劇場公開日 2007年7月28日

リトル・チルドレン : 映画評論・批評

2007年7月24日更新

2007年7月28日よりBunkamuraル・シネマ,シャンテシネほかにてロードショー

快楽主義者たちのフェアリーテールに酔う!

大都市の郊外は快楽主義者(エピキュリアン)たちのパラダイスだ。「アメリカン・ビューティー」しかり。「マグノリア」しかり。トッド・フィールド監督(「イン・ザ・ベッドルーム」)の脚本が素晴らしいのは、彼らをマリオネットのように自在に操り、ヒロインの不倫をストーリーテリングのモーターにしながら、完璧なまでの“フェアリーテール”に仕立てていることだ。

物語は、フロベールの「ボヴァリー夫人」が下敷きだろう。なるほど、劇中にはヒロインが読書会でその本の感想を述べるシーンもある。ボヴァリー夫人は退屈な日常から逃避するため不倫に走り、最後は自殺してしまう女性だが、ヒロインは小説の主人公の生き方を愚かだと考える一方で、その心情を理解できると共感を示す。そしてヒロインはまさしく現代のボヴァリー夫人のように、元“プロム・キング”のイケメン男と、欲望のままに快楽をむさぼり合う。

そのヒロインを演じるケイト・ウィンスレットこそ、この映画最大のスペクタクルだ。快楽にのぼせ上がる肌はうっすらと赤く染まり、そのなめらかそうな肌から汗をしたたらせ、うぶ毛を金色に輝かせている。これほどアツアツで、シズル感あふれるウィンスレットにお目にかかったことがない。

このエピキュリアンたちの寓話に“異化効果”をもたらす、ジャッキー・アール・ヘイリー扮する小児性愛者が己の快楽を断ち切るラストのカタルシスに、酔った!

(佐藤睦雄)

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