黄金の犬
劇場公開日:1979年6月2日
解説
武器輸出にからむ汚職事件を背景に、その秘密を握る主人を失った猟犬の活躍を描く西村寿行の同名の小説の映画化で脚本は「白い肌の狩人 蝶の骨」の白坂依志夫と「走れトマト にっぽん横断三〇〇キロ」の加藤盛の共同執筆、監督は、「ダブル・クラッチ」の山根成之、撮影は椎塚彰がそれぞれ担当。
1979年製作/137分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1979年6月2日
ストーリー
森林警備官北守は愛犬ゴロを連れて北海道に熊狩に行くが、そこで熊に襲われ、救出されているうちにゴロとはぐれてしまう。強烈な帰巣本能で一路東京を目指す波労困ばいのゴロは、途中、永山雄吉という男に助けられる。永山は通産省の武器課長の職にありながら、汚職事件に巻きこまれており、事件の秘密を知ってしまった業界紙記者・大橋ともども殺し屋に狙われる身となった。その後大橋は釧路近くで殺され、永山は放狼の旅を続けていた。永山とゴロが旅をしていると、街のニュースで妻順子が東京で殺し屋に凌辱され殺されたことを知る。永山は復讐の念に燃え、東京に向かう。大橋殺害事件を追求する安高警視と倉田刑事は現場に残されたマッチから、事件に永山が絡んでいることをつきとめた。そんなある日、襟裳岬近くで暴漢に襲われようとしていた若い女性を助けた永山とゴロは、その事が報道されたことによって居場所が分ってしまい、青森で待ち伏せしていた殺し屋に襲われ、永山は重傷をおってしまう。安高と東京からゴロを探しに来た北守の妻礼子も青森に向かったが、一足違いで見失ってしまう。だが、安高は永山とゴロを襲った男達が貨物船に乗ったとの情報をつかみ、ヘリで船に乗り込むが、そこにいたのは、後藤という、保守第一党の長老的存在である遠沢要一の個人秘書だった。武器輸出にからむ汚職があったと判断した安高は、選挙戦で青森に乗り込んでいた遠沢の選挙事務所に後藤を連行しようと足を運ぶが、遠沢の権力を盾にとった妨害で失敗する。そんなおり、一人でゴロを探していた礼子が遠沢陣営に捕えられてしまい、安高と倉田は彼女を救出するが、殺し屋田沼によって、安高は重傷をおい、倉田は殺されてしまう。一方、東京に向かう永山とゴロは、花巻市で溺れかかった少女を救うが、そこで、永山は田沼に殺されてしまう。一足遅れにやって来た安高は、永山が死に際して残した血文字から、汚職にからむ秘密文書を、マイクロフィルムに収めて、ゴロの首輪につけていたことを知った。東京に向かうゴロは、途中、片瀬という女に保護され、東京行きの船に乗せられた。しかし、同じ船に、田沼に捕えられた安高と礼子が乗っており、それを知った警察は船を捕え、安高と礼子を救出するが、田沼は船を爆破して逃走する。そしてゴロの行方もわからなくなってしまった。東京に着いた安高は、通産省阿形局長を脅し、永山殺害犯人の名を吐かせるが、その局長も、身の破滅を感じ、自殺してしまう。捜査に一頓挫を来たした安高だが、テレビのニュースでゴロが生きていることを知る。それは天気予報のニュースの中でゴロの勇姿が映つたからだ。安高はおもわず叫んだ。「俺は勝ったぞ!……」