ミシシッピー・バーニング

劇場公開日:

解説

1960年代のアメリカ南部における人種差別問題をテーマに、アラン・パーカー監督が実話に基づいて描いた社会派サスペンス。ミシシッピー州で3人の公民権運動家が消息を絶った。FBIは2人の捜査官を派遣するが、彼らを待ち受けていたのは、非協力的どころか敵意まで剥き出しにして捜査を妨害する住民達だった……。たたきあげのベテラン捜査官をジーン・ハックマンが、その相棒の若手エリート捜査官をウィレム・デフォーが熱演。

1988年製作/126分/アメリカ
原題または英題:Mississippi Burning
劇場公開日:1989年3月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第46回 ゴールデングローブ賞(1989年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ジーン・ハックマン
最優秀監督賞 アラン・パーカー
最優秀脚本賞 クリス・ジェロルモ
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映画レビュー

4.5【”法の下の平等とは何だ!”今作は名匠アラン・パーカーが1964年、ミシシッピーの白人至上主義思想に染まった町で起きた事件を基に描いた二人のFBI捜査官が”悪”を追求する社会派映画の逸品である。】

2024年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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ー ご存じのように、KKK(三角とんがり帽子を被る、白人至上主義者団体)は、1960年代のアメリカ南部に蔓延っていた狂信的な団体である。彼らが憎んだのは、この作品でも首謀者である実業家タウンリー(スティーヴン・トボロウスキー)が言うように、黒人であり、ユダヤ人であり、東洋人であり、”彼らに与した白人”である・・。- ■1964年、ミシシッピー州の白人至上主義思想が蔓延る小さな町で3人の公民権運動家が姿を消した。  FBI捜査官のアラン・ウォード(ウィレム・デフォー)とルパート・アンダーソン(ジーン・ハックマン)が派遣されるが、彼らを待っていたのは敵意に満ちた町の白人の人々だった。  そして、白人の目を気にしながら目立たない様に暮らす黒人の人々は口を閉ざす。  二人は度重なる捜査妨害に遭いながらも、事件の真相に迫って行く。 ◆感想<Caution!内容に触れています。> ・FBI捜査官の若くも冷静なアラン・ウォードを演じたウィレム・デフォーと南部出身のルパート・アンダーソンを演じた笑顔を浮かべながら、対象に近づき一気に表情を豹変させ追い詰めるジーン・ハックマンの演技に魅入られる。 ・二人は、捜査手段は違えど想いは同じである。アラン・ウォードはあくまでも正攻法で、ルパート・アンダーソンは魅力的な笑顔で、複数の黒人たちから真実を聞き出し、容疑者であるクリントン・ペル保安官補(ブラッド・ドゥーリフ)の妻ペル夫人(フランシス・マクドーマンド)とも親しくなっていくのである。 ・町長ティルマン(R・リー・アーメイ)は、全てを知って居ながら、見て見ぬ振り。それは、町を牛耳る白人至上主義者事業家タウンリーが、KKKの幹部であるからである。 ・冒頭の、3人の公民権運動家が乗る車が謎の車に追いかけられ、ドアから首を突っ込んできた男フランク・ベイリー(マイケル・ルーカー)が、ニヤ付きながら”ニガーの匂いがするぜ。”と言いながら銃口を向けるシーンからして恐ろしい。そして、3人は”行方不明”になるのである。 ・ルパート・アンダーソンがペル夫人(フランシス・マクドーマンド)を訪問した後に、言った言葉が印象的である。”あんなに聡明な夫人が何故・・。”彼女は、夫クリントン・ペル保安官補のアリバイの重要な存在だったからである。  だが、徐々にペル夫人は、“憎しみを信じてしまう・・。”と語り始めるのである。この辺りの彼女が逡巡する姿を若きフランシス・マクドーマンドが、抑制した演技で魅せるのである。 ・徐々に二人は容疑者たちに罠を掛けて行く。事件に関わったレスター(プルイット・テイラー・ヴィンス)が自白したように見せかけ、愚かしきKKK達は”彼らに与した白人”とみなし彼の家に銃弾を撃ち込み、彼を吊るそうとするのである。 ・更には、ペル夫人が到頭、真実をルパート・アンダーソンに告げる。だが、彼女は夫たちに酷い乱暴を受け、入院してしまう。 ■ルパート・アンダーソンが単独でクリントン・ペル保安官補たちが集う場に出掛けて行き、笑顔から表情を一変させフランク・ベイリーの股間を掴み上げるシーンや、クリントン・ペル保安官補が床屋で髭を剃って貰っている所に行き、床屋の代わりにペル保安官補の髭を”剃るシーンのジーン・ハックマンの迫力は見事である。 ・最終盤、夫が逮捕され家が滅茶苦茶になったペル夫人を心配になり訪ねるルパート・アンダーソンと彼女の会話には、救われる気持ちになる。二人はすっきりとした笑顔で話しながら別れるのである。 <そして、二人は執念の元に首謀者である実業家タウンリーを筆頭に、事件に関わった愚かしき者達を次々に検挙するのである。  首を吊った町長ティルマンの姿を見て”見て見ぬふりをするのも、同罪だ。”と言い放つ捜査官の言葉は、現代日本でも起こっている苛め、虐待を知りながら声を上げない人達にも、当て嵌まる重い言葉であると思ったモノである。  今作は名匠アラン・パーカーが1964年、ミシシッピーの白人至上主義思想に染まった町で起きた事件を基に描いた二人のFBI捜査官が”悪”を追求する社会派映画の逸品なのである。>

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NOBU

4.0差別主義者は悪口や迫害しかやることがないのでは

2024年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 今作に出てきたKKKのような差別主義者は、人生においてやることが、悪口や迫害といった行為しかないのだろう。作中のFBI捜査官の台詞に「黒人を憎んだおやじの本当の敵は貧乏だった」とあるように、そうなる要因の一つが貧困にある。  金も教育も無い。そのため特に能力や知識も無いので、人生においてやりたいことも無いか、もしくはできない。閉鎖的な田舎では、人生の先も見えているので、現状を打開していく気力も湧かない。黒人がいると仕事の競争相手が増えて自分達の仕事が無くなる恐れもある。そういったフラストレーションを、黒人に対する差別という形でぶつけるしか無いのだろう。なぜなら、仕事、家族や友人といった人間関係、または趣味などが充実していれば、そのような行為に費やす時間は無いはずだからだ。彼らはまず、自分の人生を充実させようと努力する必要があるんじゃないか(自戒の念も込めて...)。  黒人差別の歴史は、多少の嫌がらせ程度のものではなく、命の危険に晒されるレベルだったと知っていたが、今作はそういった差別を映像化してくれた点で貴重だと思う。

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根岸 圭一

4.0観るのが辛いけど大切な作品

2024年9月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1960年代のミシシッピ州での黒人差別の実話ベース作品 このテーマの作品は本当に観るのがしんどいです 日本では昨年末公開の「TILL」程ではないですが、観てるのが辛いシーンがありました 実際の差別はもっとひどかったのでしょうけど 黒人の人達についての白人の人達のコメントがひどすぎました 環境が人をつくると思うし、差別が当然という中で育ってきたらそうなるのも仕方のない事なのかもしれません 住人だけじゃなくて、保安官や判事も差別主義者、判事までが差別をするという事に本当に驚きました 逮捕されても軽すぎる刑に虚しさだけが残り、希望が見えるラストでありながらも、まだ差別と戦っていかないといけない事が想像できました そんな差別主義者と戦うFBI捜査官役にウィリアム・デフォーとジーン・ハックマン エリートではない叩き上げの捜査官にジーン・ハックマンがとってもはまっていたと思います 観て楽しめる作品ではないけど、観るべき作品で観て良かったです

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小町

5.0メッセージ性とエンタメ性の両立

2024年6月15日
PCから投稿

テーマはゴリゴリの社会派ですが、映画作品としてのエンタメ性もドラマチック且つサスペンスが最高水準です。

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越後屋