ミシシッピー・バーニング

劇場公開日:1989年3月11日

解説・あらすじ

1960年代のアメリカ南部における人種差別問題をテーマに、アラン・パーカー監督が実話に基づいて描いた社会派サスペンス。ミシシッピー州で3人の公民権運動家が消息を絶った。FBIは2人の捜査官を派遣するが、彼らを待ち受けていたのは、非協力的どころか敵意まで剥き出しにして捜査を妨害する住民達だった……。たたきあげのベテラン捜査官をジーン・ハックマンが、その相棒の若手エリート捜査官をウィレム・デフォーが熱演。

1988年製作/126分/アメリカ
原題または英題:Mississippi Burning
劇場公開日:1989年3月11日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第46回 ゴールデングローブ賞(1989年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ジーン・ハックマン
最優秀監督賞 アラン・パーカー
最優秀脚本賞 クリス・ジェロルモ
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映画レビュー

4.5 この感情表現、奥深さ、煮えたぎる怒り。ハックマンの最高傑作なのではないだろうか

2025年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

その分厚いキャリアで様々なジャンルを横断してきたハックマンだが、現実に根差した社会問題を扱ったヒューマンドラマへの出演は意外と珍しい。人種差別の構造にメスを入れた社会派な目線もさることながら、なんと言っても、公民権活動家の失踪事件を受けてFBI捜査官としてこの地に乗り込むウィレム・デフォーとハックマンの正反対コンビが絶妙だ。デフォーは頭は切れるが若き青二才エリートであり、対するハックマンは叩き上げの現実主義者。南部の出で、この地のことを熟知しつつ、しかし我慢の限界を超えた大きな怒りへとたどり着く役柄だ。『フレンチ・コネクション』よりも前の時代(60年代)を描きつつも、どこかポパイ刑事が歳を重ねてこの境地にたどり着いたかのような、ハックマンならではのうねるような感情の発露と奥深さと燻銀の味わいがある。パーカー監督らしい骨太なヒューマニズムも際立ち、今なお観る者の感情を震わせ続ける名作である。

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牛津厚信

3.0 米国の南部のその地方政府と米国全体のその連邦政府との争いですが、米...

2025年9月30日
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鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

驚く

米国の南部のその地方政府と米国全体のその連邦政府との争いですが、米国のその当時の地方のレストランのその便所がcoloredとwhiteに別れ、coloredが有色人種用でwhiteが白色人種用ですが、レベッカのヴォーカルのノッコのそのバンド解散後にピンで発売したアルバムのタイトルがcoloredでしたが、そのレベッカ解散後とピンで活躍する前の間でレッドウォリアーズのギタリストの木暮武彦と渡米し、米国デビューをしようと考えていたようですが、デビューしてませんが、朝鮮戦争の際のその朝鮮半島の米国軍人のためのその朝鮮人女子の売春宿が白人用と黒人用に別れていたそうで、太平洋戦争がその朝鮮戦争の前ですが、米国に占領された日本に日本女子と米国軍人との間にできた子の混血児施設がありますが、また戦前も戦後も戦争花嫁として、日本女子が米国人に嫁いで行ってますが、日本女子に米国の人種間闘争や人種差別や黒人と白人の区別や米国の歴史の教養があったのかなと

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39stepbacK

5.0 アンダーソンの父親曰く"If I wasn't better than a Black man, who was I better than?"

2025年8月21日
PCから投稿

事実をもとにして脚色し、エンターテーメントせいを持たせた映画なのである。私はレビューは書いたことがなかったのであらためてこの映画を観賞して書いている。実は最近、ジョンソン大統領と、フーバーFBI長官、そして、ミシシッピー州の上院議員ジェーム・イーストランドとジョンソン大統領との二つのこの事件の音声アーカイブを聞く機会があった。特に、この上院はこの会話の中で、州での白人至上主義KKKのこの事件を否定している。KKKはいないと。ジョンソンは、この中で白人二人(ユダヤ人)の親がFBIのトップ、attorney generalに会いにきた。大統領の私にも会いにくると。メディアにも動いていると。これが州の事件にとどまらず、連邦政府全体の公民権の問題になり、FBIが出動。ニューヨークのユダヤ人家族が行動したことにより、1964年7月2日に公民権法の動きや参政権(1965)にも進んでいた。

この事件はcodenamed(暗号名) Miburnというと。

「Freedom Summer」という人種平等会議(SNCC)をはじめとする公民権団体が立ち上げた3ヶ月間の運動である。ミシシッピ州でできるだけ多くの黒人に投票登録をしてもらうための運動。1964年6月21日、ミシシッピ州出身の21歳の黒人ジェームズ・チェイニーと、彼の白人同僚2人(ユダヤ系ニューヨーク出身の20歳のアンドリュー・グッドマンと24歳のマイケル・シュワーナー、)が、スピード違反だとして逮捕される。その後、釈放され、殺された事実解決をもとに、映画が成り立っている。

再度書くが、この映画は事実を踏まえたフィクションである。でも、私にとって不信なことがある。監督はUKの人であるが、米国の文化にどれだけ精通しているか皆目検討がつかない。しかし、この映画の中での南部の黒人の動きはどうなっているんだ。公民権運動は始まっていて(検索結果をのせる)、黒人は見ているだけでなく、どこの州の黒人も行動しているのだ。この映画だと、受け身で、白人の言うことを聞いている黒人を描いている。おかしいねえ、何がそうさせたのか?当時白人至上主義者は南部なら特にどこにでもいたはずだ。下記の公民権運動は黒人が中心になっているのではないか。

1955-1956: Montgomery Bus Boycott
1957: Little Rock Nine
1960: Greensboro sit-ins
1961: Freedom Rides
1963: Birmingham campaign
1963: March on Washington
1964: Civil Rights Act of 1964 - Legislation that outlawed discrimination based on race, color, religion, sex, or national origin.

それはさておいて、私はFBIのボスMr.ワード(ウイリアム・デフォー)とアンダーソン(ジーンハックマン)のこの問題解決や態度の違いを少しだけ書きたい。二人は全く違うタイプ。ワードは三年間司法省で働いたエリート。アンダーソンが『ケネディ・ボーイか?』とからかったが、この言い方はシェリフがアンダーソンを『フーバー・ボーイ』と言う言い方と同じで、南部の使い方だと思う。シェリフの事務所を訪ねている時、アンダーソンは保安官ペルPell(ブラッド・ドゥーリフ)に対して、南部の理解不明(You backwood , shit-ass you検索で、南部の田舎者を軽蔑した言い方だ)な言い方をする。そしたら、シェリフ(Gailard Sartain)がすぐ出てきた。シェリフはすぐに南部のものが来ているのを認識したから。これが南部の変な連帯意識だと思う。
南部のミシシッピーはミシシッピーのやり方がある。司法省出の正統派には通用しなそうだと視聴者に思わせる。これからあと、食堂に行くが、ワードは空席を見つけてそこへ。アンダーソンの表情が全てを物語っているが、ワードは黒人の席で、若い黒人の男性に質問を仕掛ける。黒人の男性は迷惑そうに席を立つ。私はこのシーンをハラハラしてみていた。だって、こんな現場を作ったら、この黒人は殺されるよと思った。ワードは郷にいれば郷に従えではなく、エリート・ナイーブで南部でワシントンDCにいるのと同じに行動している。コメディのようにこの二人のいがみ合いを滑稽に表して、エンターメント性を強めているのかもしれない。

好きなシーンが多い映画だが、もう一箇所だけ大好きなシーンをかく。父親から、アンダーソンは学び、反面教師になったいい例の会話がある。これがアンダーソンの父親なんだ。その、父親を見て育ったから、アンダーソンは正義感が強くなったんだと理解できるシーンだ。 奴隷制度とその後のジム・クローなどは白人が不可思議な優越感を持ってしまった。アンダーソンの父親がいい例であって、"If I wasn't better than a Black man, who was I better than?".この恐ろしい言葉に象徴される。自分を正当化するため、「黒人よりマシでなかったら、誰よりマシなんだ」と言う言葉になって現れる。息子のアンダーソンは父親が父親より成功している黒人のロバ?を殺してしまったと確信している。アンダーソンは続ける、父親は黒人に対する憎しみに満ち溢れていて、貧しさが自分を苦しめていることに気づいていなかったと。誠に、人種差別の根本をここで表している最高のシーンだね。

この映画全体は、人種差別の根源を理解しているミシシッピ州出身のアンダーソンと、北部のエリートであり、四角四面のボス、ワードの視点と行動の違いがはっきりわかる映画になっている。好きな映画だ。

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Socialjustice

4.5 【”法の下の平等とは何だ!”今作は名匠アラン・パーカーが1964年、ミシシッピーの白人至上主義思想に染まった町で起きた事件を基に描いた二人のFBI捜査官が”悪”を追求する社会派映画の逸品である。】

2024年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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怖い

幸せ

ー ご存じのように、KKK(三角とんがり帽子を被る、白人至上主義者団体)は、1960年代のアメリカ南部に蔓延っていた狂信的な団体である。彼らが憎んだのは、この作品でも首謀者である実業家タウンリー(スティーヴン・トボロウスキー)が言うように、黒人であり、ユダヤ人であり、東洋人であり、”彼らに与した白人”である・・。-

■1964年、ミシシッピー州の白人至上主義思想が蔓延る小さな町で3人の公民権運動家が姿を消した。
 FBI捜査官のアラン・ウォード(ウィレム・デフォー)とルパート・アンダーソン(ジーン・ハックマン)が派遣されるが、彼らを待っていたのは敵意に満ちた町の白人の人々だった。
 そして、白人の目を気にしながら目立たない様に暮らす黒人の人々は口を閉ざす。
 二人は度重なる捜査妨害に遭いながらも、事件の真相に迫って行く。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・FBI捜査官の若くも冷静なアラン・ウォードを演じたウィレム・デフォーと南部出身のルパート・アンダーソンを演じた笑顔を浮かべながら、対象に近づき一気に表情を豹変させ追い詰めるジーン・ハックマンの演技に魅入られる。

・二人は、捜査手段は違えど想いは同じである。アラン・ウォードはあくまでも正攻法で、ルパート・アンダーソンは魅力的な笑顔で、複数の黒人たちから真実を聞き出し、容疑者であるクリントン・ペル保安官補(ブラッド・ドゥーリフ)の妻ペル夫人(フランシス・マクドーマンド)とも親しくなっていくのである。

・町長ティルマン(R・リー・アーメイ)は、全てを知って居ながら、見て見ぬ振り。それは、町を牛耳る白人至上主義者事業家タウンリーが、KKKの幹部であるからである。

・冒頭の、3人の公民権運動家が乗る車が謎の車に追いかけられ、ドアから首を突っ込んできた男フランク・ベイリー(マイケル・ルーカー)が、ニヤ付きながら”ニガーの匂いがするぜ。”と言いながら銃口を向けるシーンからして恐ろしい。そして、3人は”行方不明”になるのである。

・ルパート・アンダーソンがペル夫人(フランシス・マクドーマンド)を訪問した後に、言った言葉が印象的である。”あんなに聡明な夫人が何故・・。”彼女は、夫クリントン・ペル保安官補のアリバイの重要な存在だったからである。
 だが、徐々にペル夫人は、“憎しみを信じてしまう・・。”と語り始めるのである。この辺りの彼女が逡巡する姿を若きフランシス・マクドーマンドが、抑制した演技で魅せるのである。

・徐々に二人は容疑者たちに罠を掛けて行く。事件に関わったレスター(プルイット・テイラー・ヴィンス)が自白したように見せかけ、愚かしきKKK達は”彼らに与した白人”とみなし彼の家に銃弾を撃ち込み、彼を吊るそうとするのである。

・更には、ペル夫人が到頭、真実をルパート・アンダーソンに告げる。だが、彼女は夫たちに酷い乱暴を受け、入院してしまう。

■ルパート・アンダーソンが単独でクリントン・ペル保安官補たちが集う場に出掛けて行き、笑顔から表情を一変させフランク・ベイリーの股間を掴み上げるシーンや、クリントン・ペル保安官補が床屋で髭を剃って貰っている所に行き、床屋の代わりにペル保安官補の髭を”剃るシーンのジーン・ハックマンの迫力は見事である。

・最終盤、夫が逮捕され家が滅茶苦茶になったペル夫人を心配になり訪ねるルパート・アンダーソンと彼女の会話には、救われる気持ちになる。二人はすっきりとした笑顔で話しながら別れるのである。

<そして、二人は執念の元に首謀者である実業家タウンリーを筆頭に、事件に関わった愚かしき者達を次々に検挙するのである。
 首を吊った町長ティルマンの姿を見て”見て見ぬふりをするのも、同罪だ。”と言い放つ捜査官の言葉は、現代日本でも起こっている苛め、虐待を知りながら声を上げない人達にも、当て嵌まる重い言葉であると思ったモノである。
 今作は名匠アラン・パーカーが1964年、ミシシッピーの白人至上主義思想に染まった町で起きた事件を基に描いた二人のFBI捜査官が”悪”を追求する社会派映画の逸品なのである。>

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NOBU