ワイルド・アパッチ 劇場公開日:1973年5月19日
解説 西部開拓時代の末期。アパッチ族の凶暴な戦士ウルザナが、息子や部下を引き連れ、居留地から逃亡。騎兵隊を率いる若き指揮官デブイン中尉と、その補佐役でアパッチ族に詳しいベテランの斥候マッキントッシュが討伐に向かう。マッキントッシュの予想通り、ウルザナ一味は先々で凄惨な殺戮を繰り返していくが……。ロバート・アルドリッチ監督とバート・ランカスターが再び手を組んだ西部劇。
1972年製作/105分/アメリカ 原題:Ulzana's Raid 配給:CIC
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2021年12月15日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
牧師の息子で、学校でたての若者が、狡猾なアパッチの討伐の騎兵隊隊長に 任命される。その途上で、神の存在も疑うほどの惨状を目の当たりにする。 50年前の映画と思わせない迫力を感じた。 隊長は規律重視で単純思考で頼り甲斐がないが、案内役意見役のようなマッキントッシュは 深みも経験値もある。そして、アパッチ族ながら、騎兵隊側に付いているケニティも 寡黙だがいい仕事をする。この2人の活躍が見どころ。 残忍な場面もあり、今まで見たアパッチものでは、一番印象に残る気がする。
2021年11月26日
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鑑賞方法:DVD/BD
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アパッチ族の野蛮さは目に余る。 子供に見せれる映画ではない。 単なる西部劇ではなく倫理観を問われる内容で決断力の乏しい私には難しい場面が多かった。 騎兵隊の中にいたアパッチ族のケニティーの勇敢で忠実な所が良かった。 いつでも裏切られる状況にありながら最後は親族でもあるウルザナーを殺す。 きっと葛藤があったはずだが忠実さが勝ったのだろう。 多くの犠牲の上に助けられた奥様はあの後、どういった人生を送ったのだろう。幸せに暮していて欲しい。それでないとマッキントッシュや殺された騎兵隊が浮かばれない。 それにしても50年も前の作品。ほとんどの俳優が亡くなられていると思うが作品はこうして生きていると思う。 これからもいろんな映画を見たいと思う。
2021年3月27日
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鑑賞方法:TV地上波
戦争もののよくあるプロットの一つの筋は、士官学校ポット出の若い将校が実戦経験を積んで成長してベテランになっていくという、いわば、教養小説(ドイツ語でいうビルドゥングスロマーン)的展開である。本作も、その西部劇版と言え、その当該人物をデ・ビュイン少尉という。(英語でLieutenantは少尉にも中尉にも使えて、本作についてのWikipediaの解説には中尉と出ているが、本人の言によると、士官学校を出て半年経ったばかりだというので、ここは敢えて「少尉」と訳しておく。なお、本作についてのWikipediaのあらすじの投稿には間違いが散見される。) デ・ビュイン少尉は、牧師の息子だという。であれば、プロテスタント系であり、フランス語風の名前からして、彼はユグノー系のプロテスタントかもしれない。分厚い聖書を読み、良心的な人物らしい。その彼が「白人」のキリスト教的倫理観を体現する。そして、この倫理観を以って、彼は、「赤銅色人」の「アメリカ原住民」の「残虐さ」に対峙させられる。なお、この若輩将校を演じているのが、本作の2年前に、学生運動・反戦運動映画の『いちご白書』で有名になったBruce Davison である。 一方、経験不足の将校の脇を良き軍曹が固めなければ小隊は上手く機能しない。という訳で、Richard Jaeckel 演ずるところの軍曹がデ・ビュイン少尉を補佐する。もう一人の「お守役」が老練な白人のスカウト、マッキントッシュで、実は、本作の主人公は彼なのである。若いインディアン娘と同棲している彼は、職業柄インディアンの世界に精通している。ある種の達観を匂わせるマッキントッシュは、いわば、白人世界とインディアン世界の間に立つ「通訳」の役を担っている。このような難しい役を当時こなせるアメリカの俳優というとBurton、„Burt“ Lancasterしかいないのではないか。L. ヴィスコンティ作の『山猫』(1963年作)では、自身が所属する貴族階層が市民革命の前に没落していく運命をある種の諦観と矜持を持って受け入れる深みのある役を見事にこなしたランカスターであった。だからこそ、本作のラストシーンもまたそういう次元の重みが出てくるのである。必見である。 さて、「悪役」のアッパチ族のUlzanaは、有名なジェロニモと同時期の実在の人物で、実際に1885年に居留地から逃亡して、いわば、強奪と殺戮の限りを尽くすのであるが、実際にはこの時騎兵隊に追われながらもメキシコへ逃切るのである。しかし、映画では別のストーリー展開となっており、そこに監督のRobert Aldrichと脚本家のAlan Sharpの制作意図も感じられる。Ulzanaの最期に日本人の観衆としてそこに「武士道」を読み込むのは筆者だけではないかもしれない。 アメリカ西部劇史の転換点となるA.ペン監督の『小さな巨人』が出たのが本作の出る2年前の1970年である。本作は、撮影的には残念ながらB級映画のレベルであるが、ストーリー的には『小さな巨人』を接ぐものであり、また、ランカスターの演技を評価して、筆者は、本来三ツ星のところを四つ星を付けるものとしたが、諸君は如何に判定されるか?
2017年12月12日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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Indian Reservationから逃亡したアパッチ族のUlzana一味と、彼らの討伐に向かう米騎兵隊のお話。騎兵隊を率いるのは、牧師の父親を持ち、士官学校を卒業したばかりの若きLieutenant DeBuinで、彼の補佐にアパッチ文化に詳しいベテランMcIntoshと、自らもアパッチ族のKe-Ni-Tay。 白人入植者を次から次へと残忍な手口で襲撃するUlzana達。そして神への感謝や祝福を述べた途端に殺されていく白人達。キリスト教と兵役は両立可能だと彼なりに信じていたDeBuinは、アパッチ族への憎悪を抑えきれずに葛藤します。DeBuinを通して、理解不能の異文化が想像を絶するほど残虐性に満ちていた時、キリスト教は答えを与えてくれるかという疑問が投げかけられます…何度も。これがちょっとしつこい(^_^;)。 アパッチの男は、他の男を殺すことでエネルギーを得ていくのだと。白人の命や財産を奪うこと以外に、痛めつけ苦しめることも目的に入っているようで、Ulzana一味には全く共感出来ないです。しかし彼らの土地に土足で上がり込み、西洋の価値観を押し付ける白人達の傲慢さも表れていました。 アパッチ族への偏見から、DeBuinは仲間のKe-Ni-Tayをなかなか信用出来ません。そんなDeBuinにMcIntoshが「憎むより恐れろ」と忠告します。憎悪は相手を受け入れていない、けれど恐怖は相手の特徴を認めた上での感情。畏怖の念を抱けと。 最後は…、スカッとしません。勧善懲悪がテーマでないから仕方ないのでしょう。 土地柄と運命を潔く受け入れるMcIntoshをもっと主軸に据えていたら、未熟な隊長DeBuinにあまりイラつかないで済んだかも。 ちなみにUlzana役は、時々日焼けした伊東四朗さんに見えました(^^)。