リトル・チルドレン

劇場公開日:

解説

「イン・ザ・ベッドルーム」のトッド・フィールド監督が、トム・ペロッタのベストセラー小説を映画化した人間ドラマ。郊外の住宅街を舞台に、何ひとつ不自由ない暮らしを送りながらも別の人生を夢見る“大人になれない大人たち”の日常をシニカルに綴る。「タイタニック」のケイト・ウィンスレットが不倫に溺れる主婦を体当たりで演じる。共演はパトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリーほか。

2006年製作/137分/R15+/アメリカ
原題または英題:Little Children
配給:ムービーアイ
劇場公開日:2007年7月28日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第64回 ゴールデングローブ賞(2007年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演女優賞(ドラマ) ケイト・ウィンスレット
最優秀脚本賞 トッド・フィールド トム・ペロッタ
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映画レビュー

4.0普通じゃない人々

2023年5月25日
Androidアプリから投稿

メインのアダルトチルドレンW不倫よりも、元幼児性愛服役囚と少年を誤射した過去のある元警官のサブストーリーの方に断然魅力を感じる1本だ。ご近所で開かれた『ボヴァリー夫人』読書会で意見を求められたサラ(ケイト・ウインスレッド)は、ブラッド(パトリック・ウィンルソン)との不倫を物語に重ねながらこう語るのである。「他の人生への渇望、不幸な生き方を拒絶したフェミニスト(の物語)」であると。

公園で子供を遊ばしている最中、サラとブラッドがふざけてキスをした時と、プールに幼児性愛者が紛れ込んできたときのお母様方の反応が、全く同じだったことに皆さんはお気づきだろうか。私は子供たちにけっして“間違ったこと(人)”を見せない正しい母親であることを皆一様に示そうと、まったく同じ行動をしかも同時にとるのである。

(ニューヨーカーに対するコンプレックスの裏返しでもある)コンプライアンスに毒されたその過剰反応ともいえる同調主義に、英文学博士になれたのにあえて論文を書かず修士にとどまったサラと、大学法学院を卒業したのに司法試験に落第し続けるブラッドは、同じような嫌悪感をもよおし急接近、お互いの子供をだしに使ったドロドロの不倫にはまっていくのである。

一方、幼児性愛者のロニーには、自分の面倒を唯一見てくれる同居の母親がいる。「いい子でいるのよ」が口ぐせで、部屋には子供を象った陶器がところ狭しと並べられている。その母親が急死してロニーは気づくのである。自分はマミーの「いい子」プレッシャーの反動で幼児性愛に陥り、死んだマミーは“いい子”じゃないロニーの代わりに“いい子”たちの置物をコレクションしていたことを。

そのロニーを目の敵にする元警官ラリーは、過去に犯した少年誤射事件のトラウマから、子供たちを変態男から守ることに異常ともいえる執念を燃やしていたのである。つまり、普通になることを嫌がった2人(サラとブラッド)と、普通になりたかったのになれなかった2人(ロニーとラリー)の物語なのである。人生において共通の“凹み”を持つ者同士が惹かれ合う、『ロブスター』的ストーリーといってもよいだろう。

そんな4人の人生がある事件をきっかけにクロスするのだが、ロニーとラリーはともかく、サラとブラッドの決着のさせ方がなんともお粗末。コーエン兄弟ならばきっと、ベビーシートに座ることを嫌がったサラの娘ルーシーが、ラリーの運転する車と衝突して事故死するくらいのインパクトあるラストに書き変えてしまったことだろう。が、直近作の『TAR』同様監督のトッド・フィールドは、4人それぞれに“救い”を与えるのである。生きている限り、過去のあやまちはいくらでもやり直しが効くのだ、と。

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かなり悪いオヤジ

3.5TARの監督の過去作。不倫×ペドフィリア×ヒューマンドラマ。恋に...

2023年1月24日
スマートフォンから投稿

TARの監督の過去作。不倫×ペドフィリア×ヒューマンドラマ。恋に落ちるまでは王道のメロドラマだけど、周辺人物の設定や物語が突飛で最後まで展開が読めない。が、話に求心力があるので、ラストまで惹きつけられながら観れる。

登場人物たちの欠落した部分が上手く交差し合い、それぞれの運命を奇妙にズラしながら徐々に狂わせていく。

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ゆき

4.0公園デビューって言葉流行ったよね

2021年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy

3.0人間模様

2021年1月31日
PCから投稿

しばしばレビューで「よくある」を使うのだが、じっさい、どんだけ「よくある」のか、羅列しようとすると、それができない。

しろうとの感想だし、それでもいいが、よくあると言っておきながら、ひとつも思い浮かばないのはマズいとおもったりする。

いくつか例証しようとして、一個だけというのもマズい気がする。

なにしろ「よくある」と言っているわけなので、よくあるなら、幾つか挙げて見せろよと、じぶんでじぶんに思うわけである。

映画をみて「よくあるタイプだな」と思うことは多い。

しかし、その類型、前例、原点、手本、元祖などを、挙げられない。
映画研究者じゃないから、それでもいいが「よくある」と思うならば、せめて三個ほどの類似品を挙げたい──と思う。

それでなければ「よくある」と言うんじゃねえよ、とじぶんでじぶんに思う。

しかし「よくある」と思うことは多い。
しかし「よくある」と言っておきながら、挙げられないとき、じぶんのいい加減さを感じてしまう。
だからなんとか、三個はいきたいと思っている。
箇条や羅列や引例のとき、三個ないと情けない。と個人的に思う。むろんできないときもあるが。

よくある映画だと思った。のだが、これはめずらしく比較的楽に三個(以上)羅列できた。
サムメンデスのアメリカンビューティー(1999)。
ポールトーマスアンダーソンのマグノリア(1999)。
ポールハギスのクラッシュ(2005)。
──に似ている。時間をかければもっと挙げられると思う。因みにぜんぶ嫌いな映画だった。

群像劇ではないが連鎖的に人間模様が描かれる。
まず主軸となる家族または夫婦がいる。
かれらが、誰か・何かに遭うかたちで、その相手の人間模様が描かれる。

この映画もオスカーで脚本賞にノミネートされ、高い評価を受けているし、例で挙げた三作は、世評としてすべて傑作になっている。

ただし、個人的に、もっとも苦手とするタイプの映画である。
おそらく、すいすいと羅列ができたのは、世間の高い評価に対して、自分は低い評価をした、その希少性のある映画だからだろう。

わたしは、けっこう偏屈なことも言うが、自評が、世評と違うことはあまりない。tomatoesやimdb等で高評価がついていれば、そのとおりだと感じることが多い。(日本映画は除くがw)

だが、本作も含めてこの4件(マグノリアはけっこう好きだが)は、感心しなかった。映画の実力がわからないわけではない。それが高評価になる理屈はわかる。だけど好きになれなかった映画だった。

人間模様という言い方があるが、人道的な訴求をしているのだが、掘り下げず触っているだけな感じがある。皮相なヒューマニズム。

Little Childrenに関して言えば長いこと。キャラクターが好きになれないこと。偶発的なだけで解決や改心はないこと。Kate Winsletが無駄に全裸なこと。など。

この手が苦手なのはじぶんのこどもっぽさに所以している──と思ったりもする。これも引例もかんぜんに大人向けの映画だ。

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津次郎