い時代だったか。
2021年1月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
山田洋次監督は一貫して、不器用な人、恵まれない境遇の人の視点から作品を撮り続ける監督です。本作は約30年前の作品ですが、その眼差しは今でも全く変わりませんね。当時はまだバブル崩壊直後で裕福な雰囲気が社会に残っていたはずなのに、夜間中学に通う彼らにはそんな恵まれた時代の恩恵をほとんど受けられていない様にも思いました。
黒井先生に象徴される優しい人は、環境が恵まれているから人に親切になれるのですよね。それに、人は環境に恵まれるから努力ができるのですね。
今は本作が制作された時代よりも経済的にも時間的にも余裕のある人が少なくなっていると感じます。夜間中学に通っていた様な人達は今、どこで過ごしているのでしょうか。