リトル・チルドレン
劇場公開日 2007年7月28日
解説
「イン・ザ・ベッドルーム」のトッド・フィールド監督が、トム・ペロッタのベストセラー小説を映画化した人間ドラマ。郊外の住宅街を舞台に、何ひとつ不自由ない暮らしを送りながらも別の人生を夢見る“大人になれない大人たち”の日常をシニカルに綴る。「タイタニック」のケイト・ウィンスレットが不倫に溺れる主婦を体当たりで演じる。共演はパトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリーほか。
2006年製作/137分/R15+/アメリカ
原題:Little Children
配給:ムービーアイ
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2021年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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閑静な住宅街ウッドワード・コートに以前子供への性犯罪を犯した男マゴーヴィ(ジャッキー・アール・ヘイリー)が帰ってきたというニュース。そんな公園でプロム・キングと呼ばれるブラッド・アダムソン(ウィルソン)がやってきた。そのブラッドとひょんなことからキスしてしまい、主婦たちの格好のゴシップになった。やがて市民プールへ通うようになった二組の親子。プールにマゴーヴィが現れるという事件ののち、彼らは深い関係に・・・
サラの夫も変態サイトに夢中で病んでいる。もしかして変態だらけの映画なのかと思っていたら、普通の不倫劇のようにドラマは展開する。もう一人、“子供を守る会”でブラッドをアメフトチームに誘うラリー(ノア・エメリッヒ)という元警官も重要な存在。過去に過失で少年を殺してしまったことを悔やむも、ロニー・マゴーヴィを追放するビラ配りや宣伝することでうっぷんを晴らしているのだ。
物語はどう収束するのかと不安にさえなってくるが、二人で遠くへ逃げようとするサラとブラッド。拡声器による宣伝によってロニーの母親を死なせてしまうラリー。そして、罪の意識が芽生えて自分のチンコを切りとってしまうロニー。過去は絶対に変えられないけど、未来は違ったものにできるというメッセージがある。
しばしばレビューで「よくある」を使うのだが、じっさい、どんだけ「よくある」のか、羅列しようとすると、それができない。
しろうとの感想だし、それでもいいが、よくあると言っておきながら、ひとつも思い浮かばないのはマズいとおもったりする。
いくつか例証しようとして、一個だけというのもマズい気がする。
なにしろ「よくある」と言っているわけなので、よくあるなら、幾つか挙げて見せろよと、じぶんでじぶんに思うわけである。
映画をみて「よくあるタイプだな」と思うことは多い。
しかし、その類型、前例、原点、手本、元祖などを、挙げられない。
映画研究者じゃないから、それでもいいが「よくある」と思うならば、せめて三個ほどの類似品を挙げたい──と思う。
それでなければ「よくある」と言うんじゃねえよ、とじぶんでじぶんに思う。
しかし「よくある」と思うことは多い。
しかし「よくある」と言っておきながら、挙げられないとき、じぶんのいい加減さを感じてしまう。
だからなんとか、三個はいきたいと思っている。
箇条や羅列や引例のとき、三個ないと情けない。と個人的に思う。むろんできないときもあるが。
よくある映画だと思った。のだが、これはめずらしく比較的楽に三個(以上)羅列できた。
サムメンデスのアメリカンビューティー(1999)。
ポールトーマスアンダーソンのマグノリア(1999)。
ポールハギスのクラッシュ(2005)。
──に似ている。時間をかければもっと挙げられると思う。因みにぜんぶ嫌いな映画だった。
群像劇ではないが連鎖的に人間模様が描かれる。
まず主軸となる家族または夫婦がいる。
かれらが、誰か・何かに遭うかたちで、その相手の人間模様が描かれる。
この映画もオスカーで脚本賞にノミネートされ、高い評価を受けているし、例で挙げた三作は、世評としてすべて傑作になっている。
ただし、個人的に、もっとも苦手とするタイプの映画である。
おそらく、すいすいと羅列ができたのは、世間の高い評価に対して、自分は低い評価をした、その希少性のある映画だからだろう。
わたしは、けっこう偏屈なことも言うが、自評が、世評と違うことはあまりない。tomatoesやimdb等で高評価がついていれば、そのとおりだと感じることが多い。(日本映画は除くがw)
だが、本作も含めてこの4件(マグノリアはけっこう好きだが)は、感心しなかった。映画の実力がわからないわけではない。それが高評価になる理屈はわかる。だけど好きになれなかった映画だった。
人間模様という言い方があるが、人道的な訴求をしているのだが、掘り下げず触っているだけな感じがある。皮相なヒューマニズム。
Little Childrenに関して言えば長いこと。キャラクターが好きになれないこと。偶発的なだけで解決や改心はないこと。Kate Winsletが無駄に全裸なこと。など。
この手が苦手なのはじぶんのこどもっぽさに所以している──と思ったりもする。これも引例もかんぜんに大人向けの映画だ。
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パトリック・ウィルソンの役に自分を重ねて、観ました。
司法試験に合格する努力もしていないのに望みだけは持ち続ける。でも中年半ば過ぎあたりから自分の限界に気づきはじめる。キャリアウーマン的なとびきり美人な妻そして、裕福そして厳格な祖母、そんな2人からの期待の中での胃が痛くなるような生活。唯一の安堵感が味わえる瞬間は、若者のスケボー鑑賞。そんな胸苦しい生活の中で、美人でもなく、スタイルも格別に良くもないが、屈託もなく平凡な一人の女性に引き込まれていく。そして、現実から逃げ出して彼女と一緒に逃げる決意をする。でも、結局は、別れの手紙も妻に渡す事もなく、逃げ出す事もやめてしまう。
そんな根性なし中年男に、自分を照らしあわせながら、観ました。やっぱり私もと言うか大抵の大人は、同じ事をしたと思う。いい歳をしてから、冒険は出来ないよねー。結局は今まで通りのヌルヌルした幸せな生活を選んじゃいます。
スクリーンを通してストーリーの中に吸い込まれる感じがして、不思議な高揚な気分を味わいながら、鑑賞しました。
キャスティングもいいよねー!ケイト・ウインレットは、体当たりの文句なしの演技だし、ジェニファー・コネリーはいつまで経っても美しいよね。食事のシーンで、夫の浮気を察する時のあの目つきには、一瞬ゾッとしました。それから、気色悪いサイコの役を演じたジャッキー・アール・ヘイリー。最高でした。あのキャラがなかったら、ただのオチの悪い不倫映画で終わるところでした。
何の不自由もないのに、不満に満ちた人生を送っている中年男性には、お勧めの映画です。
好きになっても気持ちを胸にしまっておけば、変な空気にならず明日からも会えますもんね。 同じ立場にいるわけではありませんが、よくわかります(笑) リリースされた頃、この映画で初めてパトリック・ウィルソンを好きになりました!
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